第百三十一話 ゴブリンとの遭遇
チュンチュン。
「うーん、むにゃむにゃ。ふわあ、もう朝だね」
旅も三日目の朝です。
昨晩はユリアさんと一緒に寝てたんですが、またもや抱きつかれてしまいました。
僕はユリアさんから抜け出して、朝の訓練を始めます。
「先ずは魔力の循環と。おや? シロちゃんも一緒にやる?」
魔力循環をやろうと思ったら、僕の頭の上にシロちゃんがぴょこんと乗ってきました。
確かシロちゃんは、普通のスライムと違って魔法が使えるかもしれないカラースライムなんだよね。
僕は、シロちゃんも一緒に魔法が使えたら良いなと思いながら、朝の訓練を続けました。
「ははは、気持ちの良い朝だな」
「今日は酔っ払っていませんね」
「まあな。良い酒は、二日酔いになりにくいんだ。この前の酒は最悪だったもんなあ……」
食堂に行くと、昨日は真っ青な顔をしていた冒険者達も今日はとっても良い表情をしていました。
お酒によっては、悪酔いするのもあるんだね。
僕もいっぱい食べて、準備万端です。
カラカラカラ。
「そういえば、スライムを従えるテイマーは初めてみたな」
「テイマー、ですか?」
「動物や魔物を従えて、戦力にしているんだ。たまに違法な魔導具を使って、強制的に隷属化させてる奴もいるがな」
「大抵は、魔法使いがテイマーをしている事が多い。高圧的な態度をしてくるのもいるらしいぞ」
えー、何それ。
シロちゃんはお友達だけど、無理矢理従える人もいるんだね。
そういう人とは、仲良くなれないなあ。
そんな事を思いながら、馬車は街道を進んで行きます。
「あっ、この先に何か反応があります。でも、オオカミと違います」
ふと、森に接している場所で、探索魔法に何かの反応がありました。
森から、ガサガサと音を立てて何かが現れました。
「「「キシャー」」」
「えっ、あれは何?」
森から現れたのは、僕よりも大きいけど肌が緑色をしたものだった。
「ゴブリンだわ。数匹だから直ぐに倒せるわ」
「ゴブリンは魔物ね。でも、そんなに強くないから大丈夫よ」
あれがゴブリンっていうんだ。
確か初心者向けの冊子にも、載っていたね。
全部で五匹なので、直ぐに倒せるそうです。
僕達は馬車から降りて、ゴブリンと対峙します。
「先ずは、バインドで拘束します。えーい!」
「「「ギャギャ?」」」
僕は、風魔法を使ってゴブリンを拘束します。
「レオ、ナイスだ。そりゃ!」
「昨日から、戦いが楽でしょうがないな」
直ぐにユリアさんとイリアさんと共に、冒険者もゴブリンを倒していきます。
あっという間に、ゴブリンは倒されました。
「ふう、ゴブリンは見つけたら直ぐに倒さないとね」
「ゴブリンは、女性や子どもを連れ去るのよ。だから、女性の敵って言われているわ」
「へ、へえ、そうなんだね」
うん、血だらけになりながら熱弁を振るうユリアさんとイリアさんが、ちょっと怖いなあ。
ともかくとして、後はゴブリンを処分するだけです。
「うーん、魔石もクズしかないな。これは売り物にならねえ」
「あっ、本当です。欠けちゃってますね」
「シロに魔石を食わせてやれ。ゴブリンは、討伐証の耳だけあれば十分だ」
魔物によっては、上手く魔石になってない物を持っているのがいるんだって。
それにゴブリンは素材として使い物にならないから、全部燃やすか埋めちゃうそうです。
でも、シロちゃんは他に現れたスライムと共にゴブリンを吸収していたので、処分は楽ちんです。
「どうもゴブリンの巣はなさそうだな。ゴブリンの巣があったら、最低でも十匹はいるぞ」
「とりあえず、慎重に進んでいくしかないな。春になって、活動が活発になったのかもな」
全部終わって後片付けをしながら、冒険者が話をしていました。
ゴブリンの巣があったら、兵や冒険者が総出で対応するんだって。
でも、そうならなくて良かったね。
後片付けも終わったので、馬車に乗って旅を再開します。
その後は、オオカミやツノウサギは現れたけどゴブリンは現れませんでした。
そのまま、今日泊まる別の男爵領の領都に到着しました。
「そうか、ゴブリンが出たか。この時期になると、奴らの活動が活発になるからな。上に言っておくぞ」
ギルドの職員も、ゴブリンが現れたと聞いて顔をしかめていました。
でも僕達は旅の途中なので、何かあったら男爵領の兵と冒険者にお任せです。
さてさて、今日も臨時収入があったのでちょっと良い宿に泊まります。
「明日は、街道の両側が森になっている場所が続くから充分に警戒しないとね」
「毎年、動物や魔物に襲われて死者も出ているのよ。何があるか分からないわ」
確かに四日目は注意した方が良いって聞いたけど、今までの感じだととっても危なく感じるね。
僕もシロちゃんも、ちょっと気合を入れちゃったよ。
ともあれ、三日目の旅も無事に終了です。
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