第六百十九話 またまた僕の話です

 冒険者ギルドに戻ってからは、特段問題が起こることもなく平和な時間が過ぎていきました。

 あの四人組は冒険者ギルド内に居づらくなったのか、手続きを終えると直ぐに外に出て行きました。

 でも、ギルドマスターにもガツンと言われたので、きっと大丈夫だと思いたいです。

 では、昼食の時間になったので一旦後片付けをして冒険者ギルド内にある食堂に向かいます。


「よいしょっと」

「レオ君も、普通に座れるようになったのね」

「昔はよじ登って座っていたわね。とても可愛らしかったわ」


 マヤさんとセラさんが、懐かしそうに昔のことを思い出していた。

 確かにあの頃の僕はもっと体が小さかったから、冒険者ギルドの受付の席もよじ登っていたよね。

 そんなことを思い出しながら、さっそくみんなで昼食を頂きます。


「もぐもぐもぐ、久々に食べたけど前よりも美味しくなっている気がするよ」

「若い冒険者も増えたから、おっちゃんも料理研究をしてるんだよ」

「もちろん、昔からの冒険者にとってもありがたいことだけどね」


 僕の勘違いではなく、マヤさんとセラさんの言う通りなんだ。

 チラッと食堂のおじちゃんを見ると、おじちゃんもニカッと親指を立てていた。

 より美味しいものを作るという、ある意味職人さんの気質です。

 シロちゃんたちも美味しそうに昼食を食べているし、周りにいる人たちもニコニコしながら食べています。

 ちなみに、まだお昼なのでお酒は出ていません。

 それでも、冒険者たちは食事をしながら楽しくお喋りをしていました。

 すると、一足先に食事を終えたマヤさんとセラさんが、僕にずいっと顔を寄せてきました。


「レオ君、食べ終わったら色々な話を聞かせて」

「レオ君のことは噂で聞いていたけど、実際のところはどうなのかなって思っていたのよ」


 僕のことを知っている人は、みんな噂のことを聞きたがっています。

 こればっかりはしょうがないかなと思っていたら、更に参戦してきた人がいました。


「あら、面白そうな話をしているじゃない。私たちにも聞かせて」


 シェリーさんたち冒険者ギルドの受付の人たちも、トレーを持ってやってきました。

 ちょうど人がいない時間なので、交代で昼食を食べるみたいですね。

 僕たちの隣の席に座ったけど、そういえば受付の人も新しい人が入ったんだ。

 見たことのない人が、シェリーさんと一緒にいました。

 せっかくだというので、周囲にいる冒険者も話に参加してきました。


「えーっと、つまり噂はあくまでも噂レベルで、実際にはもっと凄かったってわけね」

「それだけの活躍をしていれば、男爵になっても何も問題ないわ」


 噂話について色々教えてあげたら、マヤさんとセラさんがポカーンとしちゃいました。

 周りにいたシェリーさんや冒険者も、状況を理解するのに時間がかかっていました。

 えーっと、そんなに変な話をしたつもりはないんだけどね。

 ちなみに、午後の治療もバッチリ上手くいきました。

 明日もマヤさんとセラさんと行動することになったけど、いったい何をするのかな?

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