第二百五十話 子どもらしい勉強って何だろう?

 僕とシロちゃんの学力レベルを確認する為に、改めて明日テストをする事になりました。


「僕は、面白そうな本があるなと思って読んでいたんですけど」

「その面白そうな本が、貴族の教育の為の本だった訳ね。逆に、もっと子どもらしい本を読んだ方が良いわね」

「敢えて、その方面の勉強をした方が良いかと思いますわ。レオ君は頭が良いばかりに、興味を持った物しか勉強していない可能性があります」


 えーっと、子どもらしい勉強って一体なんだろう?

 絵本を読む事なのかな?

 読み書き計算はもう大丈夫だし、他に何があるのだろうか。

 ここは、マリアナさんに確認して貰わないと分からないね。


「しかし、ここまで秀才な子どもは初めて目にしました。しかも、秀才の子はどこかしらに難を抱えている者が多いのですが、レオ君はとっても明るいですわ」

「えっ、そうなんですか?」

「本好きの子は、物静かだったり何かに執着する子が多いのです。周りに興味を示さない事もありますね」


 うーん、僕は特にそういうのは気にしないけど、何かしらに執着する人もいるんだね。

 色々な子どもがいるんだなあ。


「レオ君は礼儀正しいし、既に最低限の礼儀作法を身に着けています。改めて、礼儀作法を教えるのも良いかと思いますわ」

「そうですわね。この際だから、勉強以外の事も教えないとならないわね」


 という事で、礼儀作法とかも教わる事になりました。

 勉強以外の事も学べるのもあるので、とっても嬉しいです。

 今日はこれで勉強は終わりだそうで、マリアナさんはお家に帰って明日のテストを作るそうです。


 カチャ。


「わあ、本が沢山あります!」

「ここが書斎よ。汚したり持ち出さなければ、自由に読んで構わないわ」


 昼食まで時間があるので、僕とシロちゃんは書斎で本を読む事にしました。

 流石は、サンダーランド辺境伯家のお屋敷の書斎です。

 沢山の本が置いてあって、僕もシロちゃんもどの本を読もうか迷っちゃいます。


「あっ、冒険者関連の本もあるよ。今日はこの本にしよう」


 初心者冒険者の冊子よりも詳しい本があったので、僕はその本を読む事にしました。

 シロちゃんは、動物や魔物の生態の本を読んでいます。

 こうして僕とシロちゃんは、昼食までの時間を本を読みながら過ごしていました。


「レオ君は本当に真面目だね。わざわざ冒険者の本を読んでいるとは」

「スライムが動物と魔物の生態を調べるのも、どう考えても普通じゃないわね」


 今日はボーガン様がお仕事でいないので、チェルシーさん以外にマシューさんとスーザンさんと一緒に昼食を食べます。

 話題は、やっぱり僕の事になりました。

 マシューさんとスーザンさんは、僕とシロちゃんが読んでいた本を知ってビックリしていました。


「魔法使いは総じて頭が良いと言われるけど、レオ君は勤勉だからってのもあるな」

「そうね、レオ君が魔法使いじゃなくてもきっとレオ君は賢いと思うわ」


 僕がもし魔法使いじゃなかったら、多分普通の人と同じ気がするよ。

 僕的には、やっぱり魔法使いってのが大きい気がするよ。


「しかし、既に十二歳並みの知識を持っているのか。とはいえ、レオ君はまだまだ子どもだ。色々な事を覚えていく時期だ」

「私がレオ君くらいの時は、いつも遊んでいて勉強が嫌いだったわ」


 スーザンさんは、元気いっぱいな子どもだったんだね。

 今はとっても知的な感じがするけど、やっぱり子どもの時は違うんだね。

 こうして昼食は終わり、午後も書斎で本を読んでから帰りました。


「レオ君は、同年代じゃなくて年上の人と一緒にいる事が多かったから、それで考え方が大人っぽいのかもね」


 夕食時に日中の事を話すと、ミシャさんからそんな事を言われました。

 確かに、同じくらいの年の子って殆ど会ったことがないなあ。

 クリスちゃんくらいしか、年下の子とも会ってないね。


「レオ君の年で旅をしている人は珍しいのよ。だから、気にしなくて良いし、これからいくらでも会うことはあるわ」


 僕がうーんって考えちゃったら、ミシャさんが僕の頭を撫でてくれました。

 そうだね、深く考えても仕方ないって思いながら、僕は夕食を食べました。

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