第二百五十一話 僕の弱点
翌日、僕とシロちゃんは昨日と別のテストをする事になりました。
最初は、紙でのテストではありません。
「はい、お辞儀はこうしますよ」
そうです、礼儀作法のテストです。
僕なりに礼儀は勉強してきたけど、かなりボロボロの指摘を受けちゃいました。
「レオ君が独学で身につけた礼儀作法は、改善の余地があるわね。仲間内とかなら問題ないけど、貴族相手になったらもう少し丁寧な挨拶を覚えても良さそうね」
「うう、頑張ります……」
やっぱり、見様見真似じゃ駄目だったんだね。
僕もシロちゃんも、思わずガックリとしちゃいました。
そして、テストはまだ続きます。
「あの、ここも途中までしか分かりません……」
「やはり、レオ君は読み書き計算は凄いけど、他の知識が少し不足していますね」
今度は地理や歴史のテストだったんだけど、こっちも全然駄目でした。
礼儀作法とダブルで駄目だったので、僕とシロちゃんはずーんと落ち込んじゃいました。
「うう、今日は駄目駄目でした……」
「レオ君、こういうのは大人がキチンと教えないといけない事なのよ。レオ君の育ってきた環境もあるのだから、仕方ないのよ」
「そうよ。逆にレオ君の弱点が分かったので、そこをしっかりとできる様に頑張りましょうね」
落ち込む僕とシロちゃんの事を、チェルシーさんとマリアナさんが慰めてくれました。
色々とあったけど、これで勉強する科目が決まりました。
改めて応接室に移動して、休憩する事にしました。
「レオ君があまりにも頭が良いから、どんな勉強にしようかと思っていたけど、教科が決まって良かったわ。レオ君の場合は実務的な学問が凄いのもあるから、これから学ぶ物を覚えればもっと凄くなるわよ」
「はい、気持ちを切り替えて頑張ります」
「頑張りすぎない様に、私も十分に気をつけるわ。何せ、これだけの優秀な生徒を受け持つのですから」
僕もシロちゃんも気持ちが落ち着いたので、新しい知識が覚えられると思うようにしました。
実際に新しい知識を覚えられるし、地理とかは冒険者活動や旅にも役に立つもんね。
「ふふ、それでは来週からの授業の準備を進めますわ。黒髪の天使様に勉強を教えるなんて、この上ない名誉ですから」
こうして、マリアナさんはニコニコしながら応接室を出ていきました。
僕に冒険者の事を教えてくれる人は多いけど、勉強を教えてくれる人は確かに殆どいないね。
「ふう、レオ君の勉強方針が決まって良かったわ。レオ君は、確か春までは辺境伯領にいるのよね?」
「はい、春まではサンダーランド辺境伯領で色々と勉強したいです」
「レオ君はとても賢いから、春までに沢山の事が覚えられるはずよ」
サンダーランド辺境伯領にいる時の、僕の目標ができちゃったね。
マリアナさんから地理や歴史と礼儀作法の勉強を教えて貰って、フレアさんとミシャさんから剣術と身体能力強化の魔法を学びます。
ふふふ、来年の春までに僕もシロちゃんもパワーアップしそうな気がするよ。
「そうだわ。治療院に入院する人も増えてきたので、明日明後日で指名依頼をする予定よ」
「寒い季節は、どうしても病人が増えますよね」
「こればっかりはどうしようもないわ。フレアさんとミシャさんにも、レオ君のサポートをお願いしておくわ」
寒くなると風邪をひいちゃう人も増えるから、入院する人が増えるのも仕方ないね。
明日明後日は、僕もシロちゃんも頑張って治療しようっと。
「レオ君、また本を読むんでしょう。私はこの後街に行かないとならないので、後はスーザンに任せるわ」
「分かりました。気をつけて下さい」
「ありがとうね」
チェルシーさんを見送った後、僕とシロちゃんはまた書斎に向かいました。
さて、今日は何の本を読もうかな?
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