第三百六十八話 マックスさんの娘さん?
シークレア子爵領からバーボルド伯爵領までは、馬車便で四日間の旅です。
途中、二つの貴族領がありそうです。
今日は、シークレア子爵領にある村に泊まる予定です。
パカパカパカ。
「日中は少し暖かいけど、朝はまだ寒いね」
季節はまだ寒い時期なので、朝はとっても寒いです。
なので、僕はしっかりと厚着をして冬に薬草採取の時に使う携帯用の暖かい魔導具を使っています。
シロちゃんも、僕の服の中に潜り込んでぬくぬくとしています。
同乗している人達も、服を着込んで寒くない様にしています。
そんな僕達の乗っている馬車の隣を、騎馬隊が並走していました。
「ちょうどマックスさんも、この先にある村に行くんですね」
「巡回のタイミングなんだ。村に駐在している部隊がいるから、何か問題が起きていないか話を聞くんだ」
シークレア子爵領の村々をまわらないといけないから、守備隊の人は本当に大変だね。
でも、守備隊の人が村に来てくれるから、村の人も安心して過ごせるはずです。
そんな時、僕の探索魔法に何かが引っかかりました。
「あっ、前方に何かが現れます。数は八です」
「レオ君、ありがとう。レオ君は、念の為に馬車の乗客を守ってくれ」
前方の茂みがガサガサとしているので、僕たちは警戒モードに入ります。
守備隊の人も、馬を降りて剣を抜きました。
僕とシロちゃんも、いつでも魔法を放てる準備をします。
「「「グルルル……」」」
「オオカミだな。冬は獲物が少ないから、目がギラついている。全員、要注意だぞ」
茂みから姿を現したのは、少し痩せているオオカミの群れでした。
こちらを襲ってくる気満々なので、ここは僕も手助けをする事にしました。
「マックスさん、オオカミをバインドで拘束します」
「分かった。他の者も、手早くとどめを刺すぞ」
「「「はい!」」」
マックスさんも部下に指示を出したので、僕とシロちゃんはオオカミに拘束魔法を放ちます。
「いきます、えーい!」
シュイン、バシッ。
「「「ギャイン!」」」
上手い具合に、全てのオオカミを拘束する事ができました。
守備隊の人も、その瞬間を逃しません。
「「「とう」」」
ザシュ!
守備隊の人は綺麗にオオカミの首を切りつけて、あっという間に全頭倒しました。
すかさず、シロちゃんがオオカミの血抜きを行います。
「マックスさん、倒したオオカミはどうしますか?」
「村にいる守備隊員の中に、解体のプロがいる。そいつにやって貰おう」
守備隊の人の中に、解体のプロがいるんだ。
きっと、オオカミなんかあっという間に解体しちゃいそうだよ。
なので、血抜きを終えたシロちゃんがそのままアイテムボックスにオオカミをしまいました。
その後は襲撃とかもなく、お昼過ぎに無事に村に到着しました。
村といっているけど、結構大きくて人も沢山います。
確かに、この規模なら守備隊の詰め所があっても不思議じゃないね。
「レオ君、すまないが守備隊の詰め所まで来てくれないか? その代わりに、昼食は奢ろう」
道中倒したオオカミを解体しないといけないので、僕とシロちゃんはマックスさんの後をついてきました。
そして、厩舎のある守備隊の詰め所に到着です。
僕は、マックスさんの後をついていきながら詰め所の奥に進んでいきました。
「えーっと、どこにいるかな? あっ、いたいた。おーい、ちょっと来てくれ」
「隊長、どうかしたんですか?」
マックスさんが声をかけたのは、背の小さな女性隊員でした。
えっ、もしかしてこの人が解体のプロなの?
僕もシロちゃんも、あれってなっちゃいました。
「道中、オオカミを倒した。血抜きを済ませているから、いつも通り解体してくれないか。レオ君、彼女について行ってくれ」
「隊長、分かりました。直ぐに行います」
ということで、マックスさんと共に背の小さな女性隊員の後をついていきます。
そして、指定されたところでシロちゃんがアイテムボックスにしまっていたオオカミを取り出しました。
ドサドサ。
「わあ、完璧な血抜きです。レオ君の連れているスライムって、本当に凄いです」
女性隊員に血抜きを褒められて、シロちゃんはぷるぷるしながら嬉しがっていました。
そして、さっそくエプロンをつけた女性隊員による解体が始まりました。
シュパッ、シュパパパ。
目にも止まらない速度で解体が進んでいき、あっという間に一頭分の解体が終わりました。
この早業には、僕もシロちゃんもかなりビックリしました。
「わあ、お姉さん凄いです。あっという間に、解体が終わっちゃいました!」
「ふふふ、レオ君ありがとうね。血抜きが丁寧にしてあるから、余計な手間が殆どなかったのよ」
女性隊員はニコリとしながら次々とオオカミの解体をしていき、本当にあっという間に八頭のオオカミの解体が終わりました。
後片付けも手際良く済ませていきます。
そして、驚愕の事実が判明しました。
「レオ君、この隊員は私の娘だ」
「ええー! マックスさんの娘さんなんですか?!」
「ふふ。レオ君、いつも父がお世話になっています」
マックスさんが話した内容に、僕もシロちゃんもとってもビックリしちゃいました。
マックスさんは茶髪なのに、娘さんは赤髪だから全然分からなかったよ。
でも、マックスさんの娘さんだからこそ解体のプロなのかもしれません。
そして、昼食もマックスさんの娘さんが作ってくれたけど、とっても美味しいお肉料理でした。
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