第二百五十七話 オークの集団との戦い

 段々と村が見えてきたけど、煙は村から上がっているんだ!

 そして、村を守る木の柵の周りに、見たことのない大きな魔物が沢山いたよ。


「ぐっ、オークだけじゃなくて上位種のオークジェネラルまでいるわ」

「となると、オークキングもどこかにいる可能性もあるわね」


 数頭一際大きいオークがいたけど、オークはゴブリンみたいに上位種がいるんだね。

 フレアさんとミシャさんの言う事が正しいとなると、更に上位種がいるんだ。

 しかも、状況はかなりマズいみたいだよ。

 僕達は村の近くに馬車を停めて、兵と共に走り出しました。


「レオ君、オークと戦っている村人がいるわ。魔法を使って巻き添えを出さないでね」

「狙いはオークの頭部よ。どんな魔物でも、頭部を叩けば倒せるわ」


 フレアさんとミシャさんのアドバイスを受けながら、僕は腰からダガーを抜いてナイフをシロちゃんに預けました。

 シロちゃんは、直ぐにマシューさんの所に向かいます。


「サンダーランド辺境伯兵の踏ん張りどころだ。オークを駆逐して、村を救うぞ」

「「おう!」」


 マシューさんの激に応えながら、兵もオークに突っ込んで行きます。

 その間に、僕とフレアさんとミシャさんはオークとの戦闘を開始しました。


「はあ、せい!」

「やあ、とー!」


 ザシュ、ザシュ、ザシュ。

 ドッシーン。


「「「プギー!」」」


 剣を手にしたフレアさんとミシャさんが、体長二メートルを超えてかなり大柄なオークをまるで舞うかの様に次々と倒していきます。

 しかし、オークも仲間が倒されても全く怯む事なく僕達に向かってきます。


「えい、やあ!」


 ザシュ!

 ドッシーン。


 僕も、ダガーを手にしてオークの首を切断します。

 オークの動きが遅いから、僕の身体能力強化と剣技でも何とか戦えています。

 上手く他のオークを利用して、ジャンプしながらオークに斬りかかります。

 周りに誰もいなければ、エアーカッターでオークの首を跳ね飛ばします。


「小さな冒険者に負けるな、辺境伯兵の腕の見せ所だぞ!」

「おりゃー!」

「てい!」


 現場指揮の兵の檄に応える様に、サンダーランド辺境伯兵も次々とオークを倒していきます。

 オークの強烈なパンチを大きな盾で受け止めたり、足を攻撃してオークが倒れた所をトドメ刺したりと、抜群のコンビネーションでとってもカッコいいです。

 シロちゃんもマシューさんの肩に乗って、酸弾やホーリーバレットを飛ばして攻撃の支援をします。

 こうして皆で頑張って、三十分かけて村の入口に群がっていた約三十頭のオークを倒しました。

 マシューさんが周りへの指示モードに入ったので、早速シロちゃんがオークの血抜きを始めました。


 ぴかー!


「あの、大丈夫ですか?」

「ああ、助かった。あっ、村の中にもオークが入り込んでいるんだ!」


 重傷だった村の若者を治療すると、ハッとした感じで叫んでいた。

 残念ながら亡くなってしまった人も複数いて、現場はかなり凄惨な事になっています。


「よし、村の中に入ったオークを一匹残らず殲滅するのだ。これ以上、村人に被害を出すわけにはいかない」

「「「おー!」」」


 マシューさんの指示を受けた兵は、村の入口の警備の為の兵を残して村の中に入って行きました。

 その間に、マシューさんは通信用魔導具を使って増援を要請していました。


「マシューさん、まだ村の周りに何か反応があります!」

「申し訳ないが、三人は村の周りにいるオークを倒してくれ。追加の冒険者も、もうそろそろくるはずだ」

「「「はい!」」」


 マシューさんの指示を受けて、僕達は走り出しました。

 まだまだオークは沢山いるけど、ここは安全第一で頑張ります。


「「「ブヒャー!」」」

「まずは、前にいる三頭の首を魔法で切り落とします!」

「了解。一気に畳み込むわよ」

「怪我だけは注意ね」


 こうして僕とフレアさんとミシャさんは、僕のエアーカッターも交えつつ剣技を使ってオークを倒していきます。

 倒したオークは、どんどんと僕の魔法袋の中に入れていきます。

 身体能力強化をした状態で走るのにも慣れてきたので、移動もあっという間です。

 こうして追加の応援が来る前に、村の周りにいたオークは僕達三人で全部倒し切りました。


「マシューさん、村の周囲にいたオークはフレアさんとミシャさんと共に倒しました」

「そうか、助かった。村の中にいたオークも全部倒した。村人は、オークから逃れる為に、教会に逃げ込んでいた」


 村の周りを一周してきて、倒したオークをまとめて取り出しました。

 全部で四十頭はいるなあ。

 直ぐに、シロちゃんが倒したオークの血抜きを始めました。

 ともあれ、急ぎの対応は終わりだね。


「村の中でも死者が出たが、他は軽傷で済んだ。このくらいなら、兵が用意したポーションで事足りる」

「じゃあ、僕が作ったポーションを出しますね」

「ポーションがあるのは助かる。今はレオ君は治療に参加しないで、ゆっくりと休んだ方が良い。まだオークが来る可能性があると思ってくれ」


 実をいうと、身体能力強化を使っての戦闘は初めてだったので、結構疲れちゃいました。

 やっぱり、普段の訓練と実戦は全然違うね。


「私もちょっと休むわ。流石に疲れました」

「私もです。毎朝の訓練を再開してなければ、もっと早く駄目になっていました」


 フレアさんとミシャさんも、地面にぺたりと座り込んじゃいました。

 流石にあれだけの数のオークの相手は、フレアさんとミシャさんといえども疲れたみたいです。

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