第百四十九話 女の子の体調は?

 そして翌朝、僕は早く寝ちゃったのでその分早く起きちゃいました。

 うん、いつもよりも一時間も早く起きちゃったよ。


「うーん、この後どうしようかな? 取り敢えず、毎日の訓練をやっちゃおう」


 シロちゃんも起きてきたので、一緒に魔法の訓練をしたり剣技の訓練をします。


 シューン。


「うーん、やっぱり中々難しいなあ。早く魔法剣を発動させるようにしないと」


 ダガーを手にして魔法剣を発動させるけど、やっぱり魔法の制御がとても難しいです。

 訓練を続けて、早く魔法剣を扱える様になりたいな。

 そして、ちょっとビックリな事も起きました。


 パキーン。


「うわあ、シロちゃん凄い凄い! 魔法障壁が使えてるよ!」


 何と、シロちゃんが魔法障壁を使える様になっていました。

 しかも、盾みたいに前面に出すのと、シールドみたいに体を包み込むものの両方が使えています。

 シロちゃんも、少しずつパワーアップしてきているね。


「もぐもぐ。もうそろそろ大丈夫かな?」


 朝食のパンも食べ終えたので、僕はシロちゃんを頭に乗せて部屋の外に出ました。


 カチャ。


「「あっ」」


 ドアを開けたら、ちょうど侍従の人もドアを開けた所でした。


「おはようございます」

「おはようございます。お嬢様が目を覚ましたので、ちょうどお呼びしようと思っていた所でした」


 あっ、あの女の子が目を覚ましたんですね。

 僕は女の子の様子をみに、シロちゃんと一緒に侍従さんの後を付いていきます。


 カチャ。


「お嬢様、お待たせいたしました」


 部屋に入ると、昨日はベッドに寝ていたピンク色の髪の女の子がベッドから起き上がっていました。

 髪は肩より少し長くて、とっても綺麗です。

 僕は、女の子がいるベッドの側に行きました。

 シロちゃんも、僕の手のひらに移動しました。


「僕はレオです。このスライムはシロちゃんです」

「クリスはクリスティーヌなの。ありがとうなの」


 女の子はちょっとはにかみながらも、ニコリと笑って名前を言ってくれました。


「えっと、クリスティーヌさん?」

「クリスなの」

「クリスさん?」

「クリスなの」


 えっと、これはもしかして呼び捨てで呼んで欲しいって事なのかな?

 でも、女の子は公爵家の令嬢だし、呼び捨てはマズイような気がするよ。


 カチャ。


「ははは、クリスはレオ君の事が気に入ったみたいだな」


 ここで、チャーリーさんもちょっと笑いながら部屋の中に入ってきました。

 いやいや、でも呼び捨ては駄目ですよ。


「じゃあ、クリスちゃんって呼ぶね」

「分かったの、おにーさま」

「くくく、これは本格的にクリスはレオ君の事を気に入ったな」


 クリスちゃんが満面の笑みでお兄様っていうから、チャーリーさんが腹を抱えて笑い始めちゃったよ。

 でも、もう何を言っても無駄な気がするよ。

 とりあえず、治療をしないとね。


 ぴかー。


「ちょっとお腹が弱っていました。恐らく毒の影響が残っていたみたいですね」

「ふむ、となると今日はまだ大人しくしていた方が良いな」

「体力も完全に回復していないので、その方が良いかと」


 でも、昨日の危険な状態からはかなり良くなったね。

 キチンと食事をして良く寝たら、数日もあれば元気になるよ。


「レオ君、悪いがまた明日の朝にクリスの様子を見に来てくれないか?」

「はい、それは勿論です」


 クリスちゃんはまだ完調じゃないし、明日も治療が必要な可能性もあるもんね。


「じゃあ、クリスちゃん明日の朝また来るね。しっかりと休んでいてね」

「ありがと、おにーさま」


 僕とシロちゃんは手を振りながら、部屋を後にしました。


「クリスちゃんが元気になって良かったです」

「本当だな。昨日クリスが苦しんでいる姿を見ていただけに、あんなにも笑顔でいたのは間違いなくレオ君のお陰だ。改めて礼を言おう」


 チャーリーさんも、クリスちゃんが元気になってホッとしているみたいです。

 チャーリーさんの表情も、昨日より穏やかになっています。


「レオ様、ユリア様とイリア様がお見えになっております」


 侍従さんが教えてくれたけど、ユリアさんとイリアさんが別荘に迎えに来てくれる事になっていたね。

 僕は、チャーリーさんと一緒に玄関に向かいます。


「ユリアさん、イリアさん、おはようございます」

「おはよう、レオ君」

「昨日の活躍は聞いたよ」


 昨日の僕の活躍って、もしかしてバーサス子爵の別荘での件かな?

 というか、もう街の人に知られちゃったんだ。


「悪いが、明日朝またレオ君を連れてきてくれないか?」

「畏まりました」

「本日と同じ時間にお連れいたします」


 おお、ユリアさんとイリアさんがチャーリーさんに綺麗な挨拶をしているよ。

 チャーリーさんも、ユリアさんとイリアさんの挨拶を見てニコリとしているよ。


「一晩ありがとうございました」

「こちらの方こそ世話になった。また明日頼むぞ」


 僕もチャーリーさんに挨拶をして、別荘を後にしました。

 コバルトブルーレイクの街に来たばっかりなのに、昨日は色々とあったね。

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