第四百四話 守備隊の治療をします
そして、どんどんと教会前に怪我をした守備隊員が運ばれてきた。
鎧を着ているけど、噛まれたり引っかかれたりした人が多いです。
「わあ、沢山の人がやってきました。シロちゃん、ユキちゃん、すぐに治療しよう!」
「アオン!」
「私達も手伝いますよ」
教会の中からもシスターさんが沢山駆けつけて、守備隊員が着ている鎧を脱がせるのを手伝っています。
イストワールさんとシャンティさんも、守備隊の責任者と話をして忙しく現場統制をしています。
その間に、僕達は手分けして治療を始めました。
シュイーン、ぴかー。
「これで、噛まれた腕の傷口は良くなったと思います。痛みはどうですか?」
「凄い、全然痛くないし傷も塞がっている。流石は黒髪の魔術師だ!」
今は怪我をした人とゆっくり話す時間がないので、僕は手早く治療をしていきます。
シロちゃんとユキちゃんも、何とか頑張って怪我人を治療していますね。
そして三十人くらい治療をしたところで、一番の重症者が台車に乗せられて運ばれてきました。
ガラガラガラ。
「うっ、ううっ……」
「おい、大丈夫か?」
「しっかりしろ!」
運ばれてきた人の右の手首辺りが血塗れだと思ったら、何と右の手首から先を失っていました。
きっと、オオカミに噛みちぎられちゃったんだ。
これで怪我人は最後なので、全力で治療をしないと。
僕の側に、シロちゃんもやってきました。
よーし、やるぞ。
シュイン、シュイン、シュイン、シュイン。
「な、なに? 何だこの魔法陣の数は?」
「す、凄いことになっているぞ」
僕とシロちゃんが沢山の魔力を集め始めると、発現した魔法陣の数に守備隊員がかなり驚いていた。
でも、周りの反応を気にしている暇はないので、僕とシロちゃんは目の前の怪我をした守備隊員に集中します。
シュイン、ぴかー!
「なっ、何という魔法だろうか!」
「ま、眩しい!」
守備隊員も、教会のシスターも、教会前を行き来する人々も、僕とシロちゃんが放った魔法の光の眩しさに手で目を覆っていました。
魔力も残り少なかったけど、手応えはバッチリです。
「すー、すー」
「はっ、手が生えているぞ?」
「そ、そんな。奇跡が起きましたわ……」
怪我をした守備隊員の右手は綺麗に再生されて、今は規則正しい寝息が聞こえています。
周りにいた人は、手が再生されたのを見て固まっちゃいました。
「アオン、アオン!」
「うん、元気になって良かったね」
「アオン!」
ユキちゃんは、僕に飛びついて怪我人が良くなって喜んでいます。
尻尾もブンブンと振っていますね。
そんな中、平然としながら僕に話しかけて来た人がいました。
「レオ君、お疲れ様ね。ひとまず、怪我人はこれで全部だそうよ。巡回を強化しているから、もう少し怪我人が出る可能性はあるけどね」
「それは良かったです。流石に魔力があと少しだったので」
魔法袋から取り出したタオルで汗を拭いていると、イストワールさんが僕に話しかけてきました。
現場も何とか落ち着いたみたいで、追加の守備隊員も到着した。
怪我をしていた人も、部隊の詰め所に帰るそうです。
手首を再生した人は出血量が多いので、このまま治療施設に入院します。
これで全部対応完了です。
「く、黒髪の天使様は、欠損部の再生をするとは……」
「しかも、魔力を使い切るまで治療するなんて」
「ありがたやー」
何故か足を止めた街の人が僕を見て拝んでいるけど、そんな大した事はしていないですよ。
そう思ったけど、沢山の人が集まってきたから一旦バーボルド伯爵家の屋敷に戻る事になりました。
そして、応接室に集まって報告をする事に。
「まず、街道の通行人に怪我がなくて良かった。レオ君達のお陰で守備隊員への治療もスムーズに行われたみたいだし、死者が出なくて本当に良かった」
ネストさんも、無事に事態が収まってホッとしています。
僕も、街道を歩く人に何もなくて良かったと思っています。
「レオ君も疲れただろうから、昼食を食べてお昼寝してから買い物にいきましょうね」
「今日のお礼も含めて、いっぱい服を選んであげるわね」
こうして、イストワールさんとシャンティさんの提案通り、僕たちは昼食を食べてお昼寝してから買い物に向かいました。
これから暖かくなるからと半袖の服とかも沢山買って貰い、更にはシロちゃん用のバンダナも沢山買って貰いました。
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