第五百三十二話 ディフェンダーズ伯爵領に到着
翌朝も、早く起きて準備を整えたら馬車に乗って出発です。
問題なければ、今日中にディフェンダーズ伯爵領に到着します。
出発前に、みんなで新鮮な野菜を買って魔法袋に入れました。
流石は治療班、カーラさんもちょっとだけ魔法が使えるので魔法袋が使えるそうです。
「これで美味しい料理を作って、負傷した兵食べさせてあげたいわ」
カーラさんは料理も得意なので、負傷した兵も元気になりそうです。
準備も整ったので、僕たちは馬車に乗って出発しました。
「フシュー、フシュー」
「可愛いわね。鼻息たてながら寝ているわ」
今日のユキちゃんは、マイアさんに膝枕をしてもらいながら寝ちゃっていました。
朝早かったら、その分ちょっと寝ちゃうんだよね。
でも、最初に会った頃よりも随分と体が大きくなりました。
馬車も順調に進んでいき、前に男爵様を救った男爵領も通過します。
適宜休憩も入れつつ、夕方前にはディフェンダーズ伯爵領に到着しました。
すると、教会前にちょうど知り合いがいました。
「あっ、ハルカさん、ヒカリさん、お久しぶりです」
「レオ君、ちょうど良い所に。神は私たちを見捨てていなかったわ」
「治療を手伝って欲しいの。ディフェンダーズ伯爵領にも負傷した兵が運ばれたの」
ヒカリさんの話を聞いて、僕たちは思わず顔を見合わせちゃいました。
一瞬ディフェンダーズ伯爵領でも戦闘が起きたって思ったけど、それはないらしい。
でも、サンダーランド辺境伯領で起きた戦闘で、ディフェンダーズ伯爵領まで怪我人が運ばれるなんて、これは結構大変な事になっていそうです。
「みんな、治療を行いましょう。戦闘で負傷した兵を見過ごすことは出来ないわ」
「「「はい!」」」
アイリーンさんが僕たちに声をかけ、教会に馬車を停めて急いで治療施設に向かいました。
すると、二十人程の兵が腕を骨折するなどしていました。
どうやら、自力で歩ける人がディフェンダーズ伯爵領に搬送されたみたいです。
「皆さん、軍の特別治療班です。直ぐに皆さんを治療しますのでご安心下さい」
「アオン!」
アイリーンさんが負傷した兵に声をかけると、兵から安堵の声が聞こえました。
それぞれ手分けして治療を始めたけど、僕は手首を失った三人の兵の元に向かいました。
「直ぐに治療を行うので、待っていてください。先に包帯を外しちゃいます」
「あ、ああ。痛っ」
包帯を外すと生々しい傷跡があったけど、ここは頑張って治療をしないと。
僕は、シロちゃんと一緒に魔力を溜め始めました。
ちなみに、ユキちゃんはカーラさんと一緒に治療を行ってます。
シュイン、シュイン、シュイン、ぴかー。
「うお、な、なんだ? 手が生えたぞ!」
「や、やはり黒髪の天使様の魔法は素晴らしいわ」
手首から先の再生だけなので、そんなに魔力は必要ありません。
兵も看護役のシスターもとっても驚いていたけど、ここは直ぐに治療を行わないとね。
ということで、僕とシロちゃんは残り二人の兵の手首の再生を行いました。
「さてと、後は……」
「レオ君、お疲れ様。他の兵は全員治療を終えたわ」
「アオン!」
得意げなユキちゃんとともに、カーラさんが僕に声をかけました。
流石は軍でも優秀な治療班です。
それに、手分けするとあっという間に治療を終えることが出来るんですね。
すると、ハルカさんが僕たちに声をかけてきました。
「皆さま、突然のお願いにも快く対応して頂き、本当にありがとうございました」
「奥様、これが私たちの仕事ですのでお気になさらず。しかし、思ったよりも戦火が拡大しているのですね」
「ええ、そのようです。しかし、皆さまがいてくれると思うととても心強く思います」
アイリーンさんが返答したけど、思った以上に大変な事になっていそうです。
もしかしたら、サンダーランド辺境伯領に着いたら直ぐに治療になりそうですね。
治療対応も終わったので、僕たちはハルカさんたちと一緒に屋敷に向かいました。
「運良くと言いますが、皆さんが我が伯爵領に立ち寄って頂いたことで多くの兵を救うことができた。私からも感謝を言う」
応接室に案内されると、ヒカリさんとともにマンデラ様も入ってきて僕たちに労いの言葉をかけてくれました。
僕たちとしては、やれることを頑張っただけなんだよね。
「どうも、帝国の攻撃が激しくて、怪我人が多く出ているようだ。しかし、レオ君もいる治療班ならきっと大きな力になるだろう」
マンデラ様も状況を悲観しつつ、僕たちの存在を嬉しく思っていました。
しかし、僕のことで何だか物凄いことまで言ってきました。
「しかし、レオ君もようやく騎士爵か。宮廷魔導士になったとはいえ、あれだけの功績を残したものに対して、褒賞が少ないな。法衣男爵くらいはあって然るべきだろう」
「私もそう思います。功績が溜まりまくっていますので、恐らくこの治療が終われば間違いなく爵位は上がるものかと」
「仕事が終わったら、私も推薦文を王都に送ろう。今更だがな」
あのあの、僕としてはそんな凄い爵位は大丈夫ですよ。
今だってアップアップなのですから。
そんな事を言ったけど全く聞き入れられず、逆に他の面々やヒカリさんも加わって僕の将来についてで盛り上がっちゃいました。
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