第四百三十七話 軍の治療施設で治療開始
僕も目の前の事を頑張ろうと思い、兵の案内で軍の治療施設に向かいました。
ナンシー侯爵と会ってから程なく治療施設に着いたので、先導してくれた兵に治療について確認をします。
「誰か、優先的に治療しないといけない人はいますか?」
「一人、現場指示をする軍の司令官の治療をお願いします。以降は、大部屋からお願いします」
一人、優先的に治療する人がいるんだ。
よーし、頑張って治療しよう!
僕たちは、ふんすってやる気満々で兵の後をついていきました。
治療施設は三階建てで、僕たちは三階に上がって行きました。
コンコン。
「司令官、治療にきました」
「入ってくれ」
ある個室の前で兵がドアをノックすると、中からちょっと渋い声が聞こえました。
入ると、茶髪の短髪に立派なあごひげが生えている軍人がベッドに横たわっていて、ベッドサイドに立っている部下に指示を出していました。
よく見ると、軍人の右足が膝下からなくなっていました。
これは、結構な重症ですね。
「ふむ、君がレオか。色々と話は聞いている。足はどうしようもないと思っているが、せめて動けるようにしてくれるとありがたい」
おお、迫力満点で僕に話してるよ。
さすが司令官さんです。
でも、僕はキチンと足も治療しますよ。
お話が終わったタイミングで、僕とジェシカさんの腕の中にいたシロ
ちゃんは、司令官さんの側にいきました。
ではでは、さっそく治療を始めましょう。
司令官さんに軽く魔力を流してっと。
「左足も膝を痛めています。あと、腰と背中にお腹の中も悪いですよ」
「ほお、直ぐに体の悪いところを当てたか。さすがだな」
司令官さんが感心したように話をするけど、お腹の病気は結構重病な気もするよ。
これは頑張って治療をしないと。
僕とシロちゃんは、いっぱい魔力を溜め始めました。
シュイン、シュイン、シュイン。
「な、なんだこの魔法陣の数は」
「いったい、どんな治療を行うんだ?」
沢山の魔法陣が司令官さんを中心に現れたので、部下の人はかなりビックリしちゃいました。
でも、本番はこれからです。
僕とシロちゃんは、溜めた魔力を一気に開放しました。
シューン、ぴかー!
多くの人が治療の光の眩しさで目を覆っていますが、僕とシロちゃんの治療はバッチリ手ごたえがあります。
でも、やっぱり事前の確認通りの結果でした。
「ふう、足も無事に再生出来ました。でも、お腹の病気の方がもっと重症でしたよ」
「まあ、下手したら一年持つかどうかって言われていたからな」
あの、そんな重症だったらもっと早く治療をして下さい。
あっけらかんと話す司令官さんの包帯とかをジェシカさんとシロちゃんにユキちゃんが外しているけど、部下の人は元気になった司令官さんを見てぽかーんとしちゃいました。
「そ、そんな。無くなった足が生えている……」
「しかも、司令官の腹部は相当重症だったはず。これが、黒髪の魔術師の力なのか……」
重症だった司令官さんがぴんぴんしているのを見ると、部下の人もビックリしちゃうよね。
さて、魔力を三分の一使っちゃったけどまだまだ元気です。
「では、僕は大部屋にいる人の治療に行きますね。リハビリ、頑張って下さい」
「おう、レオも頑張れよ」
「「司令官の治療、ありがとうございます」」
僕が挨拶をすると、部下の人が直立不動で敬礼をしていて、ユキちゃんが可愛らしく敬礼をしていました。
僕たちも、ペコリと頭を下げてから部屋を出ました。
「大部屋は二階になります。ご案内します」
再び、兵の案内で僕たちは二階に向かいました。
よーし、この後も頑張って治療しよう!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます