第四百三十八話 レジーナさんとのお茶会
午前中いっぱいかけて、大部屋に入院していた人を治療しました。
僕とシロちゃんは司令官さんの治療にたくさん魔力を使っちゃったけど、その代わりにユキちゃんがとっても頑張ってくれました。
自らジェシカさんの手を引っ張って一緒に治療している姿は、見ていてとってもほっこりしました。
ジェシカさんも、頑張っているユキちゃんにほっこりしながらも色々と手伝ってくれました。
お陰で、十人が入院している大部屋を四つ治療できました。
残り半分みたいなので、明日も頑張って治療します。
「色々と案内してくれてありがとうございます。明日も頑張って治療します」
「多くの負傷兵を治療頂き、本当に感謝申し上げます。明日も、私がご案内いたします」
僕は色々と先導してくれた兵に挨拶をして、みんなと一緒に馬車に乗り込みました。
冒険者ギルドで手続きをして、フランソワーズ公爵に戻りました。
直ぐに昼食になったのですが、話題は僕が軍でどんな治療をしたかでした。
さっそくウェンディさんが、興味津々で聞いてきました。
「えーっと、今日は先に右足を失ってお腹が良くなかった司令官さんを治療しました。右足の再生は上手くいったんですけど、実はお腹の治療の方が大変でした」
「えっ? レオ君、失った右足を再生させたってどういうこと? まさか、切断していた足が新たに生えたの?」
「はい、そうです。今日は膝下から切断されていたんですけど、上手く治療できました」
僕とシロちゃんはやり切った表情で説明したけど、質問をしたウェンディさんはもちろんのこと、モニカさんとアレックスさんもぽかーんとしちゃいました。
ターニャさんとクリスちゃんは、いつもと変わらぬ笑顔を見せていますね。
今のうちに、説明を続けちゃいましょう。
「司令官さんの治療で沢山の魔力を使っちゃったんですけど、大部屋に入院している人の治療はその分ユキちゃんとジェシカさんがとっても頑張ってくれました。四十人くらい治療ができたので、明日はもっと頑張ります!」
「いや、あの、大部屋に入院していた人の治療数も物凄いんですけど……」
「やっぱり、レオ君はレオ君だったのね」
僕たちのやる気を見たウェンディさんとモニカさんが苦笑していたけど、いつもこのくらいは治療していたから全然気にしていないんだよね。
さてさて、この後はナンシー侯爵家のお茶会に行くんだけど、今日は僕だけじゃなくて王城でナンシー侯爵のお母さんを治療した際にいた面々も一緒です。
ということで、着替えをしたらモニカさんを筆頭に、ウェンディさん、アレックスさん、クリスちゃんと一緒に馬車に乗り込みます。
ちなみに、ナンシー侯爵家はフランソワーズ公爵家のすぐ側だそうで、実際に十分もかからずに屋敷に到着しました。
屋敷に到着すると、ナンシー侯爵のお母さんが出迎えてくれました。
「皆さま、お待ちしておりました。どうぞこちらへ」
僕たちを案内するその足取りは軽やかで、王城で倒れた影響を微塵も感じさせません。
元気になって、本当に良かったです。
応接室に入って、改めてナンシー侯爵のお母さんが僕にお礼を言ってきました。
「初めての方もいるわね。私は、レジーナよ。黒髪の天使様ことレオ君、私の命を救って頂き本当に感謝するわ。ありがとうね」
「僕も、無事に治療できて良かったです。お元気になって、何よりです」
「実はね前から調子が悪くて、冒険者ギルドや教会に腕の良い治癒師をお願いしていたのよ。もしかしたら、レオ君にも話がいっていたかもしれないわ」
あっ、確か貴族から個別の治療依頼があるって、冒険者ギルドのシシーさんが言っていたっけ。
そのうちの一つが、レジーナさんの治療依頼だったんだ。
僕としては、目の前で体調が悪くなっている人を助けただけなんだよね。
そして、レジーナさんが色々と話し始めました。
「息子が、レオ君にとても感謝していたわ。孫が迷惑をかけたのに、私を治療してくれた上に普通に接してくれたって」
「うーん、僕としては特別なことは思ってなかったですよ」
「レオ君ならではの純粋さが、きっとそうさせているのよ。レオ君は、気にしなくて良いわ」
僕は、シロちゃんとユキちゃんと一緒にうーんって考えちゃいました。
でも、気にしなくていいって言ってくれたので、いつも通り頑張ろう。
「あと、孫のバートンがレオ君に酷い事をして申し訳なかったわ。亡くなった私の夫は極端な貴族主義の考えを持っていて、バートンも大きな影響を受けてしまったのよ。だから、平民で有名な魔法使いだったレオ君の存在が許せなかったのよ」
「僕は、もう大丈夫です。オーガスタさんから色々な事を聞いていますし、恨んだりとかはなので」
「レオ君は、本当に賢くて優しい子だね。だからこそ、黒髪の天使様っていわれるのね」
バートンさんの件はキチンと処分されているので、この事はもう大丈夫です。
その後も、レジーナさんと色々なお喋りをしました。
とっても穏やかなおばあちゃんなので、常にニコニコしながら僕たちとお話していました。
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