第百七十話 勲章の授与式だよ
「ごほん、ではレオへの勲章授与式を始める。レオは前へ」
「はい」
シェファードさんがキリリとした表情で僕の名前を呼んだので、僕もちょっと気合が入っちゃったよ。
「王国の代理として、コバルトブルーレイク直轄領代官がレオへ勲章の授与式を執り行う。セルカーク直轄領での代官と司祭の不正を暴いた功績、並びにコバルトブルーレイク直轄領で発生した毒ポーション事件を解決に導いた功績を持って、レオへ勲章を授ける」
「ありがとうございます」
パチパチパチ。
シェファードさんが、僕の着てる服に大きな勲章をつけてくれたよ。
会場に集まった人が大きな拍手をしてくれて、クリスちゃんも一生懸命に拍手してくれました。
「続いて、王国軍よりレオへの勲章の授与式を執り行う。コバルトブルーレイク直轄領に属する村で発生したゴブリン騒ぎに際し、ゴブリンジェネラル及びゴブリンキングを単独で打ち破り、更に多くの傷ついた人を治療し一人の死者を出さなかった。この功績を称え、王国軍よりレオへ勲章を授ける」
「ありがとうございます」
パチパチパチ。
続いて師団長さんが、別の勲章を僕の服につけてくれました。
またしても、大きな拍手が起きました。
クリスちゃんもニコニコしていますね。
「以上で、勲章授与式を終了する。この後会場の配置を変更して昼食会を執り行う」
ふう、緊張したけど何とか無事に終わったよ。
僕達がシェファードさんと師団長さんのいる前の方に移動すると、沢山のメイド服を着た人がテーブルとかを移動し始めたよ。
あれ?
ユリアさん達が、メイド服を着た人に混ざっていたよ。
「ユリアさん、イリアさん、ナナさん、今日は代官邸でのお仕事何ですか?」
「そうよ。レオ勲の勲章授与式で人手が必要なのよ」
「こういう突発的な依頼もあるのよ」
「ユマとハナは、この後料理を持ってくるわ。楽しみにしていてね」
とても忙しそうに働いているのでちょこっとだけ話をしたけど、皆が授与式を手伝ってくれてとっても嬉しいな。
そんな事を思っていたら、師団長さんが話しかけてきました。
「レオ君、今話した侍従と知り合いなのか?」
「今僕がお世話になっている双子の冒険者さんと、僕が魔法を教えているお姉さんです」
「ほう、レオ君の師匠と僅か十日で魔法を放てたというレオ君の初めての弟子か」
ざわざわざわざわ。
師団長さんが興味深そうに話したら、周りの人がざわざわとし始めたよ。
そして、チャーリーさんも僕に話しかけてきました。
「まだ随分と若いが、レオ君の師匠なのかい?」
「僕がアマード子爵領からコバルトブルーレイク直轄領に来る時にずっと一緒にいて、ゴブリンキングを倒す時も良いヒントを教えてくれたんです。今も、毎朝剣を教えてくれています。アマード子爵領でも、教会の修繕の指揮をしていたんですよ」
「ほうほう、中々有望な冒険者みたいだな」
チャーリーさんがふむふむと頷くと、昼食会の準備をしていたユリアさんとイリアさんの顔が少し赤くなったよ。
でも、僕が話しているのは本当の事だし、実際にユリアさんとイリアさんは凄い冒険者だもんね。
「そういえば、レオ君がどうやって魔法を教えたか、聞かせて貰うんだったな」
「うーん、と言っても特別な事はしていないですよ。二日間は僕とシロちゃんでナナさんと手を繋いで魔力循環をして、昨日までは魔力制御の訓練をしていました。後は魔法はイメージがとても大切だと教わったので、同じ事をナナさんに伝えていました。もしかしたら、冒険者ギルドで不良冒険者を倒した時に、いっぱい闇魔法を披露したのもあるのかもしれません」
「ふむ、魔力循環に魔力制御とイメージか。後で軍の魔法使いに話を聞いてみるが、どれかが欠けている可能性が高そうだな」
もしかしたら、魔法使いは軍でも少ないって聞いたから、訓練方法が出来ていないかもしれないね。
でも、師団長さんなら上手く解決してくれるかもしれないね。
「クリスティーヌ様、可愛らしいスライムですわね」
「しろちゃんっていうの。おにーさまのすらいむで、まほーがつかえるんだよ」
「何と、黒髪の天使様は魔法を使うスライムを使役しているのか!」
クリスちゃんに話しかけている人もいるけど、シロちゃんが凄いスライムでびっくりしているよ。
あと、シロちゃんは友達だから、使役している訳じゃないんだよ。
「マリアージュ卿、私どももレオ君と話してもよろしいでしょうか?」
「おお、構わんよ。ただ、小さい子どもとはいえ本日の主賓である事は忘れぬように」
「心得ております。先程レオ君がマリアージュ卿と師団長殿と話されている時、幼い子どもとは思えぬ程理路整然と話をしておりました。我々もとても驚愕しております」
あっ、師団長さんにチャーリーさんと色々話し過ぎちゃったかも。
僕は、授与式の参加者とも色々話をしました。
僕の何でもない話にもニコニコしながら聞いてくれて、今日集まっている人はとても良い人だなあと改めて思いました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます