第百六十九話 急いで侍従の人を治療します
お茶のおかわりを貰おうかなと、侍従の人に声をかけようとしました。
あれ?
侍従の人の顔が真っ青だよ。
汗も沢山かいていて、物凄く体調が悪そうだ。
「お姉さん、大丈夫ですか? 僕、治療します!」
「す、すみません。頭痛が酷くて、フラフラしていまして……」
「そ、それは大変です!」
僕は侍従の人をソファーに座らせて、軽く魔力を流して体の様子を確認します。
うーん、頭もそうだけど胸にももやもやがあったよ。
もやもやが濃いから、急いで治療しないと。
ぴかー。
僕は侍従の人が治るようにと、頑張って治療しました。
ちょっと症状が重いから、思ったよりも魔力を使っちゃった。
でも、侍従の人が元気になって欲しいから、僕も頑張ります。
「ふう、これで良いはずです。でも、無理をしていたから体力をだいぶ使っていますよ」
「あっ、ありがとう、ございます……」
侍従の人の顔色はだいぶ良くなったけど、まだフラフラですね。
きっと体調が悪いのがバレないように、かなり無理をしていたんだ。
僕は廊下に出て、辺りをキョロキョロと見回しました。
あっ、いた。
「すみません」
「あら、レオ君、どうかしましたか?」
体調が悪い人と同じメイド服を着た人がいたので、話をしないと。
「応接室にいた侍従の人がかなり体調悪いみたいです。治療したんですけど、フラフラで動けないみたいです」
「まあ、治療して頂きありがとうございます。直ぐに向かいますわ」
少し年配の侍従の人と一緒に、僕は応接室に戻りました。
「まあ、まあ、これは。あなた、大丈夫?」
「お、奥様。も、申し訳ありません……」
「良いのよ、無理をしなくて。レオ君、治療をしてくれて本当にありがとうね」
直ぐに少し年配の侍従の人が他の侍従の人を手配してくれて、体調が悪い侍従の人を運び出してくれました。
「治療は上手くいったので、後は体力が戻れば大丈夫ですよ。でも、だいぶ具合が良くなくて、このまま放置していたら危ない所でした」
「まあ、そんなに悪かったのね。あの子の体調の悪さを見抜けなくて、私もとても悪い事をしたわ」
年配の侍従の人が少し悔しそうな表情をしているけど、あの侍従の人もシェファードさんとチャーリーさんにバレないようにしていたんだもんね。
きっと、ふと気が抜けたタイミングで一気に悪くなっちゃったんだ。
コンコン。
「失礼します。授与式の準備が整いました」
「ありがとう。レオ君は私が連れて行くわ」
「畏まりました」
ドタバタしていたら、ちょうど授与式の時間になったみたいですね。
僕はそのまま年配の侍従の人と一緒に、授与式会場に向かいます。
「本日は、舞踏会なども開かれる大ホールで授与式を行います。その後、会場のレイアウトを変更して立食パーティーを行いますわ。レオ君とクリスティーヌ様用に、座れる席も用意しております」
授与式は直ぐに終わりそうだけど、お昼までは間違いなく時間がかかりそうだね。
そして、僕は授与式会場となる大ホールに到着しました。
ガチャ。
重厚な扉が開くと、多くの人が待っていました。
その中を、侍従の人と僕が進んで行きます。
「レオ君をお連れいたしました」
侍従の人がシェファードさんに話しかけたら、シェファードさんはとてもびっくりした表情になったよ。
何かあったのかな?
「何故、ヘレーネがレオ君を連れてきたのか?」
「応接室にて待機していた侍従が体調を崩して、レオ君が急いで治療してくれたの。それで、私達に助けを求めたのよ」
「「「おおっ」」」
侍従の人がシェファードさんに話をすると、集まった人から感嘆の声が上がったよ。
僕としては、目の前で苦しんでいる人を助けただけなんだけどね。
「しかも、応接室に待機していた侍従はかなり体調が悪くて、レオ君が治療してくれなければ少し危ない所でしたわ」
「それは私の管理不足だ。レオ君、妻ともどもお礼を言うよ」
「僕は出来ることをしただけ……えっ、もしかしてシェファードさんの奥さんなんですか?」
「そうだよ、私の妻のヘレーネだ。侍従の格好をしているがね」
えー!
とてもテキパキしていたから、本物の侍従の人だと思っちゃったよ。
シェファードさんはとても偉い人なのに、こういう人が奥さんなんだね。
「詳しい紹介は後にしよう。さあ、勲章の授与式を始めようか」
おっと、いよいよ授与式が始まるんだね。
ヘレーネさんも、シェファードさんの側に控えて準備万端です。
チャーリーさんも師団長さんも引き締まった顔に変わったし、僕も緊張してきちゃった。
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