第四百九十二話 無事に新人兵の訓練が終了
郡の施設で昼食を食べた後、さっそく治療施設に移動しました。
大部屋は全て埋まってないけど、それでも沢山の人が入院していました。
幸いな事に重傷者はいなくて、これならユキちゃんでも全員治療できるレベルです。
ではでは、先ずは僕が治療のお手本をします。
「治療をする時は、相手に軽く魔力を流します。すると、どこが悪いがが返ってきます」
シュイン。
「えっと、この人は膝と腰の怪我に加えて背中も痛めていると分かります」
「すげーな、ピタリと当てたぞ。流石は黒髪の魔術師だ」
僕がお手本を見せると、新人兵はみんな真剣にメモを取っていました。
アイリーンさんとスカラさんは、僕の教える様子を満足そうに見ていました。
「では、治療します。悪いところを治すイメージで回復魔法を流すと、魔力が少なくて済みます。でも、多少多めに回復魔法をかけても影響はありません」
シュイーン、ぴかー!
「心配だったら、もう一度軽く魔力を流してみるのもいいです。良くなっていたら、悪いところの反応が返ってきません」
「おお、あっという間に治ったぞ。説明しながらでも、的確な治療だな」
「わわっ!」
治療を受けた兵が僕の頭を撫でていたけど、説明はこれで終わりです。
さっそく実践ということで、新人兵が怪我人の治療を始めました。
僕は何かあった時の為に待機していて、シロちゃんとユキちゃんは新人兵のサポートにつきます。
「ほらほら、肩に力が入っているわ。一回目を瞑って、深呼吸してリラックスしましょう」
「はっ、はい!」
マキシムさんにはスカラさんがついているけど、まだまだ力が入っているみたいです。
でも、治療自体は丁寧に行っていて、僕の目から見ても全く問題ありません。
場数を踏んで、慣れることが重要ですね。
シロちゃんもユキちゃんも、ジェスチャーを交えながら丁寧に教えています。
二匹とも、良い感じですね。
こうして一部屋目が終わったので、二部屋目に移ります。
ここでも、さっそく新人兵が治療を始めます。
シュイーン、ぴかー!
「おお、痛いのが良くなったぞ。ねーちゃん、ありがとうな」
「い、いえ……」
入院している兵から褒められて、新人兵の女性も思わずニンマリとしていました。
マキシムさんも、やっぱり場数を踏むと段々と良くなってきました。
こうして、二時間かけて無事に大部屋に入院している人の治療を終えました。
僕たちは、再び訓練所に戻ってきました。
剣士タイプの兵と共に、元の位置に集まります。
すると、バッツさんが新人兵に明日の予定を説明し始めました。
「それでは、本日の訓練を終わりにする。明日は安息日で、大教会前で奉仕活動が行われる。そこで、新人兵の諸君も活動して貰うことになる。聖騎士との連携、列に並んだ住民の整理、スリなどへの警戒など、やる事は沢山ある。治療兵は、実際に住民への治療を行う。本日はしっかりと体を休め、明日に備える様に」
「「「はい!」」」
そういえば、僕も明日は大教会で奉仕活動を行うんだよね。
これは、ある意味気合が入りますね。
これで、今日の訓練は無事に終わりました。
「レオ君、今日一日ありがとうね。明日も一緒になるけど、また宜しくね」
「今日は本当に助かったわ。本当にありがとうね」
アイリーンさんとスカラさんと挨拶をして、僕たちは馬車に乗り込んで屋敷に戻りました。
今日は、色々な意味で勉強になったね。
すると、屋敷に帰ったら出迎えてくれたモニカさんがこんなことを言っていました。
「明日の奉仕作業には、ウェンディとクリス、それにマヤちゃんも参加する予定よ。他の貴族令嬢もいるから、きっと新人兵にとっても良い訓練になるはずね」
おお、まさかのクリスちゃんたちも明日は参戦ですか。
きっと、とっても盛り上がる奉仕活動になりそうですね。
これも、ゴルゴン侯爵の件が落ち着いたのもあるかもね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます