第四百九十三話 みんなで大教会へ
翌日、僕はウェンディさん、クリスちゃん、マヤちゃんの他にターニャさんも引率として一緒に行くことになりました。
「いーな……」
アレックスさんが恨めしそうに僕たちを見ているけど、どうもアレックスさんは次期当主としてのお勉強が待っているそうです。
こればっかりは、どうしようもないですね。
着替えて馬車に乗り込んで、いざ出発です。
「これはこれは、ターニャ様ではありませんか。よくおいで頂きました」
「教皇猊下、いつもレオ君を見て頂き感謝申し上げます。本日は娘も参加いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします」
「こちらこそ、宜しくお頼み申す」
大教会に着くと、直ぐに教皇猊下とターニャさんがお互いににこやかに話し始めた。
どうも今日の炊き出しは結構規模が大きいみたいで、僕たちは別の人に捕まっていました。
「ふふ、みんなと炊き出しができるなんて、私もとっても楽しみだわ」
「「お、おばあさま……」」
なんと、今日はヒルダさんも炊き出しにやってきました。
しかも、いつの間にかマヤちゃんを抱っこしています。
突然の展開に、ウェンディさんとクリスちゃんもちょっと困惑していました。
でも、これはマヤちゃんはフランソワーズ公爵家だけでなくマリアージュ侯爵家の加護下にあるぞと、周囲にアピールしているのかもしれない。
周囲には別の貴族令嬢も集まっているので、遠巻きにこちらの様子を見ていた。
そんな中、何人かの貴族令嬢が僕たちのところにやってきた。
「「皆さま、おはようございます」」
「ええ、おはよう」
「「「おはようございます」」」
最初にやってきたのは、いつも奉仕作業で一緒になるライサさんとジーナさんが声をかけてました。
元々ウェンディさんは二人と顔見知りらしく、クリスちゃんも普通に挨拶していました。
ヒルダさんも、普通に二人とにこやかに話をしていますね。
そして、更にこの人たちがやってきました。
「ヒルダ様、レオ君おはようございます」
「あら、アイリーンじゃない。おはよう」
「おはようございます」
今日も騎士服のアイリーンさんが、一人の女性を連れて僕たちに挨拶してきました。
その人はアイリーンさんと同じく銀髪に近い白髪をショートヘアにして、お顔もとっても似ています。
この人って、もしかして……
「レオ君、初めまして。アイリーン姉様の妹のケイトよ。姉様から話を聞いていると思うけど、普段はセルカーク直轄領で守備隊をしているのよ」
「あっ、僕がベッドを借りていた人ですね。本当にお世話になりました」
「良いのよ。セレンがとっても可愛い男の子って言っていたから、どんな子なのかとっても気になっていたのよ」
とっても優しそうな人で、にこやかに僕とも握手してくれました。
お茶会前に顔を合わせることができて、僕もホッと一安心です。
「実はね、年に一回は研修を兼ねて実家に顔を出しているのよ。お父様が心配性で、たまに顔を見せないと駄目なのよ」
「ふふ、親は何歳になっても子どもが心配なのよ。私も、子どもや孫を常に気にかけているわ」
ケイトさんのぼやきに、ヒルダさんもしょうがないのよと苦笑していました。
うーん、僕の親はどうしようもなかった人だったけど、確かにモニカさんやターニャさんはとっても良い親だもんね。
そして、他の軍人と新人兵も教会の中に入ってきました。
バッツさんとスカラさんがこっちにやってきたんだけど、ヒルダさんの説明をしたら凄いことになっちゃいました。
「こちらにおられる方が、先代国王の妹君で現宰相閣下であるマリアージュ侯爵の夫人であられるヒルダ様だ」
「「「ヒルダ様、おはようございます」」」
「皆さま、おはようございます。本日は多くの方がこられますので、しっかりと警備をしてそして今後の経験の糧となるように励んで下さい」
「「「はい」」」
おお、ヒルダさんがマヤちゃんを降ろして凛とした姿で新人兵に訓示を行っていた。
おばあさまの普段見ない姿に、ウェンディさんとクリスちゃんも思わずビックリしています。
というか、ユキちゃんなんて目をまんまるにするほどビックリしているよ。
やっぱり、ヒルダさんってとっても凄い人なんだ。
こうして、人も揃い始めたので奉仕作業の準備を始める事になりました。
ちなみにケイトさんの側にはライサさんがいつの間にか来ていて、「黒髪の天使様にベッドを貸したなんて凄いです」と物凄くテンションが上がっていた。
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