第五百七十三話 多くの来賓と挨拶をします

 他の兵は、覚悟を決めて愛の告白をして大成功をおさめたそうです。

 この話を聞いた僕たちも、とっても嬉しくなりました。


「元から王都に帰ったら何かしないといけないと思ったけど、レオが教えてくれたピンブローチが後押ししてくれたぞ」

「ピンブローチを作っている間に、相手のことが思い浮かんできたんだ。こんなろくでもない俺を支えてくれたんだ、ってな」


 少し照れながら話してくれたけど、とってもいい話だと思うよ。

 ほんわかした空気だったんだけど、この人が現れて一気に状況が変わってしまった。


「とても素晴らしい話を聞かせて貰った。黒髪の天使様は、愛の天使様でもおられるのか。暫く結婚式関連の仕事が忙しくなるが、これも嬉しい悲鳴といえよう」


 何と、僕たちの側を教皇猊下が笑いながら通ったのだ。

 いきなり教会の偉い人が現れただけでなく、さっきまでの話を聞かれたので兵も驚きを隠せなかった。

 というか、教皇猊下の言い方だと僕の噂話になって終わりそうな気がするよ。

 兵の方は突然現れた教皇猊下に急いで礼をしていたけど、教皇猊下はにこやかに対応していた。

 すると、今度はアイリーンさんたち治療班がやってきた。


「ふふ、中々面白いことをしているわね。レオ君の側は、いつも賑やかね」


 アイリーンさんは僕と同じ宮廷魔導師の服を着ていたけど、他の面々は綺麗なドレスを着ていた。

 アイリーンさん曰く、ドレスを着ないで済んだとニコリとしていたよ。

 クリスちゃんとかを紹介していたら、今度は別の人がやってきました。


「あらあら、みんな楽しそうね」

「わーい、レオおにーさまだ!」


 次は、王妃様とグレッグちゃんがやってきました。

 そういえば、グレッグちゃんも四歳になるんだよね。

 ユキちゃんと、仲良くお話をしています。


「王妃様、お招き頂きありがとうございます」

「ふふ、良いのよ。こうして、レオ君が無事に帰ってきたのを祝えるのだから。それに、今日はレオ君の八歳の誕生日でもあるのよ。盛大に祝ってあげたいわ」

「「「えっ!? 誕生日?」」」


 僕と王妃様がにこやかに話をしていたら、兵がとっても驚いちゃいました。

 もちろん、今日が僕の誕生日ってことです。

 アイリーンさんたちは知っていたけど、兵の殆どは知らなかったみたいですね。


 バシバシ!


「そっか、今日はレオの誕生日か!」

「じゃあ、盛大に祝ってやらないと駄目だな」


 兵は、何故か上機嫌で僕の背中をバシバシと叩きながら、会場に入ってきた軍の幹部のところに向かっていった。

 うん、ちょっと痛かったよ。


「レオ君の周りには、たくさんの人が笑顔でいるわね。とてもいいことよ。では、また後で話しましょうね」

「またねー!」

「アオン!」


 王妃様も他の人と挨拶をするそうなので、グレッグちゃんと一緒に動き始めました。

 何故かユキちゃんがグレッグちゃんと手を繋いで一緒にいるけど、いつものことだから気にしないでおこう。

 ここで、ようやくチャーリーさんやギルバートさんたち閣僚の面々が会場に姿を現した。


「既に、レオ君を中心にして盛り上がっているみたいだな」

「レオ君は、常に話題の中心にいる。中々できることではないぞ」


 チャーリーさんたちも、今日は夜会用の少し豪華な服を身に着けていた。

 いつもの服も、とても品が良くて豪華なんだけどね。

 すると、チャーリーさんがあることを教えてくれた。


「謁見で陛下に文句を言った貴族や、今日王城の門で大騒ぎしていた貴族だが、既に屋敷の家宅捜索を行っている。自業自得としか言いようがないが、レオ君に喧嘩を売ったとあって軍も張り切っていたよ」

「ヴァイス子爵やゴルゴン侯爵の件もあるから、レオ君は軍にとって恩人みたいな存在だ。それに、奴らは軍のやり方にも口を出していたからな」


 軍務大臣のブランドルさんも、このくらいは当たり前だと言っていました。

 ヴァイス子爵とゴルゴン侯爵の件は、僕や周りの人も被害にあったからちょっと怒っていたんだけどね。

 閣僚の人たちは、僕と少し話してから会場の一番前に行きました。


「ふふ、レオ君はやっぱり凄いわね。色々な人が、レオ君に会いたがっているわ」

「レオ君が、悪意を持って接しないからなのね。どんな偉い人でも、レオ君の前では素直になるわ」


 ようやく挨拶が終わった僕のことを、モニカさんとターニャさんがニコニコしながら言っていました。

 色々な人が会いに来てくれてうれしいけど、僕はいっぱい喋ったかジュースを飲みたい気分です。

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