小さな大魔法使いの自分探しの旅～親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします～

第二百六十九話 ディフェンダーズ伯爵領に到着しました

　翌朝、僕達は朝早く起きました。

　何だろう、ふかふかのベッドで寝たからグッスリと眠っちゃったよ。

「お待たせしました」

「わあ、美味しそうなパンだよ！」

「朝食も豪華だね」

「ここまで凄い朝食は初めてだわ」

　とっても美味しそうな朝食に、僕とシロちゃんは早速パンを食べ始めました。

　うーん、ふかふかしていてとっても美味しいよ。

　そんな僕の食べる様子を見て、フレアさんとミシャさんもようやく朝食を食べ始めました。

　出来立てのパンだったから、僕もシロちゃんもあっという間に食べちゃいました。

「「「おはようございます」」」

「やあ、おはよう。ゆっくり休めたみたいだね」

　朝食を食べ終えて着替えたら、宿のフロントに移動します。

　既に、マシューさん達も準備を終えていました。

「マシュー様、とても豪華な宿に泊めて頂き本当にありがとうございます」

「まさか、あんなに豪華な宿だとは想像できませんでした」

「楽しんでくれたなら良かった。村をオークから救ってくれた、辺境伯家からの謝礼の一つだと思ってくれ」

　どうもマシューさんは、僕達がオークから村を守った事の報酬の一部として豪華な宿に泊めてくれたみたいです。

　十分な報奨金も貰っているんだけどね。

　準備も出来たので、馬車に乗り込みます。

　パカパカパカ。

「道中何もなければ、昼前にはディフェンダーズ伯爵領の領都に着くだろう」

「意外と早く着くんですね」

「ディフェンダーズ伯爵領は、サンダーランド辺境伯領と比べても領地が小さいからだよ。国境に接しているという点では、重要な土地だ」

　僕の感覚だと、もう一日かかるかなと思ったけどそうじゃなかったんだね。

　段々と街道の両側に住宅が立ち並び始めて来て、人々も沢山歩いているよ。

「もうそろそろディフェンダーズ伯爵領の領都に着くよ」

「わあ、大きな街が見えてきたよ」

　何回か休憩を挟みながら、お昼前にはディフェンダーズ伯爵領の領都に到着しました。

　なだらかな丘の上に、大きな街があるんだね。

　無事に街を守る門も通過して、お屋敷に向かいます。

「本当に色々な物が売っているんですね」

「交易の中継地だけあるのよ」

「私の商会も、たまにこのディフェンダーズ伯爵領の領都まで仕入れに来ているわ」

　市場がとっても大きくて、様々な物が沢山売っています。

　人々も沢山いて、とっても活気がありますね。

　人々の喧騒を横目に、僕達を乗せた馬車は進んで行きます。

　そして、とっても大きなお屋敷の前に到着しました。

「ここがディフェンダーズ伯爵家のお屋敷なんですね」

「そうだ。少し要塞みたいな屋敷だがな。さて、馬車から降りるぞ」

　屋敷の前に馬車が停まったので、僕達は馬車から降ります。

　すると、マンデラ様が僕達を待っていてくれました。

「マシュー殿、忙しいところかたじけない。それから、レオ君もわざわざすまんな」

「いえいえ、同じ国境を守る者として何かあったら駆けつけますよ」

「お久しぶりです、マンデラ様」

　マシューさんと僕はマンデラさんと顔見知りなので、にこやかに握手していました。

　一方でフレアさんとミシャさんは初めてマンデラ様と会うので、かなり緊張していました。

「この二人は『紅のフレア』『双剣のミシャ』といわれる凄腕の冒険者で、今はレオ君を指導している。レオ君と共に着いてきて貰ったのだよ」

「フレアさんとミシャさんは、僕に新しい魔法を教えてくれたんですよ！」

「なんと、そんな凄い冒険者が同行しているのか。まさに、黒髪の魔術師の師匠になるとは」

「あの、えっと……」

「そ、それほどでも……」

　マシューさんと僕がフレアさんとミシャさんを褒めたら、マンデラ様は物凄く驚いちゃったよ。

　フレアさんとミシャさんは顔を真っ赤にして謙遜していたけど、凄い冒険者なのは間違いないもんね。

　ぐー。

「あっ……」

　お昼前だから、僕のお腹がなっちゃった。

　今度は、僕が顔を真っ赤にしてうつむいちゃったよ。

「昼食前だ、仕方ないだろう。食べながらこれからの事を話そう」

「はい……」

　マンデラ様が、俯く僕の頭をポンポンと撫でていました。

　皆で屋敷の中に入って、食堂に向かいます。

「わあ、とっても美味しそうなお肉です！」

「おお、それは良かった。沢山食べてくれ」

　食べやすいように切り分けられたお肉が出されたので、僕もシロちゃんもちょっと興奮しちゃいました。

　ぱく。

「うーん、ちょうどいい食べやすさで美味しいです！」

「ふふ、レオ君を見ていると緊張しているのが馬鹿馬鹿しくなるわね」

「そうだね。私達も食べよう」

　僕とシロちゃんが美味しそうに食べているので、フレアさんとミシャさんもお肉を食べ始めました。

　うーん、とっても美味しくて、いくらでも食べられるよ。

「はは、美味しそうに食べているな。食べながら話を聞いて欲しい。午後から早速治療院に向かう。兵を優先的に治療して欲しいが、レオ君の事だから市民も治療していいよ」

「はい、頑張りまふ！」

　あっ、食べながらマシューさんに返事をしたから、変な声になっちゃった。

　困っている人がいるなら、僕は誰だって治療しちゃうよ。

　でもその前に、目の前のお肉を食べないとね！