第六百三話 新しいお友達と森で騒いでいたもの

 そしてそろそろ代官邸に戻ろうとしたら、森に行っていたシロちゃんとピーちゃんが教会前に戻ってきた。

 うん、何だか鳥みたいな小さなものを引き連れてきましたね。

 何だろうなと思ったら、まさかの生き物でした。


「キュー!」

「えっ、ど、ドラゴン?」

「小さいけど間違いなくドラゴンよ」

「そういえば、結構前に森の中に生息が確認されたはずだわ」


 大きさはユキちゃんくらいの、白いウロコで背中に翼の生えたドラゴンがピーちゃんにピッタリと寄り添っていました。

 セレンお姉さんたちがとんでもなくびっくりしているけど、これはいったいどういうことだろうか。

 取り敢えず、シロちゃんに話を聞いてみましょう。


「えっと、森の中で暴れていたのは巨大な大蛇五匹だって。全部倒したから、明日守備隊に持っていくそうです」


 シュッ。


「うん、これは大きいわ。こんなのが森で暴れていたら、そりゃ動物も魔物も怯えておかしい行動を取るはずだわ」


 シロちゃんがアイテムボックスから一匹の大蛇を取り出したけど、全長は軽く二十メートルを超えるのではという大きさだった。

 セレンお姉さんたちもびっくりする大きさだったけど、これを五匹とも倒すシロちゃんとピーちゃんが凄いなあ。

 そして、この小さいドラゴンもある意味被害者だそうです。


「まだ巣立ったばかりのドラゴンで、この五匹の戦闘に巻き込まれて怪我をして木の上で怯えていたそうです。シロちゃんが治療して、ソラちゃんって名前を付けたそうです」

「ほほほ、つまりはシロちゃんに懐いたというわけじゃのう。レオ君の新しい友達じゃのう」


 シルバ司祭様が陽気に笑っていたけど、ドラゴン自体は稀に目撃例があるのでこの近くで生息しているのは間違いないそうです。

 うーん、でも名前も付けちゃっているし、何よりももう他の面々と挨拶もしているね。

 すると、ソラちゃんは僕とジェシカさんにペコリと頭を下げてきました。

 とっても頭が良さそうですね。

 ちなみに、聖属性の魔法が使えるので訓練をすれば回復魔法とかも覚えられそうです。

 ご飯はお肉で良いのですけど、野菜とかも食べられるそうです。


「取り敢えず、戻ったら隊長に説明するわ。後は、明日話しましょう」


 ここは、セレンお姉さんたちにお任せです。

 ということで、今日のお仕事完了です。


「レオ君、本当に助かったぞ。今度の無料治療の際に、また頼むぞ」


 僕は、シルバ司祭様と別れて代官邸に向かいました。

 道中町の人がソラちゃんについて聞いてきたけど、僕の新しい友達だと説明すると何故か直ぐに納得してくれました。

 そして、無事に代官邸に到着しました。


「じゃあ、明日また迎えに来るわね」

「ゆっくり休むのよ」

「じゃあね」


 こうして、僕たちはセレンお姉さんたちと別れて代官邸の中に入りました。

 セレンお姉さんたちも、昔と変わらず優しかったね。

 そして、代官にソラちゃんがお友達になったというと、夕食にお肉を用意してくれることになりました。

 僕たちは客室に案内されて、夕食までゆっくりすることになりました。

 ちなみにこの部屋には侍従用の部屋もあるので、ジェシカさんもそこに部屋に泊まります。

 あっ、そうだ。

 今日の定期報告をしないと。


「えーっと、両親のお墓にお参りに行って、治療施設に入院していた全員を治療して、セルカーク直轄領の森で暴れていた二十メートルを超える大蛇五匹をシロちゃんとピーちゃんが倒して、小さなドラゴンのソラちゃんが新たなお友達になりました、っと……」


 何だか今日は書くことがたくさんあるね。

 そして、直ぐに返信が来たけど、取り敢えず了解ってのが大半でした。

 何か問題でもあったのかな?


「アオン!」

「ピィ」

「ミー」

「キュー」


 そして、ベッドの上ではみんなが固まってお喋りしていました。

 ほっこりする光景で、とっても可愛いですね。

 お風呂に入って夕食を食べたら、疲れちゃったのもあったので直ぐに就寝しました。

 明日も、お仕事を頑張ろうっと。

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