第二百六十五話 たまにはゆっくり買い物をします
忙しい新年の行事も終わり、今日は久々に冒険者活動も勉強もない日です。
ポーションと毒消しポーションも沢山あるし、追加で作る必要もありません。
うーん、何をしようかな?
「じゃあ、行ってくるわ」
「気をつけてね」
ミシャさんは、フレアさんと一緒にお出かけみたいです。
私服に着替えて、どこかに向かいました。
僕も街をぶらぶらしようかな?
「僕も市場に行って、買い物をしてきます」
「あら、レオ君もお出かけなのね。気をつけてね」
僕も、ミシャさんのお母さんに見送られてお出かけします。
よく考えると、サンダーランド辺境伯領に来てから、街でお買い物した事がなかったかも。
ミシャさんのお店なら、色々な物が揃うもんね。
僕とシロちゃんは、寒くない様にマフラーや上着を着て外に出ました。
がやがやがや。
「わあ、沢山の人が街に出ているよ」
朝早いのに、沢山の人が道を歩いていました。
人混みの中を、僕とシロちゃんはゆっくりと歩いていきます。
あっ、パン屋さんがあったよ。
良い匂いもするし、入ってみよう。
チリンチリン。
「はい、いらっしゃい。あら、可愛らしいお客様ね」
パン屋さんの店内に入ると、とっても良い匂いが更に強くなりました。
少し恰幅の良いおばちゃんが、僕の事を出迎えてくれました。
色々なパンが売っているけど、何にしようかな?
シロちゃん用のパンも欲しいね。
「じゃあ、これとこれと、これを二つずつ下さい」
「おや、随分と沢山買うんだね。ちゃんと持てるかい?」
「はい、大丈夫です。魔法袋がありますので」
「あら、そうかい。じゃあ、パンだよ」
おばちゃんにパンを貰ったら、僕とシロちゃんで分けて魔法袋とアイテムボックスにしまいました。
ふふふ、とっても良いパンが買えたよ。
次はどこに行こうかな?
「あっ、本屋さんがあったよ。魔法の本がないか見てみよう」
次に見つけたのは、大きな本屋さんです。
辺境伯領だけあってか、とっても大きな本屋さんですね。
ここなら、色々な本が沢山ありそうです。
店員さんに、どんな本があるか聞いてみよう。
「すみません、魔法の本って売っていますか?」
「はい、ありますよ。いくつか持ってきますね」
店員さんに話しかけると、直ぐに本を準備してくれました。
おお、流石は大きな本屋さんだけあって、見たことのない魔法の本が置いてあったよ。
「えーっと、じゃあ上級の魔法の本を下さい。あと、ポーション作りや生薬作りの本もありますか?」
「ええ、ありますよ。持ってきますね」
ふふふ、とっても良い本が買えたよ。
特に、生薬作りの本は初めて買うからとっても楽しみだよ。
三件目はどんなお店にしようかな?
まだ昼食の時間には早いから、まだまだ市場でお買い物をします。
「次はっと。あっ、アクセサリー屋さんがあったよ。おや? このピンブローチって、どこかで見た事があるよ」
今度は露店のアクセサリー屋さんに顔を出したけど、売られていたピンブローチが僕とシロちゃんがコバルトブルーレイク直轄領で作っていたものだよ。
何で、サンダーランド辺境伯領で売っているんだろう?
店員さんに、それとなく聞いてみよう。
「こんにちは、綺麗なピンブローチですね」
「あら、可愛らしいお客様ね。このピンブローチは、コバルトブルーレイク直轄領で仕入れたのよ。かの有名な黒髪の天使様が作ったと言われていて、身に付けると幸せになるって言われているのよ」
「へ、へえ、そうなんですね」
おお、店員のお姉さんがニコニコしながら答えてくれたけど、僕とシロちゃんが作ったピンブローチがラッキーアイテムになっているよ。
ここに長くいると正体がバレそうなので、店員さんに手を振ってから別の場所に行きました。
「次は、っと。あっ、服屋さんだよ。そういえば、この前髪留めが切れちゃったんだよね」
大きい服屋さんに着いたので、僕は目的の物を買いにいきます。
髪留めと、後は帽子を買っていこう。
僕は、各地で売られている帽子を集めているんだよね。
「こんにちは。髪留めと帽子を見せて下さい」
「あら、女の子かと思ったら可愛い男の子なのね。いくつか持ってくるわ」
僕は、今でも男の子じゃなくて女の子って思われるんだよね。
でも、僕は立派な男の子なんですよ。
「はい、いくつか持ってきたわ。髪留めは、青っぽいものにしてあるわよ」
店員さんが持ってきたのは、とっても綺麗な髪留めと濃い緑色のキャスケット帽子だったよ。
どれもとっても綺麗で、華やかですね。
帽子も、試着してサイズもピッタリだよ。
「じゃあ、これを全部下さい」
「はい、ありがとうね」
ふふふ、とっても良いお買い物ができたよ。
ニコリとしている店員さんから品物を受け取ると、なくさないように魔法袋の中にしまいました。
そろそろ昼食の時間だから、ミシャさんのお家に帰らないと。
午後は新しく買った本でも読もうかなって思いながら、僕は家路に着きました。
「レオ君、今日は色々な所で買い物をしていたんだね」
夕食の時に、ふとミシャさんから声をかけられました。
あれー?
誰も、僕に声をかけてこなかったよ。
「レオ君がとても楽しそうに買い物をしていたから、お店にいた人も敢えて声をかけなかったみたいだね。でも、お店の人も良い宣伝になったと思うよ」
流石は商店街のネットワークです、直ぐに色々な人に伝わっちゃったんだ。
でも嫌な視線はなかったし、全然問題なかったよ。
それに、良い物が手に入ったのは間違いないもんね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます