小さな大魔法使いの自分探しの旅～親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします～

第二百六十六話 僕に指名依頼です

　今日の僕は、ボーガン様のお屋敷で色々な勉強をしています。

「えっと、こうで良いですか？」

「はい、良いですよ。綺麗にできていますわ」

　今日は礼儀作法を中心に、色々な挨拶を勉強しています。

　色々な貴族にあったり勲章や表彰の場に出るのも多くなるだろうと言われて、キチンと礼儀作法を覚えようとなりました。

　僕としては、普通に冒険者活動をして平和に暮らせればいいのになって思っています。

　因みにシロちゃんも一緒に礼儀作法を勉強していて、とっても綺麗にできていました。

「段々と良くなっていますね。同年代の子どもとは比較にならないくらいですよ」

「マリアナ先生の教え方が上手だから、僕も直ぐに覚えられます」

「あら、嬉しい事を言ってくれますわね」

　今日の勉強は無事に終わって、今は応接室で休憩しています。

　マリアナ先生の教え方がとっても分かりやすいから、礼儀作法だけじゃなくて他の勉強もどんどんと覚えていきました。

「あうー」

「あらあら、アンソニーはお兄ちゃんと遊んで欲しいのかしら？」

　僕の横にアンソニーちゃんを抱っこしたスーザンさんがいて、アンソニーちゃんが手を伸ばしながら僕の袖を引っ張っています。

　僕はアンソニーちゃんに指を向けると、手でぎゅっと掴んできました。

　赤ちゃんの手って、本当に小さいんだね。

　そのまま、指をぶらぶらさせて遊んであげます。

「じゃあ、抱っこをして部屋の中を歩きましょうね」

「あうあう」

　アンソニーちゃんは首が座るようになったので、スーザンさんがよく抱っこして部屋の中を散歩しています。

　外は寒いけど、たまに暖かいタイミングで外に出ているんだって。

　お屋敷の中を抱っこして歩くだけでも、色々な物が見えるよね。

　ガチャ。

「おお、皆ここにおったか。アンソニー、おじいちゃんですよー」

「あうあう」

　アンソニーちゃんの散歩も終わってソファーにいると、今度はボーガン様が部屋入ってきてアンソニーちゃんを抱っこしています。

　普段はとってもキリリとしてちょっと怖い感じのボーガン様が、ニコニコしながら赤ちゃん言葉でアンソニーちゃんに話しかけているよ。

　何だかとっても不思議な光景だね。

「あうあうあう」

　ちょんちょん。

「ははは、アンソニーはおじいちゃんのおひげに興味があるのか」

　アンソニーちゃんは、ボーガン様に抱っこされながらクイクイとボーガン様のおひげを触っています。

　ボーガン様も、おひげをアンソニーちゃんに触られてご機嫌です。

　やっぱり、赤ちゃん効果は絶大なんですね。

「おっと、アンソニーだけじゃなくてレオ君にも話があったんだ」

「僕に、ですか？」

「ああ、そうだ。よっと」

「うー」

　ボーガン様がスーザンさんにアンソニーちゃんを戻したけど、当のアンソニーちゃんはボーガン様のおひげで遊べなくなってちょっと不満ですね。

　でも、僕への話ってなんだろうな。

　ボーガン様もソファーに座って、僕に話し始めました。

「レオ君、ディフェンダーズ伯爵家のマンデラは知っているな」

「はい、僕がサンダーランド辺境伯家に来た時にお会いしました」

「うむ、そのマンデラからレオ君へ急ぎの依頼が来ている」

　マンデラ様って、白髪混じりのちょっとぽっちゃりした人だよね。

　とても感じの良い人だったけど、何かあったのかな？

「ディフェンダーズ伯爵領も帝国と国境を接しているが、どうも怪我人が多いらしい。そこで、レオ君に頼んで治療をして欲しいそうだ」

「そういう事でしたら、直ぐにでも行かないと駄目ですね」

「うむ、レオ君ならそう言うと思った。紅のフレアと双剣のミシャにも、同行を依頼する。国軍も絡んでいるので、ディフェンダーズ伯爵家だけでなく国からの依頼でもあるな」

　僕としては、依頼主云々じゃなくて困っている人がいるなら助けてあげないとって思いです。

　フレアさんとミシャさんも一緒だし、何も不安はないですね。

　シロちゃんも、頑張るぞって気合を入れていました。

「道中は二日の旅になる。今からだと宿場町に着かないから、明日出発だ」

「ディフェンダーズ伯爵領まで、ミシャさんの馬車で行くんですか？」

「いや、ディフェンダーズ伯爵家からサンダーランド辺境伯家に正式に依頼が出た案件だから、サンダーランド辺境伯家の軍と共に行く。私の代わりとして、マシューも同行させる」

　おお、中々の大部隊ですね。

　でも、国防に関わる事だからそれだけの事をしないと駄目なんだろう。

「明日朝イチで屋敷に来てくれ。そのまま、出発する予定だ」

「分かりました。僕から、フレアさんとミシャさんに連絡した方が良いですか？」

「いや、既に使者を出している。二人からも快諾を貰ったぞ」

　フレアさんとミシャさんも、困っている人がいたら見捨てられないもんね。

　急に決まったディフェンダーズ伯爵家行きだけど、しっかりとお仕事をしてこないと。

　僕もシロちゃんも、ふんすって気合を入れました。