小さな大魔法使いの自分探しの旅～親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします～

第三百三十四話 宿に新たに泊まる人たち

　翌日の夕方宿に戻ると、ニコニコとしたオリガさんが僕の事を手招きしました。

　オリガさんの腕の中には、あるものがありました。

「オリガさん、ただいま帰りました」

「レオ君、お帰りなさい。さっそく注文したのが届いたわよ。商会の人もニコニコとしながら対応してくれたわ」

　オリガさんが僕に手渡してくれたのは、沢山の手紙と封筒でした。

　僕とシロちゃんは手紙と封筒を必要な数で分け、無くさないように魔法袋とアイテムボックスにそれぞれしまいました。

「オリガさん、ありがとうございます。いくらですか？」

「お金は良いわよ。私からのプレゼントよ」

　オリガさんはニコニコとしているけど、何だか申し訳ないと思っちゃった。

　すると、オリガさんは何かを思い出した感じに手をポンと合わせていました。

「そうだわ。なら、レオ君にお手伝いをお願いするわ。冒険者ギルドに今日から泊まる人たちがいるのよ。ナディアちゃんと一緒に、冒険者ギルドに行って迎えに行ってくれないかな？」

　僕が頼まれたのは、新しく宿に泊まる人を迎えに行く事です。

　でも、ザンギエフさん達が一緒でも問題ないと思うけど。

　すると、ザンギエフさんは納得した感じで話しました。

「そういう事か。恐らく冒険者が女性だからだな。俺達が迎えに行くと、怖がる可能性があるんだ」

「そういう事よ。ザンちゃん達は、お風呂に入ったら料理のお手伝いをしてね」

　うーん、僕はザンギエフさん達は良い人だと思うけどなあ。

　そんな事を思いながら、急いでお風呂に入ってナディアさんと一緒に冒険者ギルドに向かいます。

「えーっと、確か四人組の女性パーティって聞いていたけど。あっ、あの人たちかな？」

　夕方なので沢山の冒険者が建物の中にいたけど、何となくそれっぽい人たちが受付の横のスペースにいました。

　僕とナディアさんがその女性パーティに近づいたら、僕たちよりも少し早く男性達が女性パーティに近づいていきました。

　でも、僕は女性に近づいた男性達に危険を感じていません。

「うん、どうした。誰かを待っているのか？」

「あっ、はい。宿から来てくれる人を待っているのですが……」

「そっか、そっか。おっ、ちょうど来たみたいだな」

　女性パーティに話しかけたのは、いつも造船所で働いている職人さんたちでした。

　どうも、キョロキョロと周りを見渡していた女性パーティの事を気にかけていました。

　そこで、ナディアさんが職人さんに一言。

「おっちゃん。いい年して、若い女性をナンパしているの？」

「ナディア、馬鹿言え。おらあ、母ちゃん一筋だ。子どもだっているんだぞ」

「おっちゃん、分かっていて言っているのよ。真に受けないのよ」

「「「はははは」」」

　ニヤリとしながら話すナディアさんに、職人さんはタジタジです。

　そんな二人のやり取りを、周りの人が笑いながら見ていました。

「改めて、ナディアと言います。遅れて申し訳ありません」

「僕はレオです。このスライムはシロちゃんです。お手伝いで来ました」

「いえ、こちらこそお手数をおかけします」

　お互いにぺこぺこと頭を下げながら挨拶をしました。

　とっても丁寧な感じの女性だね。

「じゃあ、俺らは帰るぞ。ナディア、レオ、後は頼んだぞ」

　僕達は職人さんと別れて、女性パーティと一緒に宿に向かいます。

　宿に向かう最中、お互いに自己紹介します。

「私はダリアと言います。地方から来たばっかりで、冒険者もさっき登録したばっかりです」

「カチヤです。私たちみんな兄弟が多い大家族なので、働ける年齢になったら家を出ていくんですよ」

「ロジーナです。みんな一応小さい頃から剣技を習っていました。ですので、力仕事も全然平気です」

「ナタリアです。軍の造船場で人手が欲しいそうなので、当面は軍の造船場で働く事にしました」

　全員十五歳で、リーダー格のダリアさんが少し癖のある赤髪のロングヘアで背が一番大きいです。

　カチヤさんは茶色の長髪をポニーテールにしていて、ダリアさんよりも少し背が小さいです。

　ロジーナさん濃い緑色のショートヘアで、カチヤさんと背は同じくらいです。

　ナタリアさんは青色のセミロングで、この中では一番背が低いです。

　そして、全員お胸が大きいのが必見です。

　全員良い人だなと思っていたら、ナディアさんが小さい声でぼそぼそと呟いています。

「やばいわ。全員お兄ちゃんの好みにどストライクだわ」

　ザンギエフさん達の好みにあっているって、何がだろうか。

　僕もシロちゃんも何かなと思っていたけど、ナディアさんは気を取り直してダリアさん達に話しかけました。

「う、うちの宿にはごつくて筋肉もりもりのお父さんとお兄ちゃんがいるけど、大丈夫かしら？」

「はい、大丈夫です。父親がごつい体格だったので、その辺は大丈夫かと」

　まあ、宿にはとっても強くて筋肉ムキムキの男の人がいるけど、個人的に最強はオリガさんだと思うけどね。

　そんなお話をしていたら、宿に到着しました。

「ただいま、お客さん連れてきたよ」

「おう、遅かった……」

「「「おおっ……」」

「あっ、やっぱりこうなったか……」

　宿に着くと、ザンギエフさん達がダリアさん達を見て固まっちゃいました。

　何だか、ザンギエフさん達の頬が赤い様な気もするよ。

　ナディアさんは頭を抱えちゃったし、何が起きているのかな？