第二百四十三話 フレアさんのお店に向かいます

 僕とシロちゃんは、ベッドのふかふかを堪能した後に改めて部屋の探検を行いました。


「シロちゃん凄いね、机もとっても豪華だよ。椅子も凄いよ」


 調度品一つとっても、とっても豪華だね。

 これは、下手にパンとか食べて汚せないね。

 応接セットもとても良いものだし、明かりとかも全て魔導具です。

 鏡とかもついていて、宿に泊まった時には一切ない設備ばっかりです。


 こんこん。


「レオ君、入るね。って、何をしているの?」

「お部屋が広いので、シロちゃんと一緒に探検していました」

「ふふふ、レオ君も年頃の男の子っぽいね。確かに、普通の宿よりも大きいけどね」


 ミシャさんがちょっと微笑ましく僕の事を見ていたけど、直ぐに要件を伝えにきました。


「フレアのお店に行かないかしら? 今日は、フレアが店番している日なのよ」


 おお、とっても魅力的なお誘いだね。

 僕とシロちゃんは、ミシャさんと一緒にお家の中を移動します。


「ここがもう一つの玄関よ。普段は、ここから出入りするわ」


 もう一つの玄関は、大通りからちょっと横に入った細い路地に繋がっていました。

 でも直ぐに大通りに行けるし、移動には全く問題ないね。

 僕は、ミシャさんと手を繋ぎながらフレアさんの実家の武器屋さんに入りました。


「わあ、凄いです! いっぱい武器が置いてありますね」

「このお店は、初心者から玄人まで扱える武器が置いてあるのよ。種類も豊富で、何でも揃うわ」


 剣だけでも何種類もあるし、槍とや斧にメイスも置いてあるね。

 よく見ると、防具も付いた初心者向けセットとかも売ってるし、本当に何でもあるんだね。

 店内をキョロキョロと見ていると、エプロン姿のフレアさんが声をかけてきました。

 普段の凛々しい姿とは違って、ちょっと可愛いですね。


「ミシャにレオ君、いらっしゃい。来てくれたんだね」

「はい、ミシャさんのお家に到着したので来てみました」

「ありがとうね。折角だから、ゆっくりと見ていてね」


 フレアさんのお店には、魔法使い用のローブや杖も売っているんだ。

 でも、僕は魔法使い用の装備を着ていないよね。

 普通の服に上着を羽織っただけだし。

 武器といえば、アマード子爵領の親方に作って貰ったダガーしかないんだよなあ。

 すると、フレアさんとミシャさんが、僕が腰に装備しているタガーを気にしていました。


「レオ君、ちょっとそのダガーを見せてくれないかな?」

「そのダガー、とっても良いものに見えるわ」

「あっ、はい。良いですよ」


 僕は腰からダガーを鞘ごと外して、フレアさんに渡しました。

 ついでなので、ナイフも見てもらいました。

 あれ?

 ダガーとナイフを見たフレアさんとミシャさんの表情が、何だか驚いたものに変わっちゃったよ。


「この刻印って、あの親方が作ったものだよね。親方が本気で作った物にしか、この刻印って付かないはずだよ」

「しかも、魔鉄とミスリルの合金でとんでもない物だわ。このダガーとナイフは、魔法剣にも普通の剣としても使えるわ」


 おお、流石はフレアさんとミシャさんです。

 直ぐに親方が作った物だって分かったよ。


「このダガーとナイフは、アマード子爵領の親方の所で半年働いたお礼に貰いました。親方の自信作って言っていましたよ」

「きっとレオ君が一生懸命に働いたお礼なんだろうね。それでなければ、こんな業物なんて手に入らないわ」

「レオ君、このダガーとナイフはとっても良いものだから、大切に扱ってね」


 フレアさんとミシャさんは、僕にダガーとナイフを返しながら話してくれました。

 勿論とっても大切な物だっていうのは僕もシロちゃんも分かっているので、これからも丁寧に使います。


「うーん、レオ君に合いそうな武器を選んであげようかと思ったけど、少なくとも武器は大丈夫ね」

「となると防具だけど、レオ君の場合は魔法障壁とかも使えるからガチガチじゃない方が良いわね」


 あらら、僕の装備についてフレアさんとミシャさんが悩んじゃった。

 僕としては、装備は今のままで大丈夫なんだよね。

 シロちゃんは装備不要だし。


「あの、フレアさん、ミシャさん。僕は今の装備で十分ですよ」

「そうね。色々あっても逆に動きにくいよね」

「それじゃあ、武器に関してはこれでおしまいね」


 僕もシロちゃんも、思わずホッとしました。

 そして、改めて店内を見渡しました。

 店内は、男女問わず沢山の人で溢れ返っていました。

 初心者っぽい冒険者も沢山いるね。


「レオ君はもう初心者じゃないけど、私の家とミシャの商会で冒険者に必要な道具は一式揃うわ」

「勿論、玄人用の道具も揃えていますわ。軍にも卸している品物も取り扱っておりますので」


 やっぱり大型の専門店は、必要な物を何でも扱っているんだね。

 だから、これだけのお客さんがやってくるんだね。


「はい、ちょうどお預かりしました。このままのお渡しで良いですか?」

「このままで大丈夫です」


 ちょうどお客さんが来てフレアさんが接客しているけど、笑顔でとっても丁寧な接客です。

 他の店員さんもとても接客が良いので、品物だけじゃなく店員さんのスキルが高いからお客さんが集まるのかなと思いました。

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