第三百五話 シークレア子爵邸に到着
シークレア子爵領のお屋敷は、冒険者ギルドから歩いて十分の距離にあります。
僕達は冒険者ギルドを後にして、お屋敷に向けて出発です。
「リュナさん、シークレア子爵様ってどんな人ですか?」
「頭がとても良くて豪胆な人だな。領民の為を思って政治をする、とても良い人だ」
「厳つい俺達や軍人にも怯むことのない、中々の人だな。領民は皆がお館様を慕っているぞ」
うーん、頭が良くて豪胆で誰とも会っても怯まない、そんな人が領主なんだ。
ふと、サンダーランド辺境伯家のボーガン様をイメージしちゃったよ。
でも、どんな人か会ってみないと分からないね。
そんな話をみんなでしていたら、目的地のシークレア子爵邸に到着です。
やっぱり貴族のお屋敷ってだけあって、とっても大きいですね。
「ギルドマスターのリュナだ。予定していたお館様との面会に来た」
「お待ちしておりました。ご案内します」
既に話がついていたのか、屋敷の門兵はすんなりと僕たちを屋敷に案内しました。
そのまま屋敷の中に入ると、今度は侍従が僕たちを出迎えてくれました。
「応接室にご案内いたします」
少し年配の侍従が、僕たちを応接室に出迎えてくれました。
凄いなあ、廊下の調度品が海や船の絵だったり、小さな船の模型だったりするよ。
まさに海に面したシークレア子爵領って感じだね。
コンコン。
「失礼します、リュナ様とお連れの方がお見えになりました」
「はい、どうぞ」
おや?
応接室の中から、若い女性の声がきこえたよ。
もしかしたら、シークレア子爵様の奥さんなのかな?
そんな事を思いながら、僕達は応接室に入りました。
応接室に入ると領主様のポジションに若い男女が座っていて、奥に騎士服を着た男性と守備隊の人が座っていました。
僕達は、空いてるスペースに座ります。
っと、その前に挨拶をしないと。
「えっと、皆様初めまして。僕はレオです、このスライムはシロちゃんです。突然お邪魔し、失礼します」
僕とシロちゃんは、ぺこりと頭を下げました。
マリアナさんに教わった挨拶、大丈夫だったかな?
あれ?
この場にいる人が、何故か口元を押さえてぷるぷるとしているよ。
何かあったのかな?
「いやいや、幼いのにとてもシッカリした礼儀で驚いたのだよ。相手が名乗ったなら、名乗らないのは礼儀に反するな。私はセルゲイ・シークレア、現在のシークレア子爵だ」
「私はアンジェラ・シークレア。セルゲイとは双子で、私が姉なのよ。二年前に前当主だった父が亡くなって、今はセルゲイと私、そして母と共に統治をおこなっているわ」
銀髪が良く似合う若い男女は、双子だったんだね。
セルゲイさんは銀髪を短く切り揃えていて、アンジェラさんはセミロングに伸ばしているよ。
あと、アンジェラさんはお胸はちょっと小さいって感じだね。
でも、二人ともとってもお顔が綺麗で、文官っぽく如何にもできる人って感じです。
「私も名乗った方が良いだろう。シークレア子爵領にある海軍司令官のワイアットだ。シークレア子爵家とは、遠縁にあたる家系だ。黒髪の魔術師には、この度の要請を受けてくれて誠に感謝する」
ワイアットさんも、短く刈り上げた銀髪です。
シークレア子爵家の血筋が流れている影響だね。
筋肉ムキムキマッチョで軍人らしいですけど、お顔はとっても美形です。
「私はシークレア子爵領守備隊長のマックスだ。これから宜しくな」
マックスさんは茶髪を短く刈り上げて、短いあごひげがあります。
背が高くて、とっても強そうですね。
全員の挨拶が終わったので、改めて話をします。
「良いタイミングで、ザンギエフさんも来ています。このまま話を進めましょう」
冒険者ギルドでリュナさんも言っていたけど、アンジェラさんもザンギエフさんがいるとちょうど良いって言っていた。
一体何の話だろうか。
「レオ君は知らない事だから、少し説明しよう。このシークレア子爵領付近を根城にする盗賊団の荒海一家という組織がいる。最近は大人しくしていたのだけど、春になって人が動き出したら奴らも活動し始めたんだ」
「前に疾風団という盗賊団と対決しましたけど、そんな人達がいるんですね」
「そういえば、レオ君は盗賊団とやりあっていたな。なら、話は早い。奴らは、どうもレオ君をターゲットにしているみたいだ」
あっ、もしかしたら朝シークレア子爵領に向かう間に捕まえた盗賊の事にも関与しているのかな?
中々大きい話になってきたね。
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