第五百四十四話 フランソワーズ公爵家からの手紙
そして、交代の兵がやってきて色々と手続きが始まった。
タイミングよく、この日は帝国との交戦はありません。
でも、何かあったらいつでも動けるように準備は怠っていません。
王都からやってきた兵も多く、顔見知りの人もいました。
物資も多く届けられた中、僕宛に手紙がありました。
「あっ、フランソワーズ公爵家の人たちからの手紙だ!」
忙しくて忘れていたけど、クリスちゃんとかも手紙を書いてくれるって言っていたっけ。
何だか、とっても嬉しくなっちゃった。
魔法袋にしまって、後で部屋に帰ったら読んでみよう。
「ピー」
「あっ、そうか。ピーちゃんはクリスちゃんたちのことを知らなかったよね。後で教えてあげるね」
「ピィ!」
ピーちゃんは、この軍事施設でお友達になったんだもんね。
クリスちゃんたちにも、新しいお友達のことを教えてあげないと。
返信に、書きたいことがたくさんあるなあ。
そんなことを思っていたら、何だかとんでもない話を聞かされちゃった。
「何でも、レオがサンダーランド辺境伯領に着いたら、あっという間に状況が好転したって話だぞ」
「陣地の補修もやって、斥候も捕まえたって話だな。黒髪の魔術師は何でもできるって、軍の間でも噂になっていたぞ」
えー!
僕は、あくまでも怪我人の治療をしてレンガを作っただけですよ。
斥候を見つけたのはシロちゃんだし、ユキちゃんもアイリーンさんたちも大活躍しているよ。
僕が色々と説明しても、兵は笑っているだけでした。
「ははは、それだけやれば大活躍だ。十分噂になるな」
「元からレオは大人気だ。だから、軍もレオを使って王国は問題ないと宣伝したいのもあるのだろう」
もしかしたら、王都だけでなく王国中にも僕の噂が広まっているのかもしれない。
しかも七割は合っているから、中々否定しづらいよね。
シロちゃんとユキちゃんは問題ないって言っているけど、またもや伝説みたいに扱われるのはちょっとって思っちゃうよ。
とほほって思いながら、荷物運びのお手伝いを行いました。
ちなみに、兵は全員一気に交代する訳ではなく、順々に王都に帰っていくそうです。
「一気に兵が交代すると、部隊指揮命令とかがおかしくなるからな。まあ、今日来た面々だったら一気に交代しても問題はないぞ」
国境に来る兵は精鋭ぞろいなので、こういう難局でも力を発揮するそうです。
帝国側は良く分からないけど、王国軍って凄いなって関心しちゃいました。
王都に帰還する兵は四日後に移動を開始するので、今回は一緒に手紙を持って行ってもらうことになりました。
ということで、さっそく部屋に帰って手紙を開けて見てみます。
「あっ、シロちゃんとユキちゃん宛の手紙もあるね。わざわざ書いてくれたんだ」
「アオン!」
シロちゃんに手紙を渡して、ユキちゃんとピーちゃんと一緒に見るそうです。
手紙の中身は僕の体を心配する内容が多くて、無理をしないようにと書いてありました。
クリスちゃんからは、早く帰ってきてねって書いてあります。
僕も、色々あった事とピーちゃんの紹介を交えつつ早く帰れたらって返信を書きました。
シロちゃんも触手で器用にペンを持って返信を書いているけど、僕よりも達筆だよ。
物凄く綺麗な文字を書いているね。
こうして、無事に手紙を書き終えたので、王都に持っていく荷物を纏めている兵の元に向かいました。
「すみません、手紙ができたのでフランソワーズ公爵家までお願いします」
「アオン」
「おっ、早いな。じゃあ、確かに預かったぞ」
手紙が届いてその日のうちに返信を書くのは、とっても早いそうです。
他の兵にも家族からの手紙が届いたりしているけど、返信を書くのはもう少し時間がかかるそうです。
とはいっても、リミットタイムは決まっているのでちょうど交戦していない今夜あたりに書くのではと言っていました。
でも、実際に家族の元に帰れた方が良いから、僕ももっと頑張らないとね。
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