第五百二十八話 バーボルト伯爵領に到着

 どうも今回は強行軍で進むのか、飼い葉とかもたくさん用意してありました。

 野営する可能性も、考慮にいれないと駄目ですね。

 もちろん、飼い葉とかも僕とシロちゃんでしまっていきます。

 そして、最後に登場したのが、幌馬車と二頭の馬です。


「本当は、この幌馬車に積めるだけ積もうと思ったのよ。でも、もうこの幌馬車何台分もの荷物をしまってもらったわ」


 アイリーンさんがちょっと苦笑しながら説明してくれたけど、魔法袋を持たない人はこういう幌馬車に大量に荷物を積み込んでいくそうです。

 サンダーランド辺境伯領まであまり坂道はないけど、山登りするところだったらお馬さんが大変だね。


「アオン!」

「「ブルル」」


 いつの間にかシロちゃんとユキちゃんが馬と挨拶をしていたけど、共に旅をする仲間だから僕も挨拶をしておこう。

 そして、残りの三人も荷物を持ってやってきました。


「アイリーンさん、レオ君、お待たせしました」

「出発の手続きが終わりました」

「荷物も、これで最後です」


 これで全員揃ったので、僕たちは馬車に乗り込みます。

 幌馬車は初めてだけど、お尻が痛くならないようにクッションを出しておきます。

 御者は、カーラさんが務めてくれることになりました。

 そして、いつの間にか僕たちを見送るためにたくさんの人が集まっていました。


「では、行ってきます」

「「「「行ってきます」」」」

「怪我には気を付けてな」

「頑張れよ!」


 ギルバートさんとチャーリーさんだけでなく、多くの人に見送られながら僕たちを乗せた馬車は出発しました。

 僕たちも、見送ってくれる人に手を振ります。

 そのまま、馬車は少し速い速度で進め始めました。


「強行軍になるから、道中野営をする可能性もあるわ。まあ、幌馬車内に荷物がないから、わざわざテントを広げる必要もないわね」

「なら、全然大丈夫ですね。僕の土魔法で、簡単なお家を作ろうかと思ったんですけど」

「なら、馬車を覆うように作ってくれるとありがたいわ。馬も守らないといけないからね」


 もし野営になったことを考えて、アイリーンさんと色々話します。

 すると、ユキちゃんを抱いてもふもふしているマイアさんが、話に加わってきました。

 ちなみに、シロちゃんは御者席でカーラさんの側にいます。


「アイリーンさんも、レオ君も、直ぐに色々なことを思いつきます。私はまだまだだなって、ちょっと思っちゃいました」

「そりゃ、まだ新人兵なのだから仕方ないわ。なんせ、レオ君は三歳から冒険者活動をしているわけだし」

「それに、マイアがこのメンバーに選ばれたのは優秀だってのもあるのよ。きっとこの経験が後々生きてくるわ」


 ケイトさんも話に加わりながら、少し悩んでいるマイアさんと話をします。

 新人兵なのに選ばれたのは、僕もマイアさんに才能があると思っています。

 その後、バーボルド伯爵領に到着した僕たちは、そのまま軍の施設に向かいます。

 師団長執務室で、マイスター師団長さんとネストさんが待っているそうです。

 いつもの事務棟前に到着すると、直ぐにコレットさんが僕を出迎えてくれました。

 そのまま、師団長執務室に案内してくれました。


「初めて会った時は小さな冒険者だったのに、騎士爵様になったと思ったら今度は宮廷魔術師様になるなんて。レオ君は、本当にトントン拍子に出世していくわね」

「僕も、まさかこんな大層な称号を貰うとは思っていませんでした」

「謙遜しているところも、レオ君の良いところね」


 階段を上りなからミニッツさんと話をするけど、僕もビックリの展開ですよ。

 そして、無事に師団長執務室に到着しました。


 コンコン。


「師団長、皆さまが到着しました」

「そうか、入ってくれ」


 部屋に入ると、マイスター師団長さんにネストさん、それにバッツさんも僕たちを出迎えてくれました。

 アイリーンさんと僕は皆さんと顔なじみだけど、特にマイアさんは大物を目の前にして緊張していました。

 そして、何故かアイリーンさんと僕がソファーに座って他の人はソファーの後ろに立っていました。

 えっと、僕も後ろで立った方が良いのかな?


「レオ君は、ソファーに座らないと駄目だよ。なんせ騎士爵様で宮廷魔術師様なんだからね」

「そうそう。特に、軍の集まるところでは堂々としていないと駄目だ。今やレオ君は、それだけの地位にいる」

「ガハハ、俺と同じ立場になっちまうとはな。まあ、あれだけの実績があれば十分だ」


 うう、トリプルで色々と言われちゃったよ。

 僕としては、偉くなるために色々したわけじゃないんだよね。

 さてと、いうことでここからはマイスター師団長さんが話をしてくれました。


「時間もないことだから、手短に話す。一連の戦闘で、百を超える重傷者が出ている。一度の戦闘で、これだけの怪我人が出たのは久々だ。また、現在帝国側の魔法使いが投入された形跡はないが、可能性は残っている。最悪のことも考えなければならない」


 特に、後半のところで僕は気が引き締まりました。

 魔法使いが出てくれば、多くの怪我人が出てしまう。

 その時に、魔法使いを止めるために魔法使いが投入される可能性がある。

 そうなると、激しい戦闘で大変なことになりそうです。

 過去にも、魔法使い同士の大規模な戦闘があったそうです。


「このまま戦闘が終結してくれれば良いが、まだ戦闘を始めた理由も分からない。暫くは戦闘が続くと見ていいだろう」


 戦闘が始まった理由が解消すればいいけど、確かになんで戦闘が始まったのか分からないよね。

 その後も、マイスター師団長さんは無駄な戦闘は避けないとならないなどと話をしていました

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