第百五十八話 シロちゃんと一緒にポーションの空き瓶を洗います
あっ、ギルドマスターがいるから、ついでにあの事を聞いちゃおう。
もう不審者の話も終わったし、別の話をしても大丈夫だよね。
「ギルドマスター、ポーションを入れる瓶ってどこで手に入りますか? 割れてなければ、使い終えた瓶でも大丈夫です」
「あっ、その話ね。商会で瓶を手配しているようだけど、入荷に少し時間がかかるんだって。それに、薬屋にある瓶は物的証拠として押さえられているのよ。ギルドに空き瓶が沢山あるから、ギルドに行きましょうね」
良かった、ギルドに空き瓶が沢山あるんだ。
ギルドマスターも、ニコリとしながら回答してくれたよ。
どっちにしても今回の不審者の対応でギルドマスターもギルドに戻らないといけないので、僕はギルドマスターと一緒に冒険者ギルドに向かいました。
「しかし、ギルドマスターとして不良冒険者を野放しにして、レオ君が危険な目に合うところだったわ。レオ君、本当にごめんね」
「いえ、大丈夫ですよ。それに、何だかんだで不良冒険者の対応も慣れてきましたから」
「直ぐに、怪しい行動履歴の冒険者を洗い出すわ。レオ君を襲うバーサス子爵の関係者は、少しすれば捕まるはずよ」
冒険者ギルドに向かう道中で僕の手を繋いだままギルドマスターが謝ってきたけど、ギルドマスターがコバルトブルーの街の全ての冒険者を管理しているわけじゃないもんね。
それに、最初に不良冒険者に突き飛ばされた時から考えると、僕も荒事に慣れてきちゃったなあ。
バーサス子爵と関係なく、怪しい冒険者ってどこにでもいるもんね。
そして、僕達は冒険者ギルドに到着しました。
「買い取りスペースに、使い終わったポーションの瓶があるわ。実はね、瓶を作る業者も薬屋とバーサス子爵と絡みがあったのよ。えっと、いたいた」
「ギルマス、どうしましたか?」
「レオ君が来たから、例のポーションの空き瓶を渡して欲しいのよ」
「おお、あの件ですな。ちょいお待ちを」
既に職員にポーションの空き瓶の話が伝わっていたみたいで、直ぐに奥から以前も見た木箱を持ってきてくれました。
木箱には、沢山のポーションの空き瓶が入っています。
というか、ガラス業者もバーサス子爵と繋がっていたとは。
もしかしたら、ポーションも適正な値段で売られてなかったのかもしれないね。
「ほら、先ずはこれだけあれば足りるか?」
「わあ、これだけあれば沢山ポーションが作れます」
「そいつは良かった。割れてあるのは除いているから、好きなだけ持っていってくれ。場所取って邪魔なんだよな」
職員のおじさん曰く、本当にこのポーションの空き瓶は倉庫の一角を占めていて邪魔なんだって。
僕は、ありがたく全ての空き瓶を木箱ごと魔法袋に入れました。
宿に帰ったら、空き瓶を綺麗にしないとね。
「ギルドマスター、おじさん。今日採った薬草があるので、明日冒険者ギルドに作ったポーションを持ってきます」
「悪いわね、よろしくね」
「いくらでも持ってきて構わんぞ」
僕はギルドマスターとおじさんに手を振って、宿への帰路につきました。
帰ったら、早速空き瓶を洗わないと。
でも、どこで空き瓶を洗えば良いかな?
こういう時は、フルールさんに聞いてみよう。
という事で、宿に戻って早速フルールさんに聞いてみました。
「裏庭なら、いくらでも使って構わないわ。何か必要な物はある?」
「えっと、大きめのたらいがあるとありがたいです」
「たらいね。確か使っていない物があったから、それを用意するわ」
フルールさんから大きい木製のたらいを受け取って、僕は朝の訓練を行なっている裏庭に移動します。
「たらいを生活魔法で綺麗にして、水を溜めてっと」
ちゃぽん。
僕はたらいに水を溜めて、使い終わったポーションの空き瓶を軽く洗っていきます。
ぴかー。
「うん、綺麗になったね。やっぱり、軽く洗ったほうが瓶が綺麗になるんだ」
ただ生活魔法を空き瓶に使ってもあまり綺麗にならなかったけど、軽く洗うととっても綺麗になりました。
シロちゃんもたらいの縁に乗って、僕の真似をしてポーションの空き瓶を洗っていきます。
ちゃぽちゃぽ。
「ふう、だいぶ綺麗になったね」
一時間もすると、綺麗になったポーションの空き瓶がいっぱいできました。
木箱の中にはまだ沢山の空き瓶があるけど、一気にやると疲れちゃうもんね。
僕とシロちゃんは、後片付けをして宿に戻りました。
「あら、もう終わったの?」
「今日はこのくらいにしておきます。たらいはどうすればいいですか?」
「使ってないたらいだから、暫くレオ君が持っていて良いわ」
フルールさんの許可も貰ったので、僕は大きなたらいを魔法袋にしまいました。
ポーションの空き瓶は沢山あるし、明日も頑張らないと。
僕はちょっと疲れちゃったので、部屋に戻ってお昼寝をする事にしました。
「ふわあっと、時間を設定してと」
僕は懐中時計型の魔導具に、一時間後に鳴る様にタイマーをセットしました。
そして僕は、シロちゃんと一緒にベッドに潜り込み、直ぐに眠ってしまいました。
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