第百五十七話 明らかに怪しい二人組が近づいてきました
今日は、この辺で別荘から上がらせて貰いました。
「じゃあ、クリスちゃんまた明日くるね」
「さよーなら、おにーさま」
「気をつけて帰るんだぞ」
僕は、ちょっと不満気なクリスちゃんと苦笑をしているチャーリーさんに見送られながら街に戻って行きました。
さてと、まだまだやる事はいっぱいあるぞと気合を入れて、僕は防壁の門の所に向かいました。
「まだまだ沢山薬草があるね」
今日は薬草採取に専念しようと、シロちゃんと一緒に頑張っています。
よく考えたらポーションを入れる瓶がもうないので、後でギルドマスターに相談しないと。
そう思いながら、僕とシロちゃんはどんどんと薬草を採って行きます。
「ふう、お昼も近いしこのくらいにしようと」
集中しすぎない様に懐中時計型の魔導具にタイマーをセットして、休みながら薬草採取を続けました。
結構な量が採れたので、一回宿に帰って昼食を食べて休憩しようとした時でした。
「おい、このガキか?」
「間違いねえ。黒髪でスライムを連れているって話だ」
明らかに怪しい冒険者風の二人組が、僕の事を確認する様に見下ろしてきました。
僕もシロちゃんも、二人組を警戒しつつ魔力を溜め始めました。
チャキ。
二人組は、懐から短剣を抜いて僕に向けてきました。
もう、悪い人確定ですね。
ブォン、バシッ。
「な、何だこれは?」
「ぐっ、外れん。動かねーぞ」
という事で、僕とシロちゃんは二人組をバインドで拘束します。
僕が二人纏めて拘束したら、シロちゃんもホーリーバインドで二人纏めて拘束していました。
シロちゃんも、どんどんと使える魔法が増えてきたね。
「だ、大丈夫か?」
「子どもに刃物を向けるなんて」
防壁の門からちょっと離れていたけど、二人組が僕に近づいてきた段階で守備隊員がこっちに向かってきたのは分かっていたんだよね。
守備隊員が二人組を拘束した段階で、僕とシロちゃんは二人組へのバインドを解除しました。
「確かレオ君だよね。申し訳ないけど、詰め所で話を聞いても良いかな?」
守備隊員が申し訳なく話しかけてきたけど、僕も説明をしないといけないよね。
という事で、僕達は防壁の門にある守備隊の詰め所に向かいました。
「守備隊の皆さんも見ていたかと思いますが、僕は朝からずっと薬草採取をしていました」
「うん、それはこちらも分かっているよ。熱心に頑張っていたね」
僕は、守備隊員と一緒に応接室みたいな所で話をしています。
守備隊員の目の前でずっと薬草採取をしていたから、僕とシロちゃんの事は何も問題はありません。
「お昼になったので一旦宿に帰ろうと思ったら、急に目の前にあの二人組が現れたんです。どうも僕の事を探していたみたいでして、僕の髪色とシロちゃんの事を話していました」
「うーん、となるとあの二人組は明らかにレオ君の事を狙っていた訳だね。二人とも冒険者カードで門での身分照会をしていたから、冒険者ギルドにも連絡しておこう」
もしかしたらあの二人組は、冒険者登録を隠れ蓑にした悪い人なのかもしれないね。
取り敢えず冒険者ギルドからやってくる人を待つ事になったので、僕は魔法袋からパンを取り出してシロちゃんと一緒に食べていました。
「レオ君、おまたせ。ギルドマスターが来たよ」
「レオ君、大変だったわね」
そしてパンを食べ終わった後、ギルドマスターが応接室に顔を見せにきました。
「わざわざ、ギルドマスターが来てくれたんですね」
「そりゃ冒険者が絡んだ犯罪だし、それに恐らくバーサス子爵の件と絡みがあると思うわ」
ギルドマスターはおっとりとした口調だったけど、既に事件の背後関係を考えていました。
僕も、バーサス子爵に絡む事件じゃないかなって思っているんだ。
「直ぐに終わると思うから、ちょっと待っていてね」
ギルドマスターは僕にそう言うと、守備隊員と一緒に応接室を出て行きました。
果たして直ぐに終わるのかなと思っていたけど、ギルドマスターと守備隊員は本当に十分くらいで応接室に戻ってきました。
「今回の件は、バーサス子爵絡みで間違いないわ。雇い主であったバーサス子爵が捕まったので、貴族には手を出せないから一番弱そうだと思ったレオ君を殺そうと思ったらしいわね」
ギルドマスターが、呆れながらも事件の経緯を話してくれました。
確かに、僕はまだ小さい子どもだから簡単に殺せると思ったのかもしれないね。
「あと、あの二人は殆ど冒険者活動をしていなかったわ。冒険者活動をしたとしても、バーサス子爵絡みだわ。だから、同じ様な冒険者がいないかピックアップして、守備隊に確認して貰う事になったの。勿論、冒険者ギルドでも対象者の追跡を行うわ」
やっぱりというか、あの二人は冒険者登録を隠れ蓑にして活動していたんだね。
ギルドマスターもやれやれって感じだったけど、この件は冒険者ギルドと守備隊にお任せですね。
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