第二百九十五話 無事に炊き出しが終了します
おやつの時間頃になると、炊き出しで作った物が綺麗さっぱりなくなっちゃいました。
「わあ、沢山あったスープが全部なくなっちゃいましたね」
「レオ君がスープを配り始めてから、一気になくなったわね」
「流石は黒髪の天使様ね。私も、もっと頑張らないとなあ」
ハルカさんとヒカリさんもいっぱい手伝ってくれたから、スープがなくなっちゃったのだと思うよ。
沢山の人にスープを配る事が出来て、本当に良かったね。
「レオ君は、炊き出しの経験があるの?」
「前にアマード子爵領で炊き出しを経験しました。ずっとスープの入ったうつわを配っていましたよ」
「治療にも慣れているし、レオ君は本当に凄いね」
後片付けをしながらヒカリさんが聞いてきたけど、炊き出しは料理を作る人の方が大変そうですよね。
僕もシロちゃんもまだ料理が出来ないし、美味しい料理を作れる人って本当に凄いね。
「さあ、これで大丈夫ね。レオ君も馬車に乗りましょう」
後片付けも無事に終わったので、僕とシロちゃんはハルカさんに促されて豪華な馬車に乗り込みます。
マンデラ様に挨拶をして、今夜泊まる宿を探さないとね。
「黒髪の天使様、本日は本当にありがとうございます」
「おかげさまで、多くの人に炊き出しを届ける事ができました」
「黒髪の天使様に、神のご加護がありますように」
僕とシロちゃんは、馬車の窓から見送ってくれるシスターさんに手を振りました。
今日炊き出しに参加できたのも、馬車便の中でシスターさんが教えてくれたからだもんね。
「レオ君は、教会の人にも愛されているよね」
「教会に伝わっている逸話だけでなく、常に笑顔で一生懸命にやっているからよ」
馬車の中でヒカリさんがハルカさんに話しかけていたけど、僕としてはあまり意識してないんだよね。
ワイワイと馬車の中で話をしていたら、いつの間にかディフェンダーズ伯爵家のお屋敷に到着しました。
僕達は馬車から降ります。
「よっと、わあ、久しぶりです」
「ふふ、嬉しそうにしているわね。じゃあ、応接室に案内するわ」
「私も着替えたら、直ぐに応接室に行くね」
ハルカさんとヒカリさんは、外向きの服から室内着に着替えるそうです。
僕は前にも行った応接室に、案内の侍従の人と一緒に向かいました。
「わあ、お菓子ありがとうございます」
「それでは、暫くお待ち下さいませ」
お菓子とお茶を出してくれたので、僕とシロちゃんで頂きました。
うーん、疲れた体に甘い物が染み渡るね。
ガチャ。
「いやいや、遅れてすまん。おお、こう見るとレオ君も小さな子どもだな」
「ま、マンデラ様、すみません」
「おっと、座ってお菓子を食べてていいぞ。ニコニコ顔でお菓子を食べる姿は、とっても良いものだったぞ」
急に応接室にマンデラ様が入ってきたから、とってもビックリしちゃったよ。
しかもお菓子を食べてにっこりしているところまで見られちゃった。
ちょっと顔を赤くしながら、僕はマンデラ様と話し始めました。
「今日は炊き出しを手伝ってくれたみたいだね。着いたばっかりなのに、本当にありがとう」
「いえ、僕も急に参加しちゃいましたから」
「そんな事はないさ。レオ君だったら、いつでも歓迎だよ」
マンデラ様がニコニコとしながら話してくれた。
聞けば炊き出しを月一で行っている程度なので、本当にタイミングが良かったみたいです。
「レオ君はこれからシークレア子爵領に行くみたいだけど、本当に忙しいね」
「でも、僕を必要としてくれる人がいるので、とってもありがたいです」
「そうだね。レオ君は複雑な環境で育ったから、尚更なのかもね」
マンデラ様は僕の生い立ちを知っているので、しみじみと頷きながら話を聞いてくれました。
こんな僕のことを必要としてくれる人がいるなんて、とってもありがたいですね。
「では、僕はもうそろそろ行きます。今夜泊まる宿を探さないといけないので」
「何をいうか。炊き出しまで手伝ってくれたのだから、遠慮せずに我が家に泊まると良い」
あ、あの、別に遠慮はしていないんですけど、僕としては宿に泊まることしか頭になかったんですよ。
そして、更に追撃してきた人が。
ガチャ。
「レオ君が泊まる部屋を準備したわ。この間と同じ部屋よ」
「夕食も一緒に食べましょうね。美味しい料理を作ってくれるって」
応接室に入ってきたハルカさんとヒカリさんが、色々な準備が終わったと伝えてくれました。
うん、ここまでしてくれて断るのは悪いよね。
「じゃあ、一晩よろしくお願いします」
「そんなに気を張らなくていいぞ。なにせ、レオ君は我が領の恩人なのだから」
こうして、二日目はディフェンダーズ伯爵家のお屋敷に泊まる事になりました。
ディフェンダーズ伯爵家の人達は、とっても良い人たちだね。
因みに僕が色々と話している間に、シロちゃんが僕のお菓子を全部食べちゃいました……
シロちゃん、美味しいお菓子の恨みは大きいよ。
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