第三百二十六話 今日は教会での治療です
治療対応も二日目に入ります。
今日は教会で治療を行うけど、場所が分からないので護衛を兼ねてモゾロフさんが一緒についてくれます。
「おっ、あれだ。ちょっと離れた所に教会があるんだぞ」
「ちょっと小高い所にあるんですね。でも、何でですか?」
「海から船が帰る時に、港にある灯台とあの教会の灯りが目安になるんだ」
確か本で読んだことがあるけど、灯台っていう船の帰る目安があるんだって。
教会も、海から見ると灯台の役割があるのかもね。
そして、ちょっと小高い丘に上がって教会に到着です。
「わあ、本で見た灯台っぽい塔がありますよ!」
「これが、話していた教会の灯りだ。まあ、港町特有の設備だな」
この塔が見れただけでも、僕とシロちゃんは大興奮です。
今度港に行った時に、灯台を見てみよう。
さてさて、さっそく教会の中に入りましょう。
「あっ、昨日も来てくれたシスターさんです。おはようございます」
「レオ君、おはようございます。今日も宜しくね」
昨日も治療のお手伝いをしてくれた年配のシスターさんが、僕とモゾロフさんに挨拶をしてくれました。
「おっ、ばっちゃんが昨日来ていたのか」
「あのやんちゃ坊主だったモゾロフが、黒髪の天使様の付き添いとは。私も年をとったわね……」
モゾロフさんの事を年配のシスターさんがしみじみと話していたけど、ザンギエフさん達は街の有名人だったんだ。
何となくモゾロフさんが何をしたか聞いてはいけない気がしたので、直ぐに治療の準備に入ります。
もう沢山の人が教会の中に入ってきたし、今日も頑張らないとね。
女神様像の前に僕とシロちゃん用に椅子を二つと治療する人の椅子を二つ並べて、準備完了です。
待つ間は、教会の長椅子に座って貰います。
今日は人が多いから、スピード重視で対応しないとね。
「おや、今日はモゾロフが黒髪の天使様の付き添いかい? モゾロフも偉くなったもんだねえ」
「はいはい、その事は俺が一番良く分かっているよ。レオの前に座りな」
モゾロフさんが列の整理をしてくれるけど、街の人にもモゾロフさんは声をかけられています。
それでも和やかな雰囲気なので、悪くはないですね。
ではでは、さっそく治療を始めちゃいましょう。
「はい、次の方。あれ? 左手の薬指と小指がないですけど、どうしたんですか?」
「ああ、これかい? 昔、工場での事故で切っちまったんだよ。まあ、ちょいと不便だが大丈夫だ」
順調に治療が進んでいき、僕の前におじいさんが座りました。
おじいさんは腰が痛いらしいのですけど、僕は切断された指に目がいっちゃいました。
僕は、指を治さないって事はしないよ。
「そうなんですね。指も治しちゃいましょう。シロちゃん、ちょっと手伝ってね」
シュイン、ぴかー!
「指を治すって、はあ? ゆ、指が生えているぞ! 何が起きたんだ?」
ちょうどシロちゃんの治療が空いたので、シロちゃんにも治療を手伝って貰いました。
指二本くらいならそこまで魔力を消費しないし、もちろん腰もバッチリ治ったよ。
「おっちゃん、治療が終わったら次の人に交代だぞ」
「ちょ、まっ。モゾロフ、指が、失った指が生えたんだぞ。動くんだぞ! どうなっているんだよ!」
「ああ、その事か。レオは造船所で木材の下敷きになって足を潰した子どもを完治させているし、足を繋げたんだから指くらい生やすだろう」
「は、はあ……」
治療を受けたおじいさんだけでなく周りの人も驚いているけど、モゾロフさんはあの造船所での男の子の事故の事があるから平然としていました。
「れ、レオ君、き、奇跡を、奇跡を起こしたのかい?」
「えっ? 普通に治療しただけですよ。サンダーランド辺境伯領でもディフェンダーズ伯爵領でも、戦いで手足を切断した兵を何人も治療していましたし」
「は、はあ。まあ、昨日も天に召される間近のご老人を完治させましたからね……」
年配のシスターさんも度肝を抜かれていたけど、僕もシロちゃんも普通の治療って思っていたよ。
こうして、ちょっとビックリされちゃった事はあったけど、順調に午前中の治療が終わりました。
昨日は調子の悪いおじいさんの治療でいきなり全力の魔法を使ったけど、今日は全然魔力を使っていないよ。
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