第百四十一話 コバルトブルーレイクの街に到着です

 カラカラカラ。


 馬車は、街道を順調に進んでいきます。


「シロちゃんが、森のざわめきがだいぶ小さくなったって言っているよ」

「そりゃそうだろうよ。あれだけの数のゴブリンを倒したんだから」

「ゴブリンの巣は守備隊とあの村にいる冒険者が処分するって話だしな」

「俺達ができるのは、ここまでだって事だ」


 僕はシロちゃんと一緒に、森の方を見つめていました。

 確かに、何となくだけど森が静かな感じがするよ。

 そのせいか分からないけど、今日は動物や魔物に全く遭遇しないね。


 カラカラカラ。


 そして、村を出て三時間近くになった時、遂に森に囲まれた所を抜けたよ。


「わあー! すごーい! きれー! おっきいー!」


 森を抜けると、突然目の前にとっても大きな湖が広がったよ。

 もう、余りの大きさと綺麗さに、僕とシロちゃんは馬車から身を乗り出して思わず大はしゃぎです。


「ふふ、レオ君が年頃の子どもみたいになっているわ。とっても可愛いわね」

「はしゃぎたい気持ちは、私達にも分からなくもないけどね。あれがコバルトブルーレイクよ」


 そんな僕とシロちゃんの事を、ユリアさんとイリアさんが微笑みながら見つめていました。

 街も湖からすぐ近くにあり、湖のきらめきがで輝いて見えます。

 多くの人が訪れる観光都市ってのも、とっても良く分かります。

 そして、僕達はそのまま防壁の門の所まで行きました。


「こちらを預かっています」

「ちょっと待ってくれ。ふむふむ、むむ、村であったというゴブリン襲撃の件だな。ありがとう、助かったよ」


 ユリアさんが、村の守備隊の人から預かった手紙を渡しました。

 恐らく、僕達がゴブリン襲撃を防いだと書いてあったみたいですね。

 そのままチェックを通過して、僕達は馬車乗り場に着きました。


「よっと。俺等はここまでだな」

「道中、色々とありがとうございました。本当に助かりました」

「良いって事よ。黒髪の魔導師樣と旅をしたなんて、良い話のネタになったしな」

「それに実績も上がったし、良いこと尽くめだ。また一緒にやろうな」

「ばいばーい!」


 道中一緒だった冒険者とは、馬車乗り場でお別れです。

 本当に助かったし、また一緒に旅をしてみたいですね。

 僕は、シロちゃんと一緒に手を振りました。


「じゃあ、冒険者ギルドに向かいましょうね」

「手紙をギルマスに渡さないといけないし、ゴブリンキングを卸さないといけないわね」


 墨はユリアさんとイリアさんに挟まれる形で手を繋いで、冒険者ギルドに向かいます。

 冒険者ギルドへは、馬車乗り場から僕の足でも十分あれば着くそうです。


「お魚がいっぱい売っていますね」

「コバルトブルーレイクは、魚も沢山取れるのよ」

「昼食は、冒険者ギルドの食堂にしましょう。魚料理が名物なのよ」


 通りにあった商店では、様々な種類の魚が売られていました。

 あれだけ大きい湖だから、お魚も沢山取れるんだ。

 お魚料理も、とっても楽しみですね。

 そして、冒険者ギルドに到着です。

 アマード子爵領の冒険者ギルドと、同じ位の大きさですね。


「最初に、手紙を受付に渡しましょう」

「ちょうど知り合いの人がいるわね。そこにしましょう」


 冒険者ギルドに入ると、ある受付に向かって歩き始めました。

 あの受付のお姉さんが、ユリアさんとイリアさんの知り合いなんだね。

 青色のおかっぱ頭で、とても人懐っこい感じだよ。


「マナ、久しぶり」

「ユリア、イリア、久しぶりね。って、それどころじゃないわよ。村でゴブリンの襲撃があったって聞いたけど、大丈夫だったの?」

「だから、大丈夫だったからここにいるんでしょ」


 受付のお姉さんはとっても焦った感じで聞いてきたので、ユリアさんとイリアさんが逆にビックリしちゃったよ。

 村であったゴブリン襲撃は、既にこの冒険者ギルドにも伝わっていたんだね。


「はあ、それなら良いけど。たまたま聞いた村にいた冒険者のリストに二人の名前があって、こっちは生きた心地がしなかったわよ。しかも、黒髪の魔導師と一緒にゴブリンを撃破したって聞いて、もう一回驚いたわ」

「まあ、本当に色々とあったわよ。レオ君がいなかったら、マジでヤバかったわ」

「あと、ギルマス宛に手紙を預かっているわ」


 ここで頭を押さえていた受付のお姉さんが、イリアさんから手紙を受け取りながら目をパチクリしました。

 そして、僕とシロちゃんの事を、まじまじと見つめました。


「も、もしかして、黒髪の魔導師とか小さな魔法使いって言われている冒険者って、この子なの?」

「そうよ、レオ君って言うのよ」

「初めまして、レオです。僕の頭の上にいるのが、シロちゃんです」

「えーーー! 本物の黒髪の魔導師だ! 確かに髪の毛が真っ黒だ!」


 えっと、受付のお姉さんが僕の手を取って目を輝かせているよ。

 ちょっと、いや、だいぶ怖いなあ……


「マナ、少し落ち着きなさいな」

「あた!」


 と、ここでまた別のお姉さんがやってきて、受付のお姉さんにチョップをしました。

 見た目はとっても若くて、金髪のウェーブの髪をしています。

 とっても穏やかな感じの人で、ちょっとポヤポヤした感じかな?

 あと、今まで会った人の中でもダントツにお胸が大きいんだよ。

 お胸の方が、お顔よりも大きいんじゃないのかな?

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