第五百三話 みんなで軍の施設へ

 昼食後は、予定通り軍の施設に向かいます。

 ネストさんも一緒に行くそうで、二台の馬車で現地に向かいます。


「「「「わあ!」」」」


 直ぐに軍の施設に着いたんだけど、施設の大きさにウェンディさんたちはとってもびっくりしていました。

 僕も初めて軍の施設を見た時は、こんなに大きいのかと驚いたよね。

 そして、いつも通っていた事務棟の前に到着しました。


「レオ君、師団長はいつもの部屋にいる。みんなを先導してくれ」


 なんだか、ネストさんがニヤリとしていたよ。

 いつもので通じるほど、確かに何回も通ったところなんだけどね。

 僕が先頭に立って歩こうとしたら、やる気満々のユキちゃんが僕の前を歩き始めました。

 思わず苦笑しながらも、僕たちはユキちゃんの後を歩いていきます。

 そして、階段を登るんだけど、マヤちゃんはジェシカさんに抱っこされていました。


 コンコン。


「アオン!」

「ふふ、入ってくれ」


 師団長執務室の前についてユキちゃんがドアをノックしたら、部屋の中から吹き出す声が聞こえたよ。

 マイスター師団長さんも、まさかユキちゃんが僕たちを先導しているとは思わないだろうね。


 ガチャ。


「失礼します」

「やあ、レオ君、ちょっと久々だね。ユキちゃんも先導ありがとうね」

「アン!」


 部屋に入った僕たちを、マイスター師団長さんが笑顔で迎えてくれました。

 ユキちゃんも仕事をやり切ったと、とても良い笑顔ですね。

 すると、抱っこ状態から床に降りたマヤちゃんが、何かを思い出したみたいです。


「あっ、この前会った人だ!」

「覚えていてくれたんだね。王城の謁見の間で会ったね」


 マイスター師団長さんも先日の謁見に参加していたので、マヤちゃんも何となく覚えていました。

 そんなマヤちゃんに、マイスター師団長さんもニコニコしながら頭を撫でていました。

 僕たちも席に着いて、話をする事にしました。

 すると、ビックリすることが判明しました。


「モニカ様、だいぶ前にお子様とお会いしましたが、とても大きくなりましたね」

「アレックスが生まれた時でしたわね。今はこんなにも成長して、私も嬉しい限りですわ」

「「えっ」」


 ウェンディさん、アレックスさんがとってもびっくりしているけど、よく考えると二人は赤ちゃんとかでとっても小さかったタイミングですね。

 ちなみに、フランソワーズ公爵家に跡取りが誕生したと、その時はかなりの人が生まれたばっかりのアレックスさんを見にきたそうです。

 そして、話はシークレア子爵領での結婚式の話になりました。


「シークレア子爵領に通じる街道を多くの貴族が通過するから、国からの通達で動物や魔物を排除をするようにしている。レオ君なら何も問題ないと思うが、念の為に気をつけるように」


 そっか、結婚式だから多くの貴族が集まるもんね。

 僕たちは早めに現地入りするけど、結婚式直前になってやってくる貴族も多いそうです。

 そして、マイスター師団長さんはこんなことも話していました。


「今回の結婚式は、いわば軍が結束するための結婚式でもある。というのも、海軍の基地と造船場を保有するシークレア子爵家と陸軍の幹部であるブランフォード子爵家との結婚式だ。多くの軍関係者も参加するし、もちろん私も結婚式に参加する」

「あっ、そういえばそうですね」

「王都から馬車で五日間の旅なんて、軍人にとっては大した距離ではない。もちろん、王都で万が一のことがあっても大丈夫なように十分警戒をしている」


 やっぱり普段から鍛えているのもあってか、軍人さんは馬車旅なんてへっちゃらなんですね。

 それに、結婚式に参加する貴族が知っている人が多いのでとっても安心しました。

 知らない人ばっかりだと、とっても緊張しちゃうよね。

 その後も主に結婚式の話をしていたけど、いつの間にかマヤちゃんはお昼寝タイムに突入しちゃいました。

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