第五百四話 僕のお祝いをしてもらっちゃった

 僕たちは、軍の施設を後にしてバーボルド伯爵家の屋敷に戻ります。

 というのも、マヤちゃんだけでなくクリスチャンとユキちゃんまでお昼寝タイムに入っちゃいました。


「「「すー、すー」」」

「きっと、ずっと馬車に乗っていたから疲れちゃったのね。暫く寝かせて上げましょう」


 モニカさんも、こればっかりは仕方ないって表情です。

 そして、屋敷に用意された客室にジェシカさんとバーボルド伯爵家の使用人が寝ちゃった二人と一匹を運んでいきました。

 僕たちも、部屋で休むことになりました。

 ちなみに、フランソワーズ公爵家とマヤちゃん、僕の二部屋だそうです。

 なので、僕の泊まる部屋は小さめの部屋です。

 それでも、十分な広さはあります。

 既にベッドではユキちゃんが寝息を立てていたけど、僕も少し疲れちゃったのでベッドに潜り込みました。

 すると、あっという間に眠気が襲ってきました。


「わあ、すごーい!」

「アオン!」


 夕食の時間になったのでみんな揃って食堂に行くと、すごく豪華な食事が用意されていました。

 マヤちゃんとユキちゃんが興奮するのも、とても分かります。

 そういえば、僕が来た時は歓迎会だったんだよね。

 それぞれが案内された席に座ると、ネストさんとイストワールさんだけでなく、ダンビルさんとシャンティさんも姿を現しました。


「ははは、驚いているようだな。今日は歓迎もあるけどレオ君の騎士爵叙爵の祝いも含んでいるんだ」

「えっ、そうなんですか? わざわざすみません」

「このくらいは全然問題ない。なにせ、レオ君は我が領でも多数の人を治療してくれたし、あの横暴だったゴルゴン侯爵一派を衰退させた功績者だ。軍に関わるものだったら、誰でもレオ君に感謝しているはずだよ」


 ネストさんがパチリとウインクしながら理由を教えてくれたけど、わざわざお祝いしてくれるなんてとてもありがたいですね。

 全員グラスを持ったら、さっそく乾杯です。


「それでは、レオ君の騎士爵叙爵を記念して乾杯とする。乾杯!」

「「「乾杯!」」」


 ネストさんの音頭で、僕たちも夕食を食べ始めました。

 うん、今夜の夕食は何だか特別に美味しいね。

 みんな、美味しいご飯に笑顔になっています。


「おにいさま、とっても美味しいね」

「おいしー!」


 僕の両側にいるクリスちゃんとマヤちゃんも、口の周りをベタベタにしながらニコニコしています。

 でも、流石に貴族令嬢らしくないので、僕とシロちゃんが二人の口の周りを拭いてあげます。


「アオン!」

「はいはい、ユキちゃんもね」

「では、私がお拭きいたします」


 「私も!」ってユキちゃんが口の周りをベタベタにしてアピールしていたけど、席がマヤちゃんの隣なのでジェシカさんにお願いしました。

 そんな僕の様子を見て、ネストさんとイストワールさんが思わず笑っていました。


「ははは、王都で大活躍をして爵位をもらっても、レオ君はレオ君のままだな」

「ふふふ、ええ、そうですわね。心の優しい、レオ君のままですね」


 僕は特別なことをしているつもりはないんだけど、二人にはそれが良かったみたいです。

 他の人も、僕たちのやりとりを見てにこやかにしていました。

 こうして、和やかなうちに夕食は終わりました。

 何だか、ほっこりする時間だったね。

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