第百八十八話 明日の予定を話します
「むにゃむにゃ。あれ? 僕寝ちゃったのかな?」
目が覚めた僕とシロちゃんの所には毛布がかけられていたけど、誰かがかけてくれたのかな?
僕とシロちゃんはうーんと背伸びをして、周りを見回しました。
炊き出しは終わったみたいで、僕達の近くにはギャーギャー騒いでいる盗賊と監視についている守備隊員しかいないよ。
懐中時計をみると、一時間寝ていたんだね。
僕は毛布を畳んで、シロちゃんと一緒に守備隊員さんに状況を聞きます。
「おっ、レオ君目が覚めたんだね」
「はい、ちょっとゆっくりできました。皆はどこに行きましたか?」
「村長の家にいるよ。その毛布も、村長の家から借りたものだよ」
ちょうど目的地が一緒なんだね。
僕は毛布を持ちながら、シロちゃんと一緒に村長さんの家に入ります。
そういえば、村長さんの家に仮設の玄関ドアがついていたよ。
「こんにちは」
「おやおや、目が覚めたんだね」
村長さんの家に入ると、ちょっとふっくらとしたおばちゃんがやっていたよ。
この人が、本当の村長さんの奥さんだね。
「レオ君、色々話を聞いたわよ。村の為に色々ありがとうね」
「皆さん、無事に解放されて良かったです」
「そうね。こうして話していられるのは、とても幸せな事だと改めて感じたわ」
今は表情の明るい奥さんだけど、捕まっている時は不安だったよね。
あっ、毛布を返さないと。
「あの、毛布ありがとうございます。ぐっすり休めました」
「いえいえ、こちらこそね。今、応接室に案内するわ」
僕は毛布を受け取った奥さんの後をついて行って、昨日と同じ応接室に入ります。
コンコン。
「レオ君が来られましたわ」
「入ってくれ」
応接室の中から守備隊長さんの声が聞こえてきて、僕はドアを開けて応接室に入ります。
応接室の中には、守備隊長さんとユリアさん達の他にふっくらとしたおじさんがいました。
間違いなく、この人が村長さんだね。
「君がレオ君だね。村を救ってくれて、本当にありがとう。心から感謝するよ」
「僕は、ユリアさんとイリアさんと守備隊長さんに従っただけですよ」
「そんな事はないさ。あのかまいたちのゼンを倒せる魔法使いはそう多くない。レオ君がいなければ、皆殺しになった可能性もあるさ」
村長さんは、僕の頭を撫でながら感謝の言葉を言っていました。
まだ僕一人だけじゃ上手く動けないし、きっと駄目だったと思うよ。
ユリアさんとイリアさんは本当に凄い冒険者だし、守備隊長さんが色々指示を出してくれたもんね。
僕は、ナナさんの隣に座りました。
シロちゃんも、僕の頭の上から腕の中にヒョンと飛び込みました。
「レオ君、体調はどうかね?」
「だいぶ良くなりました。魔力切れじゃなくて、疲れちゃったみたいです」
「はは、それだけ動けばね。しかし、あれだけの魔法を使って魔力切れじゃないとは。改めて凄い魔法使いだと認識したよ」
守備隊長さんが少し苦笑していたけど、今日はいっぱい動いたから疲れちゃったんだよ。
「あと、ナナ君の事を守備隊が評価していたよ。盗賊を次々に拘束して、仕事が楽だったってね。流石は、黒髪の魔術師の弟子だって言ったよ」
「へえ、そうなんですね。ナナさん凄いです!」
「いえ、私はまだまだですし、出来ることをやっただけですし……」
「その出来ることが、中々出来ないのが非常時だ。その点を考えても、良くやっていたよ」
ナナさんは褒められてちょっと恥ずかしがっていたけど、ナナさんの実力なら当然だと思うよ。
今回の事件が、ナナさんにとって良い経験になりそうだね。
「さて、レオ君も来たから改めて話をしよう。事件の規模が大きいので、我々は交代しながら村に残って捜査を続ける。奴らのアジトも見つけないとならないしな。幸いにして街から馬で二時間もあれば着く距離だから、人数が多くても護送はとても楽だ」
馬車便でも三時間かからなかったし、街と村が近くて良かったね。
でも、守備隊は暫くの間は忙しそうだね。
「レオ君達は、明日朝の馬車便で帰って貰って結構だ。話は聞いているし、特にやる事はないからね。ただ、土壁を少し直して貰いたいから、それだけ手伝ってくれ」
土壁は村の防衛力の為に残すけど、入口の所はもう少し広げた方がいいんだって。
そのくらいなら今直ぐにでもできるけど、今日は無理しないで休む事にしました。
「我々は空き家を借りる事になったけど、レオ君達は村長の家に泊まる事になった」
「えっ、良いんですか?」
「村長からの好意だ。素直に受け取った方がいいぞ。部屋は一部屋だがな」
野営でも良いかなと思ったけど、女性パーティだから宿泊出来る時はした方が安全なんだって。
ここは、素直にお言葉に甘える事になりました。
とは言っても、ユリアさん達もとても疲れていて、話し合いが終わって夕食をご馳走になったら、直ぐに皆んなで寝てしまいました。
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