第四百三十一話 首謀者が発覚
そして、会議が終わるタイミングになって、またもや兵が会議室に入ってきました。
何やら、別の報告があるみたいです。
「失礼します。報告いたします。首謀者が判明しました。ヴァイス子爵です。現在、軍がヴァイス子爵家に捜索に入っています」
この兵の話を聞いた瞬間、会議室内が一斉にざわめいた。
ヴァイス子爵ってのが、何かに関係しているのかもしれない。
最初に立ち上がったのは、激昂している軍務卿でした。
「ヴァイス子爵だと! 国を治めるはずの軍人貴族ではないか。一体何を考えているんだ?」
えっ、軍人さんなの?
国を守る人が、不正なポーションに手を出していたなんて。
でも、バーボルド伯爵領にある軍の駐屯地で僕を攻撃した三人のように、まともじゃない貴族はいるのかもしれない。
そして、次に宰相がとある事を教えてくれた。
「レオ君、バーボルド伯爵領から王都に向かう際にブランフォード子爵夫妻が乗った馬車が襲われたが、襲撃を指示したという疑念がかかっているのがこのヴァイス子爵だ」
「えっ、ライサさんを押しのけてシークレア子爵に嫁を嫁がせようとしていた貴族ですか?」
「ああ、そうだ。軍は貴族が指揮しなければならないという、古臭い貴族主義の考えを持っている。その割に、本人に実力は無いがな」
この話を聞いて、僕もその貴族にぷんぷんしました。
ライサさんに意地悪な事をしていただけでなく、お金儲けの為に不良ポーションを作っていたなんて。
これだけの事をしているのに、軍人なのって信じられません。
そして、この人も激おこモードでした。
「軍務大臣、それにレオもだな、ヴァイス子爵家の捜索に合流して獅子身中の虫を摑まえるように。宰相、内務大臣、直ぐに当主の職務停止などの手続きに入るように」
「「「はっ」」」
恐らく陛下は、僕がコバルトブルーレイク直轄領でバーサス子爵を捕まえたってのを知っているんだ。
僕も、気持ちを落ち着けて対応しよう。
会議はこれで終わって、一気にヴァイス子爵対策に動きました。
席を立った僕に、チャーリーさんとギルバートさんが話しかけてきました。
「レオ君、気を付けてな。レオ君の強さは良く分かっているが、人は追い詰められると何をしでかすか分からない」
「私も、不良ポーションの回収などで当分王城にいる。ヴァイス子爵を捕まえたら、王城に戻ってきてくれ。恐らく、商務大臣の執務室にいるはずだ」
チャーリーさんとギルバートさんも、やる事が沢山あるからとても大変だね。
僕はチャーリーさんとギルバートさんに手を振ってから、ブランドルさんの後を付いて行きました。
ブランドルさんも、激おこモード継続中ですね。
そんなブランドルさんが、僕に話しかけてきました。
「レオ君、ヴァイス子爵を二度と口をきけないようにしてやりたいのだがそうはいかない。死なない程度に強力な電撃を浴びせて構わない」
「あの、僕も人殺しにはなりなくないので、そこはきちんと守ります」
「あの馬鹿は、平民嫌いだ。レオ君を罵倒する可能性は高い。レオ君も、怒りに任せた行動は取らないように」
走りながらブランドルさんとお話するけど、どんどんとヴァイス子爵のイメージが悪くなってきますね。
ブランドルさんも、ヴァイス子爵が嫌いなんだ。
そして、王城の玄関に沢山の兵が集まっていて、ブランドルさんが大きな馬車に乗り込んだので僕も続きます。
「重犯罪者牢を用意するように。間違いなく複数利用するぞ」
「はっ」
ブランドルさんは、見送りをする兵に指示を出します。
そういえば、バーサス子爵を捕まえた時も、側近を捕まえていたもんね。
こうして僕たちは、大人数で大急ぎでヴァイス子爵家に向かいました。
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