第二百十八話 順調に街道の復旧作業が進んでいきます

 昼食の時間になったので、僕は作業員の人と一緒にスープとパンを食べます。

 とっても温かくて、お肉も野菜もいっぱい入っていてとっても美味しいです。


「レオ君、沢山魔法を使ったけど疲れていない?」

「全然へっちゃらです。念動を使っているうちに、効率よく出来るようになりました」


 シスターさんが僕の事を心配してくれたけど、魔法の良い訓練になっているし魔力もまだまだ大丈夫です。

 土のう代わりの麻袋が沢山できたけど、これからどうするんだろう?

 そう思っていたら、現場の担当者が僕に話しかけてきたよ。


「レオよ、あの土壁を十メートル置きに人が通れるくらいに穴を開けられるか? 土のうが溜まってきたから、崩れた側の工事も始めるぞ」

「全然大丈夫です。昼食後に、早速やりますね」

「せっかく頑丈な土壁を作ってくれたのに悪いな」


 工事現場の担当者が済まなそうに言うけど、僕としては逆にどうやって崩れた崖を直すのか興味があるよ。

 シロちゃんも興味を持ったみたいなので、昼食後に早速担当者と一緒に土壁に向かいました。


「じゃあ、このくらいの間隔でやってくれ」

「はい、えーっとこのくらいでいいですか?」


 ズゴゴゴゴ。


「おお、良い感じだな。じゃあ、続きをやっちまおう」

「はい!」


 担当者と一緒に土壁に適度なスペースを作ったら、何人かの作業員が次々と土のう代わりの土の入った麻袋を持っていきます。

 もう暫くしたら、何をどうしているか分かるそうです。

 それまでは、僕は引き続き治療もしつつ麻袋に土を入れていきます。


 ボコ、ドサ。

 ボコ、ドサ。

 ボコ、ドサ。


 段々と念動の使い方にも慣れてきたので、僕とシロちゃんもどんどんと作業をしていきます。

 と、ここで僕に声がかかりました。


「おーい、レオ。ちょっとこっち側を手伝ってくれ」


 担当者に声をかけられた場所は、既に道みたくなっていて馬車が一台ずつ通れるスペースがありました。

 よく見ると、待避所みたいに何箇所かスペースがありますね。


「待避所で待って、うまく相互交通出来るようにしているんだ。そのスペースを、どんどんと広げて欲しい」

「わあ、凄いですね。こういうやり方があるんですね」

「待避所同士を繋げれば、交互通行しないで済む。上手く行けば、明日にも通行は再開できるだろう」


 目に見える形で復旧が進むと、とってもやる気が出てくるね。

 僕もシロちゃんも、待避所に行って作業を始めました。


「シロちゃんは、僕と反対側ね。よーし、頑張るぞ!」


 僕は、気合を入れて作業に取り掛かりました。


 ボコ、ドサ。

 ボコ、ドサ。

 ボコ、ドサ。


 馬車が通過できるだけの幅で、どんどんと土を麻袋に入れていきます。


「おお、ちっちゃい魔法使いが頑張っているのう」

「あの壁も、この魔法使いの子どもが作ったんだってよ」

「いやあ、黒髪の魔術師がたまたまいて良かった」


 待避所で通行を待っている人が、僕に声をかけています。

 僕もたまたま子爵領にいたけど、先にサンダーランド辺境伯領に行っていた可能性もあるよね。

 そんな事を思いながら、休憩を挟みつつ作業を続けていきます。


「よーし、今日はこんなものだろう。じゃあ、切り上げるぞ」


 夕方前になって、今日の作業は無事に終了しました。

 後片付けをして、帰り支度をします。


「このまま行けば、明日にも本格的に通行が再開できそうですね」

「とても有難いことです。それだけレオ君の魔法が凄いんですわ」


 シスターさんとも話をしたけど、怪我人も少なくなってとっても良い感じです。

 僕は子爵領兵の馬車に乗って、屋敷に戻りました。


「そうか、それは良かった。それにしても、レオ君がそこまで動いてくれるとは思わなかった。無理はしなくて良いんだよ」

「ありがとうございます。ちゃんと、無理をしない範囲でやっています」


 夕食時に子爵様から気を使われちゃったけど、シロちゃんも一緒だし全然無理はしていないんだよね。

 シロちゃんも、明日も頑張るぞとやる気満々です。


「ああ、そうだ。明日、男爵夫人が兵を連れてくるそうだ。街道が使えなくなったら男爵領も死活問題だし、男爵の事も一段落したらしいぞ」


 あの男爵様はいつの間にか子爵領に連れてこられていて、子爵領の兵の詰め所で早速訓練を受けているそうです。

 男爵領も一段落したし、男爵夫人様も安心しているんじゃないかな。

 何れにしても、良い方向に向かって欲しいね。

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