第二百六十一話 シロちゃんが新しい魔法を覚えたよ
シロちゃんがあっという間にオークの血抜きをしてくれたので、殆ど傷まないうちにオークを魔法袋に入れる事ができました。
あっ、そうだ。
このオークキングが使っていた大きな斧はどうしよう?
「マシューさん、この大きな斧はどうしますか?」
「普通の討伐ならレオ君の物になるが、今回はサンダーランド辺境伯家と冒険者ギルドが連携した依頼になる。一旦冒険者ギルドに卸して、その後にオークションにかけて収入をレオ君に出す事になる」
あっ、そうか。
オークも全部僕が預かって冒険者ギルドに卸してから実績に応じて分配する事になっているし、この斧もそうなんだね。
でも、正直な所、お金を貰っても使い道がないんだよね。
「マシューさん、斧のお金は全部村に寄付します。僕はもう十分にお金を持っています」
「ふふ、レオ君らしいね。では、その様にしよう」
マシューさんが、ふふふと僕の頭を撫でながらお願いを聞いてくれました。
フレアさんとミシャさんも、僕の頭を撫でていました。
「さて、今日は皆も疲れたと思う。しっかりと食べて、ゆっくりと休んでくれ」
「「「おー!」」」
マシューさんは冒険者に声をかけていて、冒険者も盛り上がっていました。
でも村人の事を考えて、祝杯は街に帰ってからになりました。
騒ぐのも、村の端に行って控え目にするそうです。
「どーぞー」
「熱いですので、気を付けて下さいね」
「まだまだ、沢山ありますよ」
僕はというと、女性の冒険者と一緒に夕食分の炊き出しを配っていました。
村人も時間が経ってだいぶショックから立ち直っていて、炊き出しや壊れた建物の仮復旧をしていました。
中には、僕の頭を撫でていく村人もいました。
こうして、段々と夜になって行きました。
「シロちゃん、今日は一日護衛お疲れ様だね」
夜になって、僕はシロちゃんと合流しました。
そして、フレアさんとミシャさんと一緒にテントの中に入ります。
シロちゃんは、今日一日マシューさんの護衛任務を頑張っていたもんね。
おや、シロちゃんに持たせていた親方特製ナイフがないよ。
どっかいっちゃったのかな?
「シロちゃん、もしかしてナイフを失くしちゃったの?」
僕がシロちゃんに聞いたら、ふるふると震えて否定していました。
シュッ。
何と、何もない所からシロちゃんがナイフを取り出したのです。
これには、僕の近くにいたフレアさんとミシャさんもとてもビックリしていました。
「えっ、一体どこからナイフを取り出したのかしら?」
「もしかして、アイテムボックスを使ったのではないでしょうか」
どうもミシャさんが言ったのが正解だったらしく、シロちゃんはうんうんと震えていました。
「そっか、沢山のオークの血を吸収してパワーアップしたんだね。百頭以上いたもんね」
「オークキングもいたとはいえ、これは凄いなあ」
「シロちゃんは、スーパースライムだね」
ちょっと嬉しそうなシロちゃんに、皆が声をかけていました。
そして、僕は魔法袋の中からシロちゃん分の道具を取り出しました。
「これが、シロちゃんのおサイフだよ。後は、タオルと毛布も持っていてね」
僕が魔法袋に入れていた物を、シロちゃんが受け取ってアイテムボックスに入れていきます。
これから、お互いの持ち物を整理していかないとね。
これで完了って所で、フレアさんが僕に質問してきました。
「レオ君、シロちゃんがアイテムボックスを使える様になって悔しいって思った?」
「えっ? うーん、全然そんな事を思ってませんでした。シロちゃん凄いって思ったし、僕も負けないぞって思いました」
「そっか、レオ君らしいね。お互いに良い友達なんだね」
僕とシロちゃんはお友達だし、競い合う事はあっても恨んだりはしないよ。
僕もシロちゃんも、うんうんって頷いていました。
明日も朝早いって事で、僕達は早めに寝袋に入りました。
そして、疲れていたのもあってか、あっという間にシロちゃんと一緒に寝ちゃいました。
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