第三百四十八話 海で大はしゃぎします

 みんなで海の中に入って、泳いだり海の家で借りたボールを使って遊んでいます。


「それー!」

「おにーちゃん、そっちに行ったよ」

「よっしゃー、返すぞ!」


 波打ち際でみんなで輪になって、ボールを打ち返します。

 海だから波に足を取られて転んじゃったりもするけど、みんなで遊ぶってとっても楽しいです。

 因みに、僕はちっちゃいから魔法を使ってもオッケーです。


「うーん、眼福だ……」

「ボールを返すたびに、嬢ちゃんの二つの大きなボールも跳ねているぞ」

「一緒にいるのがザンギエフ達なのが気に入らないが……」


 僕達から少し離れた所には造船場で一緒に働いているおじさん達がいたけど、何故か僕達の事を羨ましそうに見つめながらジュースを飲んでいました。

 因みに、海水浴場ではお酒は販売していなくて持ち込みも禁止なんだって。

 前に、酔っ払いが暴れちゃった事があったそうです。

 その後は、少し海で泳ぎます。

 もちろん僕は、海の家で借りた浮き輪を使って泳ぎます。


「海って、こんなにもしょっぱいんですね」

「不思議だよな。何でこんなにしょっぱいか、未だに解明されていないぞ」


 何回か海の水を舐めちゃったけど、海の水がしょっぱいから海から塩が取れるんだよね。

 でも、こうしてゆっくりと泳ぐのもなんか気持ちいいね。

 十分に海で遊んだら、海から出て海の家に向かいます。

 でも、その前にザンギエフさんからとある提案が。


「レオ、このままだと海水でベタベタするから水魔法をぶっかけてくれ」

「じゃあ、雨みたいにして最後に生活魔法をかけますね」

「おう、それでいい。やってくれ」


 シュイン、ふわー。

 ザー!


 ザンギエフさんのリクエストで、僕は水魔法を宙に浮かべて雨みたいに降らせます。

 砂浜だから、水で濡れてもへっちゃらです。


「いやー、魔法って便利だな。バケツに汲んだ水を頭からかぶるところだったぞ」

「レオ君の魔法の使い方が、とっても上手なのもあるわ。こんな水魔法の使い方なんて知らないわ」


 みんなが僕の水魔法で体についた海水を洗い流し、最後に生活魔法で綺麗にしていきます。

 さっぱりしたところで、海の家で昼食を食べます。

 僕たちは、大きなテーブル席に座りました。


「ほら、体を動かしたんだからしっかりと食べな」


 大きなテーブルの上に、ソースの焦げた良い香りのする焼き麺が並べられました。

 海で沢山遊んでお腹ペコペコになったので、僕たちは一気に食べ始めました。

 他のテーブル席に座っている人も、お腹が空いたのか沢山食べています。

 かくいう僕もシロちゃんも、お腹が空いたのでモリモリ食べちゃいました。


「はいよ、かき氷だ。冷たくて美味いぞ」

「かき氷、ですか?」

「おう、氷を削ってシロップとかをかけた物だ。暑い日にピッタリだぞ」


 最後に出てきたのは、細かい氷を削ったかき氷です。

 一口食べてみてっと、わあ、氷がシャキシャキしていて、メロンのシロップがかかっていてとっても美味しいよ。

 他にも何種類かのシロップがあって、とってもカラフルで綺麗です。


「うー、一気に食うと頭がキーンってなるな。でも、やめられないな」

「それは、おにーちゃんが少しずつ食べないからでしょう?」


 頭を押さえているザンギエフさんに、ナディアさんが冷静にツッコミを入れています。

 でも、かき氷ってとっても美味しいから、今度自分で作ってみよう。

 でも、僕はその前にちょっと眠くなってきちゃいました。

 かき氷をしゃくりしゃくりと食べて、美味しいけど眠いよ……

 うん、もう限界で、ふ……


 パタリ。


「すー、すー」

「あらら、レオ君スプーンを持ったまま寝ちゃっているよ」

「ふふ、とっても可愛いわね」

「こう見ると、レオ君も普通の小さな子ね」

「海で沢山動いたから、疲れちゃったのね」


 スプーンを持ったまま眠った僕の事を、ダリアさん達がニコリとしながら見ていました。

 そして、この後誰が僕を宿まで抱っこして帰るか、熱いじゃんけん大会が開かれたそうです。

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