第五百二十三話 緊急会議
シークレア子爵領から王都に戻ってきてから一ヵ月が経ちました。
僕も冒険者活動と日々の勉強を再開し、中々忙しく過ごしていました。
「じゃあ、行ってきます」
「「いってらっしゃーい!」」
今日は軍の治療施設に行って、入院患者の治療を行います。
クリスちゃんとマヤちゃんに見送られながら、馬車に乗って出発です。
新人訓練の時にも軍の施設で行われるので、最近は週一で行っています。
「レオ様、お待ちしておりました。こちらになります」
「きょうも宜しくお願いします」
「アオン!」
案内をしてくれる兵とも、もうすっかり顔なじみになっちゃいました。
もう勝手も分かっているので、さっそく治療施設に向かいました。
シュイン、ぴかー!
「ユキちゃんも、とっても治療が上手になったね。もう一人前の治癒師だよ」
「アン!」
日々の訓練を頑張っている成果が出たのか、ユキちゃんは重傷者を治療できるようになりました。
魔法剣も発動できるようになったので、もっと頑張れば飛翔魔法もできそうです。
ユキちゃんの成長に、ジェシカさんも思わずニンマリですね。
こうして、みんなで分担して治療を進めたら、午前中で殆どの入院患者の治療を終えました。
「あれ? 何かあったのかな?」
「ワフッ?」
治療施設を出たら、何故か多くの軍人がドタバタと忙しそうに動いていました。
その中の一人が、僕たちを見つけて側にやってきました。
「レオ君ちょうどいいところにやってきた、一緒に王城に行くぞ」
「えっ? えっ?」
声をかけてきたのは、だいぶ慌てた様子のナンシー侯爵だった。
ジェシカさんと話をして、ジェシカさんとユキちゃんはフランソワーズ公爵家の馬車で帰ってもらって、僕とシロちゃんはナンシー侯爵とともに王城に向かいました。
「ナンシー侯爵、何かあったんですか?」
「それは王城に行ってから話すが、間違いなくレオ君の力が必要になる」
うーん、僕の力が必要になるって、いったいどんなことなのだろうか。
なんだろうと思っているうちに、あっという間に王城に到着しました。
あの、大きな会議室に案内されると、陛下と閣僚だけでなく多くの軍人が集まっていた。
もしかして、大事件でも起きたのだろうか。
「陛下、ちょうど軍での治療を終えたレオ君も一緒に来てもらいました」
「ナンシー侯爵、ご苦労だ。説明の手間が省ける」
陛下も、話す雰囲気から何だか焦っている感じがするよ。
取り敢えず、席に座って話を聞こう。
すると、ブラウニーさんが立ち上がって報告を始めました。
「報告します。サンダーランド辺境伯領にある帝国との国境で、大規模な交戦が開始されました」
ブラウニーさんから報告された驚愕の内容に、僕は思わず目を開いちゃいました。
散発的な紛争は起きていたけど、まさか大規模な交戦が起きるなんて。
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