第三百四十五話 みんなと水着を買いに行きます
日々の作業を行っているうちに、段々と暑い季節になってきました。
僕も半袖半ズボンで過ごしているけど、ザンギエフさん達はぴちぴちのタンクトップでいます。
「お兄ちゃん、その姿むさ苦しいよ! 何でいつもタンクトップなの!」
「しょうがないだろうよ。シャツがパツンパツンで入らないんだから」
ここのところ、ザンギエフさん達は毎朝訓練を行っています。
なので、筋肉が更にモリモリマッチョになっちゃったので服が着れなくなっちゃいました。
ザンギエフさん達が体を鍛えているのは、再来週に海岸で開かれるお祭りに向けてだそうです。
流石にその姿は、ナディアさんじゃなくても暑苦しいと思うよ。
「じゃあ、来週みんなで海に行きましょう」
「水着も買わないと駄目ですね」
「私、海は初めてなのでとても楽しみです」
「海水浴に行くなんて、お貴族様になった気分ですわ」
そんな僕たちの横で、ダリアさん達が水着について楽しそうに話していました。
来週、みんなで海水浴に行く予定です。
僕も海水浴は初めてだから、とっても楽しみです。
「ほらほら、ザンちゃんも着れる服がなくなっちゃったんだから、みんなをエスコートしながら服を買ってきなさい」
「「「「へーい」」」」
「うふふ、ちゃんと返事をしないとね」
「「「「はいっ!」」」」
オリガさんに圧のある笑顔を向けられて、ザンギエフさん達は直ぐに元気の良い返事をしていました。
僕も水着を持っていないので、一緒に商会に買い物に行きます。
「あっ、ザンちゃん。ついでだからこれも買ってきてね」
流石はオリガさん、ただでは終わりません。
買い物リストを受け取って、改めて商会に出発です。
「暑いからなのか、観光客も多いですね」
「この辺りで海水浴ができるところがあるのは、この子爵領しかないからな。別荘持ちの者は、わざわざ王都からもやってくるぞ」
普段街で見ない人もいて、街はとっても賑わっていました。
観光客向けのお店も出ていて、観光客が買い求めていました。
そんな光景を横目にしながら、僕たちは商会に到着しました。
「いらっしゃいませ。今日は大人数ですね」
「来週海水浴に行くのと、再来週の件もあるからな。あと、かーちゃんからの頼まれ物だ」
「畏まりました。ご用意しますね」
いつもの商会の店員さんに、ザンギエフさんが買い物リストを渡しました。
ダリアさん達は、さっそく女性用水着売り場に向かいました。
僕たちも、ザンギエフさん達と一緒に男性用水着売り場に向かいます。
「うーん、シャツだけじゃなくて下着もキツイんだよな」
「取り敢えず、パンツも買わないと」
「少し大きめのシャツを選ぶか。直ぐにキツくなりそうだ」
「タンクトップもぴちぴちだし、新しいのを買わないと」
ザンギエフさん達は、水着だけでなく普段着も沢山買っています。
体が大きくなると、買い替えも大変だね。
僕も、子ども用の水着を購入して準備完了です。
「うーん、これが良いんじゃない?」
「えー、少し大胆すぎない?」
「どうせひと夏に数回しか着ないんだから、派手なのでも大丈夫よ」
「うーん、サイズあるかしら……」
オリガさんに頼まれた物を含めて僕たちは全て買い揃えていたけど、ダリアさん達はまだまだ水着が決まらないみたいです。
僕たちは、応接セットのソファーに座ってダリアさん達の買い物が終わるのを待ちます。
「かーちゃんとナディアは即決即断だから、全然買い物で持たないんだよな」
「何か、そんな光景が目に浮かびます。僕も女性は買い物が長いと聞いていましたけど、オリガさんとナディアさんは直ぐに決めそうです」
女性の買い物の長さも、人によって違うみたいです。
ダリアさん達は、買い物が長そうなタイプな気がします。
更に三十分後、とってもご機嫌なダリアさん達が僕たちに合流しました。
それでもザンギエフさん曰く、ダリアさん達はまだ買い物時間が短いそうです。
みんなで荷物を持って、宿に帰って行きます。
「「「「「ただいま」」」」」
「「「「帰ったぞ」」」」
「あっ、みんなお帰り」
僕たちが宿に戻ると、ナディアさんが出迎えてくれました。
ナディアさんは、そのままダリアさん達のところに混ざっていきます。
「あら、ザンちゃんお帰り。思ったよりも帰りが早かったわね」
「みんなでどっか寄ろうとしたけど、暑いし荷物もあるし帰ろうってなったんだよ」
「ふーん、ちゃんと気を使ったのね。もう昼食よ」
オリガさんは、ザンギエフさんに色々と話をしていました。
ザンギエフさんは、顔に似合わず色々な事に気がつくもんね。
さて、僕も部屋に戻って荷物をおいてこようっと。
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