第二百八十三話 明日は朝早いかも

 そして、二日目の後片付けをしていると、不良を引き取りに来た守備隊と共にマシューさんがやってきました。

 どうも、僕とフレアさんとミシャさんに用事があるみたいです。


「レオ君、色々とすまなかったね。窃盗団を捕まえてくれて、非常に助かったよ」

「マシューさんがわざわざ来るとなると、何かあったんですか?」

「あったというよりかは、冒険者のレオ君にお願いに来たんだよ」


 僕にお願いって何だろうって思っちゃった。

 しかも、冒険者としてのお願いなんだね。

 人がいっぱいいる商会前の通りじゃなんだというので、皆でミシャさんのお家の応接室に移動します。


「どうも、この花祭りを窃盗団が狙っているみたいだ。昨日捕えた者の供述から、そう判断している」

「となると、今日僕が捕まえた人の供述で証言が得られれば確実ですね」

「レオ君は賢くて助かる。つまりは、そういう事だ」


 僕も、何だかおかしいなと思っていたんだよ。

 しかも、今日は最初から僕達の出店に狙いを定めていたんだよね。


「昨日も、実は二段階の窃盗だったんだ。最初の窃盗をした後、人々の視線が窃盗団に向いた所でスリを繰り返していたみたいだ」

「あっ、今日ミシャさんのお父さんがスリが多いって言っていました」

「そういう事だ。普通のスリも多いし、これは明らかにおかしい事だよ」


 悪い人が、連携しながらスリをしていたんだ。

 そうなると、どこかに窃盗団がいるアジトがありそうだね。


「そこで、守備隊も動くが、念の為にレオ君とフレアとミシャにも手を貸して貰いたい。恐らく、明日早朝には動くだろう」

「分かりました。せっかくのお祭りを台無しにする人は許せません」

「そうですね。お客さんも戻ってきているのに、窃盗団のせいで客足が鈍化しかねないです」

「僕もシロちゃんも大丈夫です。いつでも動けますよ」

「ありがとう。出撃になったら、守備隊の者を寄越そう」


 花祭りを、沢山の人が楽しみにしているもんね。

 僕もシロちゃんも、勿論フレアさんとミシャさんもやる気満々です。

 マシューさんはこの後も色々と動かないといけないので、早々に屋敷に戻って行きました。


「となると、明日の午前中は出店はお休みですね」

「仕方ないけど、お客さんの安全第一だからね」

「私も、こればっかりはしょうがないと思います。お客さんに祭りを楽しんで貰いたいですから」


 花祭りを楽しむ為に、遠くから来ている人もいるもんね。

 という事で、明日に備えつつリースとピンブローチの在庫作りを行います。


「あたしも作るよ。夕食までだけどね」

「私もです。流石に今日は早く寝るために、夜更かしはしないですよ」


 一時間しか在庫を作る時間がなかったけど、それでも結構な量のリースとピンブローチが出来上がりました。


「ふむ、中々の量だね。商会の人の手が空けば、在庫分の販売は出来そうだ」


 その在庫を見たミシャさんのお父さんが、商会の人が代わりに出店を開いてくれる案を出してくれました。

 状況見合いで対応してくれるそうなので、ここはミシャさんのお父さんにお任せしました。


「さあ、明日は朝早いのだから早めに食事を食べて休みなさい。特にレオ君は、窃盗団を魔法で捕まえて疲れているのだからね」


 ミシャさんのお父さんも、花祭りを成功させたいという思いは一緒です。

 僕達の事を気遣ってくれました。

 早めにお風呂に入って、夕食も食べちゃいます。


「シロちゃん、もし盗賊団を捕まえないといけなくなったら頑張らないとね」


 そして、早めにベッドに入りシロちゃんとお喋りをしました。

 怪我人も出ないで窃盗団を捕まえられたらと思いながら、段々と眠くなってきちゃいました。

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