第二百四十六話 やっぱりフレアさんとミシャさんは凄腕の剣士です

 村から目的の森まで歩いても直ぐに着くそうなので、僕とシロちゃんはフレアさんとミシャさんと一緒に歩いて行きます。


「今日はとっても良い天気ですね」

「そうね。風も強く吹いていないし、とてもいい気候ね」

「動くにはもってこいね」


 天気も良いしお喋りをしながら三十分も歩けば、目的の森に到着です。

 装備を整えて、僕達は早速森の中に入ります。

 僕は探索魔法を展開して周囲の警戒にあたり、シロちゃんも野生の勘モードに入ります。


 ガサガサ、ガサガサ。


「何か物音がする。気をつけて」

「こちらも物音を立てないように」


 フレアさんとミシャさんが、直ぐに僕に指示を出してきます。

 この手早い対応は、流石は腕の良い冒険者って所ですね。


 ガサガサ、ガサガサ。


「「「ブヒブヒ」」」


 茂みから現れたのは、五頭のイノシシでした。

 周囲を警戒しながら、森の中を歩いています。


 シュッ。


「はっ」

「せい」


 ザクザク!


 一瞬でフレアさんとミシャさんがイノシシに向かって飛び出し、あっという間にイノシシ五頭を倒しちゃいました。

 イノシシは、声を上げる暇も無かったみたいですね。

 フレアさんとミシャさんのあまりの早業に、僕もシロちゃんも全く反応できませんでした。


「お二人ともとっても凄いです! カッコいいです!」

「ふふ、ありがとうね。先輩として、少しでも良い所をみせないとね」

「流石にこれくらいはできないと、レオ君に怒られちゃうわ」


 僕は興奮しながら、フレアさんとミシャさんの所に走っていきました。

 やっぱり二つ名を持っている人って、とっても強いんですね。

 因みに、シロちゃんは早速イノシシの血抜きを始めていました。

 シロちゃんの血抜きは完璧だから、村の人も喜んでくれるよね。

 そして、さっきの二人の戦いを見て、ちょっと気になった事があります。


「あの、フレアさんとミシャさんがイノシシを倒した時に、魔力の気配がしました。それで、素早く動けなのかなって思っちゃいました」

「レオ君こそ凄いわ。魔力の気配を察知する能力が凄いのね」

「実は私も魔力が少しだけあるのよ。放出魔法はできないけど、身体能力強化はできるのよ」


 おお、ミシャさんも魔法が使えるんですね。

 魔力はちょっとだけっていうけど、あれだけの動きができるのは凄いと思うよ。


「僕もシロちゃんも、身体能力強化が上手くできないんですよ。だから、フレアさんとミシャさんは凄いと思います」

「それじゃあ、朝の訓練に身体能力強化を加えましょう」

「レオ君は凄い魔法使いだから、直ぐに身体能力強化を使いこなせるわ」


 僕も、改めて頑張ろうって思いました。

 それに、新しい魔法を覚えるのは、いつもワクワクするんだよね。


 ガサガサ。


「「「ブヒー!」」」

「あっ、またイノシシが現れました。今度は僕がやりますね」


 シュイーン。


 次に現れたイノシシは三頭で、とっても攻撃的で直ぐに僕達の所に突っ込んで来ました。

 でも、このくらいのイノシシなら魔力の溜めなしで大丈夫ですね。


「えーい!」


 バリバリバリ!


「「「ブヒー!」」」


 バタリ。


「いやいや、レオ君も大概だと思うけどね」

「本物の魔法使いって、こんなにも凄いなんて」


 エリアスタンだから、イノシシも逃げる暇はなかったみたいですね。

 エアーカッターでイノシシにトドメをさしてシロちゃんに血抜きをしてもらうけど、僕はフレアさんとミシャさんみたいに一撃で相手を倒すことはできないんだよね。

 こうして順調にイノシシを倒していき、二時間もかからずに二十頭を倒せました。

 勿論、シロちゃんがバッチリと血抜きをしてくれました。


「おお、二つ名を持つ者が三人もいると、こんなにも早く駆除が終わるのですな。しかも、血抜きも完璧だ」


 早速村長さんの家の前で倒したイノシシを見てもらったけど、どちらかというと倒した時間に驚いていました。


「凄い、これが二つ名を持つ冒険者の実力なのか」

「あの小さい子が、噂の黒髪の天使様よ。とっても可愛いわ」

「紅のフレアと双剣のミシャも、やっぱり美人よね」


 村長さんの所には、村の人も沢山集まってきました。

 何だか僕達の二つ名を言いながら話をしてきたけど、フレアさんとミシャさんの所には若い人が集まっていて、僕の所には年配の人とかが集まっていました。

 早速男の人が、イノシシを別の所に運んで解体作業を始めていました。


「依頼書にサインしました。また、何かあれば依頼を出しますので」


 村長さんのサインが入った依頼書をフレアさんが受け取って、これで依頼完了です。

 僕達は馬車に乗って、サンダーランド辺境伯領の街に戻ります。


 カタカタカタ。


「無事に終わって良かったですね」

「そうだね。村の人が言っていたけど、二つ名を持つ冒険者が三人もいると本当に仕事が早いわ」

「お昼前に終わっちゃったし、冒険者ギルドで手続きを終えたら三人で食事にしましょう」


 村の人も喜んでくれたし、僕達もホッとしています。

 ちゃんと村に卸した十頭分のイノシシの討伐証もあるし、後は手続きをして皆で昼食にするだけですね。

 僕とシロちゃんは、何を食べようかなって馬車に揺られながら頭の中で考えていました。

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