第四百五十五話 無事に依頼完了です

 昼食前には、無事に全ての病室に入院している患者の治療を終えることができました。

 合体魔法を使った影響もあってか、僕とシロちゃんの魔力残量は三分の一くらいだけど気絶するとかはありません。

 僕たちは大教会に移動し、応接室に案内されました。

 ジュースを出して貰って、ようやく一息つきました。


「レオ君の魔法も凄かったけど、おばあさまも本当に凄かったわ」

「おばあさま、本当に凄かった!」

「あら、ありがとうね。私も、年甲斐もなくはしゃいじゃったわ」


 孫に褒められて、ヒルダさんも上機嫌です。

 というか、僕達の回復魔法が霞むくらいヒルダさんは大活躍していました。

 患者さんへの気遣いはもちろんのこと、看護係のシスターを手伝ったり、僕たちが治療しやすいように患者さんへの配慮をしたりしていました。

 ヒルダさんのお陰で、いつもよりもスムーズに治療が行えた気がします。

 そして、少し休んだところで教皇猊下が応接室の中に入ってきました。


「皆さまにおかれましては、多数の入院中のものを治療頂き感謝申し上げます。ヒルダ様におかれては、本当に大活躍だったと担当の者より聞いております」

「わざわざご挨拶頂き、こちらこそ恐れ入ります。レオ君たちの治療の腕が良いからこそ、私もフォローに専念できたのですわ」

「流石はヒルダ様ですな」


 教皇猊下が上機嫌でヒルダさんに話をしているけど、治療だけでない精神的な

効果も得られたと言っています。

 先ほどの職人さんの件もあるし、それは僕も間違いないと思っています。

 そして、話はあの四男爵家の話になりました。


「色々と思うことはあるが、事件が無事に解決に向かって何よりだと思っておる。ハンブルク男爵家は残る可能性は高いが、他家は断絶する可能性も否めないだろう」

「それは、致し方ないかと思われますわ。対立する貴族家への襲撃のみならず、不良なポーションは王都に出回っております。庶民への影響も考えると、厳しい処分は免れません」

「黒髪の天使様がおられたからこそ、このように被害を受けた者も回復したのだ。何にせよ、我々ももっとしっかりしないとと反省いたしました」


 しみじみと教皇猊下が語っていたけど、僕がたまたまいただけだもんね。

 ヴァイス子爵を捕まえたのも陛下の命令だったし、安息日の奉仕作業についても元々予定はなかったよなあ。

 その後も色々と話をして、僕たちは教皇猊下と別れて冒険者ギルドに戻りました。

 そして、受付で手続きをすると全員に報酬が配られました。


「わあ、こうやってお金が手に入るんだね」

「ふふ、そうよ、働いた対価としてお金が手に入るの。貴族も、働いているからこそお金が入るのよ」

「何だか、とっても勉強になりました。本当に良い経験です」


 ウェンディさんは、働いた報酬の大切さに気づいたみたいです。

 きっと、この報酬も大切に使うんでしょう。

 すると、ウェンディさんが何か思いついたみたいで、ヒルダさんに耳打ちをしていました。

 ヒルダさんも、ニコリとウェンディさんに微笑みかけていました。


「うんうん、それはとても良い案ね。でも昼食の時間だから、一旦屋敷に戻りましょう」

「「うん?」」

「アオン?」


 僕とクリスちゃんは何が何だか分からなくて、シロちゃんとユキちゃんと一緒に首を傾げちゃいました。

 何はともあれ、教会の治療施設での治療は無事に終了しました。

 僕たちは馬車に乗って、冒険者ギルドからフランソワーズ公爵家に戻ります。


「「「ただいま帰りました」

「お帰りなさい。昼食の準備ができているわよ」


 屋敷に入った僕たちを、ターニャさんが出迎えてくれました。

 きっと昼食時に、こうやって頑張ったって色々話をするんでしょうね。

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