第二百四十一話 フレアさんとミシャさんにピンブローチをプレゼントします

 他の人の分のピンブローチが作り終わったので、最後にフレアさんとミシャさんのピンブローチを作る番になりました。


「レオ君、私達は良いよ。急遽参加したんだし」

「そうよ。私なんて、追加の治療までして貰ったのだから」

「全然大丈夫ですよ。追加分のパーツもありますし、むしろ張り切って作っちゃいますよ」


 フレアさんとミシャさんはピンブローチ作りを遠慮したけど、僕とシロちゃんはやる気満々です。

 早速、フレアさんとミシャさんをイメージしたピンブローチを作ります。

 特にリクエストは無かったので、髪色に合っていてドレスでも冒険者服でも似合いそうなピンブローチを作ります。


 ポチポチポチ。


「よし、出来た!」

「す、凄い……」

「本当に手早いわね……」


 良いイメージが湧いたので、僕もシロちゃんもあっという間に完成です。

 今まで一番早く出来たので、フレアさんもミシャさんもとてもビックリしていました。

 シンプルだけどとっても良い出来で、僕もシロちゃんも大満足です。


「レオ君、ありがとうね。大切にするわ」

「とっても良い宝物になったわ」


 フレアさんとミシャさんも、僕とシロちゃんが作ったピンブローチをとても嬉しそうに受け取ってくれました。

 これで、ピンブローチ作りも一段落です。

 と、ここでチェルシーさんがフレアさんとミシャさんに話しかけました。


「もうそろそろレオ君が宿に泊まる予定なのだけど、良い宿は無いかしら?」

「うーん、小さい子が安心して泊まれる宿ですか」

「この街には、女性専用の宿はないんですよね。後は、冒険者ギルド併設の宿ですね」


 僕としては、冒険者ギルド併設の宿で全然平気なんだよね。

 皆がうーんって考えていたら、ミシャさんのお母さんが良い案を思いついたみたいです。


「でしたら、我が商会に泊まってはどうでしょうか? ちょうど一部屋空いていますし、隣の家にはフレアの実家もあります」

「それは良い案ですわ。申し訳ないけど、宜しいかしら。まだ数日は、屋敷におりますので。勿論、宿代は払いますわ」

「いえいえ、逆に、レオ君には娘の病気を治して頂いたのです。こちらも、精一杯おもてなしさせて頂きますわ」


 そして、僕の目の前でこれからの予定が決まっていました。

 ミシャさんもいるし、きっと大丈夫ですね。

 という事で、僕は数日後にミシャさんの実家の商会に泊まる事になりました。

 こうして、賑やかなうちにお茶会は終了しました。


「レオ君、今日は色々とありがとうね。後で、冒険者ギルドに指名依頼として処理しておくわ」

「僕もとっても楽しかったですよ」

「そう言って貰えると、こちらもとっても助かるわ」


 屋敷に入って、応接室でちょっとのんびりしています。

 温かい紅茶を飲んでいるけど、段々と寒くなっちゃったもんね。


「スーザンさんの周りにも、沢山の人が集まっていましたね」

「ええ、ありがたい事に皆さん赤ちゃんの出産を心待ちにしてくれましたわ」


 スーザンさんも、大きなお腹を撫でながらニコリとしていました。

 あと少しで出産だし、僕も赤ちゃんに会えるのをとっても楽しみにしているんだよね。


「治療に関しては、たまに指名依頼を出させて貰うわ。国境の戦況も落ち着いているみたいだし、いきなり沢山の怪我人が出ないと思うわ」


 国境付近の紛争は陣営を立て直した王国軍が盛り返して、今はにらみ合いの状態だそうです。

 このまま大きな争いにならないことを、祈るばかりですね。


「そうだわ。明日は教会と共に炊き出しを行うのよ。レオ君も一緒にどうかしら?」

「はい、是非とも参加したいです」

「そう、良かったわ。スーザンは屋敷で休む予定だから、私と一緒に行きましょうね」


 スーザンさんは今日いっぱい頑張っちゃったから、明日はしっかりと休まないとね。

 明日の予定も決まったし、僕達は暫く応接室でお喋りしていました。

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