第二百三十三話 ピンブローチをプレゼントします

 今日の午後から治療院での治療再開何だけど、午前中は何もやる事がありません。

 魔力を無駄にする作業もやめた方が良さそうです。


「うーん、どうしようかな。ポーション作りも昨日やっちゃったし……」


 何か良い時間潰しがないかなと思ったら、シロちゃんがちょんちょんとしてきました。

 あっ、あれをやろう!

 僕とシロちゃんは、早速魔法袋から取り出した物を使ってあるものを作り始めました。


「よし、出来た! シロちゃん、見せにいこう」


 十分もあれば、完成しました。

 そうです、僕とシロちゃんが作ったのはピンブローチです。

 チェルシーさんとスーザンさんをイメージして作りました。

 二人はどこにいるかなと思ったら、ちょうど二人ともお庭にいました。


「チェルシーさん、スーザンさん。ここにいたんですね」

「あら、レオ君どうしたの?」

「お二人に、これを作ったんです」


 僕とシロちゃんは、チェルシーさんとスーザンさんに作ったピンブローチを渡しました。


「えっ、この素敵なピンブローチをレオ君とシロちゃんが作ったの? とても良く出来ているわ」

「そういえばコバルトブルーレイク直轄領に小さなアクセサリー職人がいるって噂を聞いたけど、それってレオ君とシロちゃんの事だったんだね」


 二人とも、僕とシロちゃんが作ったピンブローチを見てビックリしていたけど、それ以上に喜んでくれました。

 早速ピンブローチを身に着けてくれました。

 そして、庭にあるベンチに座って少し話をする事になりました。


「実はコバルトブルーレイクの街にいた時に、魔導具修理工房でピンブローチの作り方を教えてくれたんです。お店の中で、お客さんのリクエストに答えながら作った事もありましたよ」

「そこまでしていると、本当のアクセサリー職人みたいだわ」


 チェルシーさんは、僕がそこまでやっていたと知ってかなりビックリしていました。

 すると、ちょっと考える素振りをしながらスーザンさんが僕に質問してきました。


「レオ君、コバルトブルーレイク直轄領では告白する時にアクセサリーも一緒に送っていたって聞いたけど、それは本当なの?」

「はい、本当です。正確には、プレゼントはアクセサリーでなくてもお花とかでも良いんですよ。僕も、何人か告白する女性のイメージでピンブローチを作りました」

「やっぱりそうなんだね。街の人から、そんな事をしているって聞いた事があるのよ」


 コバルトブルーレイク直轄領であった告白の際にプレゼントを贈る事は、王国内で行われている訳じゃなかったのね。

 でも、サンダーランド辺境伯領でも段々と広まってきているそうです。


「レオ君、ピンブローチってリクエストする事も出来るんだよね?」

「はい、材料があれば僕とシロちゃんはリクエストを受けて作れますよ」

「今度、街の有力者のご婦人やご令嬢を集めてのお茶会があるのよ。レオ君にも参加して貰おうかと思っているけど、即興でピンブローチを作って貰おうかなって思ったのよ。勿論、材料費はこちらで出すわ」


 おお、何だか面白そうな事をするんだね。

 キチンとお金も貰えるみたいだし、僕とシロちゃんとしては何も問題はないよ。

 この辺はチェルシーさんが取り纏めてくれるそうなので、暫く待ちになります。


「しかし、レオ君は幼いのに何でも出来るわね。ポーション作りもできるし、ピンブローチも作れるなんて」

「僕はまだまだですよ。普通の人が出来る依頼とかも出来ないですし、料理とかも出来ないですよ」

「大きくならないと出来ないことは、どうしても沢山あるわ。今は、出来る事を一生懸命にやれば良いと思うわよ」


 どう頑張ってもいきなりは大きくならないし、スーザンさんの言う通り出来る事をやるしかないんだよね。

 でも、早く大きくなりたいと思っちゃうんだよね。


「うーん、レオ君はちょっと食が細いわね。魔法も使うのだし、少しずつ食べる量を増やした方が良いわね」

「後は、ちょっと間食を増やしても良いわね。少ない量しか食べられないのなら、食べる回数を増やす事も必要ね」


 僕には、食事の事を教えてくれる人が殆どいなかったよなあ。

 ボーガン様の屋敷にいる間に、食事の事についても教えて貰おうっと。


「さあ、そろそろ昼食の時間ですわ。午後の治療院へは、私が一緒に行きますわよ」

「チェルシーさんが一緒についてきてくれるのは、とっても心強いです。宜しくお願いします」

「良いお返事ね。じゃあ、食堂に行きましょう」


 僕は、チェルシーさんとスーザンさんと共に食堂に向かいました。

 先ずは、午後からの治療院での怪我人の治療を頑張らないとね。

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