第六百六話 ガンドフさんとの手合わせ
十分にアップが終わったところで、僕は魔法袋からいつも訓練で使っている木剣を取り出しました。
そして、ガンドフさんも準備運動を終えて木剣を手にしました。
僕もガンドフさんも真剣な表情をしながら集中し、周りの人も固唾をのみながら僕たちを見守っていました。
「それでは、これから手合わせを開始する。試合時間は五分間、身体能力強化以外の魔法を禁ずる」
僕たちの間に守備隊長さんが入って、これからの手合わせの説明をします。
そして、お互いに木剣を構えました。
「では、始め!」
「「やあ!」」
ガキン!
守備隊長さんが手を高く上げた瞬間、僕とガンドフさんは一気に距離を詰めました。
そして、僕たちは激しく打ち合いを始めます。
ガンドフさんはとっても凄くて、身体能力強化をした僕の動きを軽々と予測して切り込んできます。
剣を避けたり受け止めるのも最小限の動きで正確に行うし、本当に凄いです。
僕も、ガンドフさんに負けないように一生懸命に剣を振るいます。
そんな僕たちの様子を、審判の守備隊長さんは真剣な表情で見ていました。
僕たちの動きが見れる守備隊長さんも、本当に凄いですね。
カンカンカンカン!
「凄い、凄いわ。レオ君、本当に上達しているよ!」
「こりゃすげーな。いくら身体能力強化をしているとはいえ、あのガンドフさんと打ち合うとはな」
「「「うおー!」」」
周りの人の大歓声が起きる中、セレンお姉さんとスキンヘッドの人もとてもビックリしていました。
そして、お互いに木剣を激しく打ち合うなか、ガンドフさんが少し距離を取りました。
もうそろそろ、終了時間になるタイミングですね。
「レオ君、最後に全力の身体能力強化を使ってくれ。レオ君の今の全力がどんなものかを知りたい」
ガンドフさんは、何だか嬉しそうに僕に話しかけてきました。
僕も、ガンドフさんとの勝負がとっても楽しいです。
僕は、剣を構えて改めて集中しました。
周りの人も、再びしーんと静まり返って僕たちの様子を見守っています。
ふっ、ガキン!
ブオンブオン、カラン。
僕は、一瞬でガンドフさんの懐に潜り込み、一気に木剣を跳ね上げました。
ガンドフさんは辛うじて反応しようとしたけど、既に木剣は宙を舞って訓練場に落ちていた後でした。
それでも僕は、ガンドフさんに木剣を突きつけるのを忘れません。
その瞬間、守備隊長さんが手合わせの終了を宣言しました。
「勝者、レオ!」
「「「うおー!」」」
周りにいた人が一気に大歓声を上げる中、僕は木剣を下ろしてガンドフさんと握手をしました。
僕もガンドフさんも、何だか清々しい気持ちです。
「いやあ、やられたよ。まさか、レオ君の身体能力強化があんなにも凄いとは。最後は気配で何とか反応したけど、全く駄目だったな」
「でも、ガンドフさんもとっても凄いです。あんなに簡単に僕の木剣をさばかれるとは思わなかったです」
「そこは、長年の経験でレオ君の剣を予測していたからだ。しかし、あの速度で打ち合えば前線の兵も強くなるはずだ」
ガンドフさんも、もの凄く納得した表情でした。
そして、改めて僕にあることを話してきました。
「体も完調になったし、これからはもう少し鍛えてレオ君に負けないようにしないと。なんせ、レオ君は伸びしろしかないからね」
ガンドフさんがニヤリとしながら話したけど、僕ももっと強くなったガンドフさんと戦ってみたいなあ。
「レオ君、凄かったよ!」
「最後の攻撃は、俺にはまったく見えなかったぞ」
「ガンドフも、流石の強さだったな」
そんな僕たちに、色々な人からたくさんの声がかけられました。
僕だけでなく、ガンドフさんにもたくさんの声がかけられています。
やっぱり、町の人もガンドフさんが元気になって良かったと思っているんですね。
「国境の兵を鍛えていたと聞いたが、これだけの速さでやれば動体視力に加えて動きの予測のレベルも格段に上がるだろう」
守備隊長さんも、色々なことに納得していました。
こうして、僕とガンドフさんの手合わせは終わりました。
凄い対決だったとかなりの話題となり、また僕の噂が増えちゃいました。
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