第五百七話 盗賊の襲撃
男爵領を出発して、今日はいよいよシークレア子爵領に入ります。
とはいえ、シークレア子爵領に入るまでは十分に気をつけなければなりません。
「暫く、街道の両脇に森があります。動物や魔物、盗賊が現れやすいです。僕も、前に通った時に盗賊を捕まえました」
「そうなのね。男爵家だと巡回するにも限界はあるでしょうし、私たちも十分に気をつけましょう」
「「「「はい」」」」
「アオン」
何が出てくるか分からないから、僕も探索魔法を広めにして周囲を警戒していきます。
すると、目の前から複数の反応がありました。
僕は、馬車の窓から護衛の騎馬隊に声をかけました。
「人っぽい反応が十個あります。僕も、拘束魔法の準備を行います」
「ご連絡感謝いたします。おい、聞いたな。気を引き締めるぞ」
「「「はっ」」」
おお、流石はフランソワーズ公爵家の護衛です。
直ぐに警戒態勢を取っていて、周囲に気を配っています。
こっそりと、あとどのくらいと周囲に伝え、シロちゃんも拘束魔法の準備を始めました。
ガサガサガサ。
ガサガサガサ。
「へへへ、こりゃ良い馬車だな。さっさとやるぞ」
「「「おう!」」」
すると、前後の茂みから一斉に盗賊が現れました。
元から貴族の馬車を狙っていたのか、随分と手慣れた感じです。
でも、僕たちも準備万端です。
「シロちゃんは前にいる盗賊を、僕は後ろにいる盗賊を狙うよ」
シロちゃんは、一気に馬車の窓から御者席に飛び移りました。
僕も、馬車の窓から体を取り出します。
シュイーン、バシン、バシン、バシン!
「がっ、何だこれは?」
「くそ、動けねーぞ!」
「離しやがれ!」
盗賊は僕とシロちゃんが放った拘束魔法で動けなくなり、地面に転がっています。
でも、体が動けない状態でも盗賊はいきがっていますね。
「全員拘束するぞ」
「「「はっ」」」
その間に、護衛が盗賊を縄でぐるぐる巻きにしていきます。
僕も、窓から体を出した状態で護送用の馬車を土魔法で作りました。
その間、モニカさんが子どもたちに色々と教えていました。
「旅をすると、道中何があるか分からないのよ。私も魔物に襲われた時があったわ。常にレオ君がいるわけではないし、必ず護衛を付けて行動することよ」
「「「「はい!」」」」
期せずして良い例が目の前に現れたけど、馬車旅でも危ない時があるもんね。
安全に気をつけるのは、旅の基本です。
その後もオオカミとかが現れたけど、護衛が倒していきました。
本当にフランソワーズ公爵家の護衛は、とっても強いんですね。
こうして森を抜けて、お昼過ぎにはシークレア子爵領の村に到着しました。
ここで、お昼を食べて夕方前にはシークレア子爵領の領都に向かいます。
そして、顔見知りの人が僕に声をかけてきました。
「レオ君、シロちゃん、久しぶりね」
「あっ、マックスさんの娘さんです。久しぶりです」
「また盗賊を捕まえたのね。本当にあの男爵はって思っちゃうわ」
解体のプロの、シークレア子爵守備隊長の娘さんが僕に話しかけてきました。
どうも前にも僕が男爵領で盗賊を捕まえた事を知っているらしく、今回も普通にあり得ないと言っていた。
そういえば、確か多くの貴族が通るから安全に通行できるようにと国から関係する貴族家に通達がいっていたよね。
「よりによって、フランソワーズ公爵家とレオ君が乗る馬車を盗賊が襲ったのよ。これは、ちょっと良くないことよ。今、早馬で父のところに連絡しに行かせたわ」
「他の貴族家がまだまだ通るので、何かあったら大変ですよね」
「今回は軍関係の貴族が多いとはいえ、全て対応できる訳ではないわ」
娘さんも、腕を組んで考え込んじゃいました。
でも、僕たちが直接何をするわけでもないし、ここはシークレア子爵家と国の判断待ちですね。
ちなみに、捕まえた盗賊はここで引き取られて詳しい調査を受けるそうです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます