第五百六話 男爵領へ向かいます
「「「いってきまーす」」」
「「「気をつけて行ってこいよ」」」
翌朝、冒険者のおじさんたちが出発する僕たちを見送ってくれました。
ここからは、お隣の男爵領に向けて出発します。
今日は夕方前までかかる旅なので、何回か休憩をして行きます。
「でも良かったです。冒険者のおじさんたちが、依頼で街道に出てくる動物や魔物を倒していたみたいで」
「兵の他にも、領主から冒険者に依頼を出していたそうよ。子爵は堅物だけど、そういうところはきちんとしているみたいだったわ」
昨日子爵と会ったモニカさんが色々と教えてくれたけど、やることをきちんとやる領主ってのは助かります。
そのおかげで、道中は本当に何もなく進んでいきます。
念のために、僕は逐一探索魔法で周囲に何かないかを探しています。
でも、動物や魔物も僕たちの様子を伺っているだけで何もしてきません。
お天気もとても良くて、道中はとっても気持ち良いですね。
「じゃあ、今日はこの絵本を読んであげるね」
「うん、ありがとー」
「アオン!」
マヤちゃんのお姉ちゃんを自称するクリスちゃんは、馬車内で暇にならないように時々絵本を読んであげています。
クリスちゃんにとっても良いことなので、モニカさんもいっぱい絵本を読んであげるのよと言っています。
ウェンディさんとアレックスさんは、自分の勉強の本を読んでいます。
僕も勉強の本を読んでいるけど、僕の魔法袋やシロちゃんのアイテムボックスに入っているので荷物を運ぶ場所も取らないのでとっても便利です。
普通の馬車旅は、色々な荷物を運ぶのでとても大変だそうです。
「昼食を食べるために、村に寄るわよ。準備をしてね」
「「はーい」」
お昼前に小さな村に到着し、僕たちは宿兼食堂に向かいます。
僕はこういうアットホームな食堂は好きだけど、よく考えたらフランソワーズ公爵家の人たちはこういう食堂は大丈夫なのかな?
「「おいしー!」」
「こういう料理も良いわね。とても美味しいわ」
「僕も、このお肉料理はとても美味しいと思うよ」
うん、僕の心配は杞憂だったみたい。
みんな、お肉定食をモリモリと食べていた。
モニカさんなんて、お肉をおかわりするほどだった。
もちろん、僕もお肉定食をシロちゃんとユキちゃんと分けて食べていました。
使用人も昼食を食べて、馬も飼い葉を食べて元気いっぱいです。
休憩も十分取ったので、僕たちは再び男爵領に向けて出発しました。
「あっ、町が見えたよ!」
「あれが、今日泊まる男爵領の領都よ。そろそろ降りる準備をしないとね」
その後も順調に馬車は進み、僕たちは無事に男爵領に着きました。
宿に着いて泊まる部屋に入り、今日はモニカさんとアレックスさんが男爵に挨拶に行きました。
その間に、僕たちは着替えておきます。
シュイン、ぴかー。
「わあ、おにいさまの魔法って本当にすごーいね」
「あっという間に、綺麗になったわ」
なんとお風呂が故障中だそうで、その代わりに僕とシロちゃんが手分けして生活魔法でみんなを綺麗にしていきました。
こういうトラブルもあるんですね。
今日は使えないけど、明日はお風呂は直るそうです。
使用人も含めてみんな綺麗にしたんだけど、ここで他の人も生活魔法で綺麗にしてくれないかと宿の人に言われちゃいました。
「レオ君、魔力が大丈夫ならお願いするわ。綺麗な体で就寝したいでしょうしね」
どうしようかなと思ったら、男爵領から帰ってきたモニカさんがオッケーを出しました。
男爵も大変恐縮していて、屋敷のお風呂を貸すとまで言っていたそうです。
でも、僕の魔法があればどうにかなっちゃうよね。
こうして、更に宿に泊まっている人も生活魔法で綺麗にしていきました。
黒髪の天使様がいて本当に良かったと、口々に言っていました。
今日は、別の意味で思い出になる宿泊になりそうですね。
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