第二百二話 街の人の所に挨拶に行くよ
段々と日にちが進んで、三日後にコバルトブルーレイクの街を出発します。
色々な人から預かる手紙が出来たので、僕はシロちゃんと一緒に買い出しを含めて街を歩いています。
「最初はシェファードさんの所だね」
シェファードさんからは、サンダーランド辺境伯宛の手紙を預かります。
代官邸に着くと、いつもの応接室に案内されました。
「シェファードさん、おはようございます」
「レオ君、おはよう。わざわざ来て貰ってすまないね。これがサンダーランド辺境伯宛の手紙だよ」
既に応接室にはシェファードさんが待っていてくれて、用意してくれた手紙を渡してくれました。
僕は手紙を無くさないように、直ぐに魔法袋に入れました。
「私は仕事があって出発の際には見送りに行けないので、ここでレオ君にお礼を言おう。本当に世話になったよ、これからの活躍も期待しているぞ」
僕は立ち上がって、シェファードさんと握手しました。
シェファードさんは、シロちゃんとも握手してくれました。
やっぱり、シェファードさんはとても優しい人だね。
僕は代官邸を後にして、次の目的地に向かいました。
「次は、守備隊長さんの所だね」
「おや、レオ君じゃないか。ちょうど戻って来た所だよ」
守備隊の詰め所に向かうと、ちょうど街の巡回から戻って来た守備隊長さんとばったり会いました。
そのまま、詰め所の中に入っていきました。
「これが、サンダーランド辺境伯領に駐留している軍への手紙だ」
「ありがとうございます」
「師団長経由でレオ君がどんな人物かは軍に伝わっているが、改めて手紙にした方が分かるだろう。宜しく頼むね」
僕は守備隊長さんから預かった手紙も、忘れない様に魔法袋に入れます。
この後守備隊の会議があるそうなので、僕は早めに守備隊の詰め所を出ました。
「シロちゃん、先に買い物しちゃおう!」
後は冒険者ギルドに行くだけなんだけど、守備隊の詰め所からだと市場に近いから買い物をしちゃおう。
僕は、パンに果物に野菜などを買い揃えます。
魔法袋に入れていれば腐らないから、二週間分の食料を買っておこう。
「おばちゃん、この葉物野菜は炒めたら食べられる?」
「この野菜は軽く塩コショウをふって炒めれば、美味しく食べられるよ」
「そうなんですね。じゃあ、少し下さい」
「毎度あり、ちょっとオマケするよ」
魔導コンロもフライパンも鍋も持っているし、今度料理をしてみよう。
僕は野菜を購入した後に調味料がないのに気が付いたので、魔導具修理工房がある商会に向かいました。
「こんにちは」
「レオ君、こんにちは。今日は買い物かな?」
ジュンさんじゃなかったけど、商会の店員さんが僕に話しかけてきました。
早速、調味料について聞いてみよう。
「えっと、調理をする時に使う塩やコショウってありますか?」
「レオ君の場合は、旅で使う用だね。ちょっと待っていてね」
店員さんが何かを探しにお店の奥に行ったので、僕も後をついていきます。
おお、初めてだけどお店の奥には旅で必要な物が売っているんだね。
「こんな感じで、小さな瓶に入れて小分けにしてあるのが使いやすいわ。あと、調理の際は油をひかないといけないんだけど、油も瓶に入っているよ」
「僕は塩コショウをいっぱい使わないから、小分けになっているととっても便利ですね」
「じゃあ、この瓶に入っているのと調理に必要な物を用意するわ」
よく考えると、まな板とか木べらも持っていないし、お玉はポーション作り用だもんね。
他にも必要な物を買い揃えて、これで準備オッケーです。
「あら、レオ君お店に来ていたのね」
お会計しなきゃって思ったら、ジュンさんがカウンターにいました。
僕は、そのままジュンさんにお会計をお願いしました。
「はい、無くさない様にしてね」
お金を払い終わって、僕は受け取った品物を直ぐに魔法袋に入れました。
これで、旅に向けての買い出しは大丈夫ですね。
「レオ君、明日明後日はお店に来る予定だけど、用事があるなら優先して良いのよ」
「ありがとうございます。でも、準備は済ませてあるので大丈夫ですよ」
「幼いのに、とてもしっかりしているわね」
僕は、お仕事もきっちりとやりたいんだよね。
それに、魔力を補充した魔石を沢山用意すれば、冬の間も街の人は困らないもんね。
僕は商会を出たら、次の目的地の冒険者ギルドに向かいます。
「あら、レオ君じゃない」
「あれ? 何で、ギルドマスターが受付をしているんですか?」
「他の人が昼食を食べに行ったのよ。私は、その代わりよ」
受付にギルドマスターがいてびっくりしたけど、他の受付のお姉さんの代わりなんだね。
するとギルドマスターは、用意してくれた手紙を僕に渡してくれました。
「はい、サンダーランド辺境伯領の冒険者ギルドマスター宛の手紙よ。ちょっと見た目は厳つい人だけど、とても良い人よ」
僕はアマード子爵領で鉱山で働く屈強な冒険者と接していたし、そういう人ほど実は優しいんだよね。
僕はギルドマスターから手紙を受け取りながら、そんな事を思っていました。
「レオ君は、明後日までは普通に依頼を受けるんだよね?」
「はい、三日後の朝はそのまま馬車便に乗っちゃおうかなと思っています」
「じゃあ、冒険者ギルドの出発の手続きも明後日の夕方にした方が良さそうだね」
冒険者ギルドの出発手続きも、明後日行う事で大丈夫になりました。
僕は冒険者ギルドを後にして、今度は薬屋さんに向かいます。
明日明後日は魔導具修理工房での依頼だから、薬屋さんでの依頼はもうないんだよね。
「こんにちは」
「おう、レオか」
「こんにちは、レオ君」
薬屋さんは丁度お客さんのいないタイミングで商品の補充をしていたのか、夫婦揃って店頭に立っていました。
「もしかしたら出発まで会えないかもしれないかなと思ったので、薬屋さんに顔を出しました」
「そっか、明日明後日は別の依頼を受けるんだもんね」
奥さんが少し残念そうにしていると、僕に生薬の入った小瓶を渡してきました。
「これは、風邪などに効く生薬よ。魔法では治りにくい風邪もあるの。餞別代りに持っていってね」
「わあ、ありがとうございます」
「レオを通じて俺らは早く街に溶け込めたからな、これくらいは渡して当然だ」
折角頂いた生薬の入った小瓶を、僕は大事に魔法袋に入れました。
魔法が効きにくい風邪もあるんだ、良い事を聞いちゃった。
僕は、夫婦に手を振って別れました。
「シロちゃん、この街の人は良い人ばっかりだね」
シロちゃんも僕の頭の上で体を揺らしながら、喜んでいました。
いつかまたこのコバルトブルーレイクの街にやってきたいなって、改めて思いました。
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