第三百四十三話 ダリアさん達と薬草採取をします

 こうして軍の施設での治療も順調にいき、二週間でほぼ入院患者が退院できました。

 とはいっても帝国との小競り合いは続いているので、今後も状況見合いで再度治療の依頼があるそうです。

 でも、訓練で怪我をしたならともかく、小競り合いで相手に切られて怪我をするのはちょっと悲しいなって思っちゃうよ。


「うーん、そればっかりは仕方ないわね。とにかく帝国がどうにかならないと、争いは減らないわ」


 安息日の朝、僕は朝食を食べながらオリガさんに思った事を聞いてみました。

 確かに、王国は戦争をするつもりはなくて、帝国から争いを仕掛けているんだよね。

 今は帝国にいけないみたいだし、帝国で何が起きているか分からないなあ。

 考えても仕方ないと思い、僕は朝食を食べ終えました。

 今日は、頑張らないといけない事があります。


「レオ君、お待たせ」


 冒険者服に着替えたダリアさん達が、朝食を食べ終えた僕に声をかけてきました。

 今日は、午前中を使ってダリアさん達に薬草採取のやり方を教えます。

 僕もシロちゃんも、やる気満々です。

 僕は既に冒険者服に着替えているので、朝食の食器を片付けてダリアさん達と宿を出発します。


「レオ君は、薬草採取もしているんだね」

「僕が冒険者活動を始めた時から、薬草採取はずっとやっています。ポーション作りもするので、薬草採取のありがたさも実感しました」

「そっか、自分が採ったものがどう使われているかを知ると、更にやる気になるのね」


 目的地の防壁の門に向かいながら、僕はダリアさんとお話します。

 初心者冒険者向け講習の後に、薬草採取講習を受けてそのまま薬草採取をしたんだよね。

 僕の初めての依頼は冒険者ギルド内の治療だったけど、これは指名依頼だったもんね。

 こうして、防壁の門に到着しました。


「おや、レオ君じゃないか。今日は美人を連れてどうしたのかい?」

「おはようございます。今日は、ダリアさん達に薬草採取を教えるんです」

「えっ、ここでかい?」


 僕が守備隊の人に挨拶したけど、守備隊の人は僕が防壁の門の近くで薬草採取をするとは思っていなかったみたいです。

 でも、防壁の門の周りには沢山の薬草が生えています。

 僕は、防壁の門に接する道の草むらにしゃがみ込みました。

 ダリアさんたちと興味を持った守備隊の人が、僕の後ろから覗き込んでいます。

 すると、シロちゃんが一枚の葉っぱを採取しました。


「これが薬草です。葉っぱの裏側に細かい毛が生えています。茎に半分くらい残すと、どんどんと再生していくんですよ」

「「「「へえ、これが薬草なんだ」」」」

「本当に薬草があったぞ。マジか」


 みんなでシロちゃんの採った薬草の葉っぱを繁々と眺めていて、守備隊の人はこんなところに薬草があったとビックリしていました。

 ここは、沢山の薬草が生えていますね。


「僕は一人で薬草を採ることが多いので、何かあった時を考えて防壁の門の近くで薬草採取を行っています。実際に不良冒険者が絡んできて、直ぐに守備隊の人に対応してもらった事もあります」

「そういう事だったら、確かに俺らの出番だな。荒海一家が壊滅したとはいえ、何かが起きる可能性はある。それを考えると、俺らの目の届く範囲にいた方がいいな」


 僕が何故防壁の門の近くで薬草採取をしているかを話すと、守備隊の人も納得してくれました。

 説明を終えたところで、さっそくみんなで薬草採取を始めます。

 守備隊の人も、元の位置に戻ります。


「レオ君、この葉っぱも薬草で間違いないかな?」

「はい、薬草です。茎から全部採らないで下さいね」

「レオ君はとても丁寧に教えてくれるので、とっても助かります」


 僕とシロちゃんで手分けしながら、ダリアさん達に薬草採取を教えていきます。

 この原っぱには毒消し草も生えているので、僕もシロちゃんもいっぱい薬草と毒消し草を採りました。

 こうして、休憩を挟みながらみんなで二時間薬草採取を行いました。

 守備隊の人に挨拶をしてから、冒険者ギルドに向かいます。


「はいよ、代金だ」

「えっ、こんなに貰えるんですか?」

「ははは、良い反応だな。薬草は、単価が安くても量を採ればそこそこの金額になるぞ」


 僕も、初めて薬草を採った時に予想以上のお金を貰ってビックリしたもんね。

 だから、僕もダリアさんたちの反応を見るとくすくすってしちゃうよ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る