第三百三十話 ちょっと体が大きくなったかな?
安息日明けのお仕事は、荒海一家の騒動が何もなかったかの様に過ぎていきます。
僕もシロちゃんも、魔法でどんどんと木材や鉄板を加工していきます。
職人さんも、細かいところを加工していきます。
お陰で、結構なペースで軍船作りが進んでいるそうです。
「ドッグでの作業が少しずつ始まっているから、夏前からは少しずつ船の形が見えてくるだろうよ」
「きっと大きなお船ですよね。僕もどんな船が出来上がるか、とっても楽しみです」
「ははは、そういう楽しそうな表情は年相応だな。まあ、俺らもどんな船が出来るか楽しみだ」
昼食時にザンギエフさんと話をしていたけど、やっぱり大きなお船が出来るって凄いよね。
職人さんも自分たちが作ったものが形になるのは待ち遠しいみたいだし、そう思うともっと頑張ろうって思っちゃうよね。
「まあ、作っている軍船はデカいが、もう少し小さくて小回りのきく船も作らないとならないだろう。後は、推進力に魔導具を使った船を作る予定だ」
「魔導具を使った船って凄いですね!」
「とはいっても、原理はとても簡単だ。スクリューを回す部分とかじを切る所だけ、魔導具が必要だからな。まあ、船内が火事にならないように、他の所にも魔導具が使われるだろう」
魔導具を使った船にも乗ってみたいけど、それは夏以降に作り始めるんだって。
僕がシークレア子爵領にいる間にはできないみたいだけど、常に最新の船を研究して作っているんだね。
こうして午後も頑張ってお仕事をしていて、無事に造船所での作業が終了しました。
「レオは、宿に帰って着替えたら直ぐに屋敷に向かうんだろう。誰か付き添いがいるのか?」
「うーん、昨日みたいに迎えの馬車が来るか分からないですよね」
「まあ、宿に帰れば何か分かるか」
造船所からの帰り道、ザンギエフさんとそんな話をしていました。
セルゲイさんからは、屋敷でワイアットさんと話をするとしか聞いていない。
まあ、どうにかなるだろうと思いながら宿に到着しました。
「ただいま」
「あら、レオお帰りなさい。ザンちゃん達もお帰りね」
宿に帰ると、オリガさんが僕たちを出迎えてくれました。
すると、オリガさんが僕に話しかけてきました。
「そうそう、この後お屋敷から迎えの馬車が来るそうよ。あと、ザンちゃんも同行して欲しいって」
「俺にも話があるのか。一体何だろうな」
「うーん、お母さんも細かい所までは聞いていないわ。二人とも、急いでお風呂に入って着替えてね」
ザンギエフさんも呼ばれたのは何だろうなと思いつつ、僕は急いでお風呂に入って着替えました。
ザンギエフさんもお風呂に入るんだけど、僕は女性用のお風呂に入るようにとナディアさんに言われちゃいました。
キチンとした服が良いだろうと思って、コバルトブルーレイク直轄領で作った服を着ます。
「うわ、やべ、服がぴちぴちだ」
「ザンちゃん、また体が大きくなったのね。今は何とかなるけど、新しいの作らないと駄目ね」
ザンギエフさんもきちっとした服を着ているんだけど、服が筋肉でパンパンです。
今にも破けそうだけど、取り敢えずは何とかなるそうです。
「うーん、レオ君の服もちょっと小さいわね」
「えっ、去年作った服ですよ」
「レオ君は、どんどんと背が大きくなっているのよ。レオ君も、新しい服を作らないと」
僕も、去年より少し大きくなったんだね。
冒険者服は大きめな物を着ているから全然平気だけど、こういうきっちりとした服はちっちゃくなっちゃうんだ。
体が大きくなった反面、新しい服を作る大変さもあるね。
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